第33話 ソフィア視点 2
いやぁ~、まさかあたしが弟子を二人もとるとは思わなかった。
ククルちゃんのあの頼み込む真剣な目を見たら断れないしなぁ。
あのモフモフの耳を触りたかったわけでは断じてない。
ほんとだよ?
カイリの怪我が落ち着いてから実技にはいったけどククルちゃんもセンスがかなりいい。
半年で火属性と水属性を習得してしまった。
獣人族は種族ごとに得意属性があると聞いたがこの二つが狐人族にとって当てはまるのかもしれない。
あとおそらく稀少な狐人族特有の特殊スキルがあるはずだ。
あたしはそれを知らないから今度婆さんに聞いておこう。
もう一方の弟子、カイリは魔法維持をかなり高位のレベルで使いこなせるようになった。
本人は周囲にあたしくらいしか比較対象がいないからそれがどれだけすごいことかわかってない。
これなら例の魔法に付与魔法で強化する訓練に入ってもいいだろう。
今まで聞いたこともないはじめての試みだから楽しみの反面、カイリの身への不安もある。
少しでも異常を感じたらすぐやめさせる。
ここからはあたしもより注視してあたろう。
カイリの魔法への付与魔法の訓練をはじめた。
異常だ
異常は異常でも良い意味の。
魔力効率が良すぎる。
カイリは無詠唱と魔力操作のセンスに比べて魔力量は中の上だった。
魔法による魔力消費量は、初級から中級、中級から上級、上級から超級となるごとにざっと4倍、8倍、16倍と跳ね上がる。
中級魔法に付与魔法をかけたところ上級魔法相当に昇華した。
その魔力消費は通常の半分。初級魔力の8倍消費のところをたった4倍程度の消費で済んでいる。
そしてなにより驚きを受けたのは付与魔法は一回で終わりでなかったことだ。
ただその先は魔力操作が不安定なことから私がいないところでの使用を禁じた。
一応婆さんに弟子をもう一人取ったことを伝えに王都に戻った。
魔法師団の会議室にいるっていうんで向かうと苦手な奴に会った。
まあ副団長なのだからいて当然か。
悪い奴でないし嫌いではないのだが苦手だ。
他の団員と違って畏怖や敵意を持たずにナチュラルに接してくる分マシかもしれない。
いや、それでも苦手なものは苦手だ。
だって変わっているし。
こんな変人だが実力は私と並ぶ。
無詠唱が使えないのにもかかわらずだ。
その魔法技巧と多彩性は素直に尊敬に値する。
絶対本人には言わないが。
私にも関係あることなので会議に参加し、終わるまでだる~っとし、みんながはけたころ婆さんに修行の途中経過を伝えた。
私の会議の態度に溜め息をついていたがさらに溜め息を深くした。
『師匠が非常識なら弟子も非常識だ』と言われた。
あたしの師匠はあんただけどな。
まあククルちゃんの初級魔法2属性習得とカイリの魔力維持の技量を伝えたらそうなるか。
獣人族は特有のスキルがあり狐人族も例に漏れず固有魔法を持っている。
狐人族の固有魔法について婆さん聞いたら近い固有魔法を持つ他の種族に教えてもらった方が良いとのこと。
あたしではさすがに教えられないか。
まあその他種族の奴なら知り合いにいる。
あの娘の手を借りよう。
それと……会議でやっかいな話を聞いた。
はぁ、やっぱり来なきゃよかった。
準備期間があるとはいえ、出立したらしばらくカイリたちのところへは帰れないだろう。
いや、しばらくで済めばいいけど……。
カイリの面倒も彼女に頼もう。
魔力操作技能はもうカイリの方が上かもしれないけれど(改めてあの子のヤバさを認識させられる)魔法知識や応用力、何より心構えは彼女の方が上だ。
なんたって実力は冒険者のA級の下位と遜色ない。
魔道具で連絡しようにもこの魔道具は超貴重品で持っている訳がないので冒険者ギルドに言伝てを頼んでおこう。
それと私が遠征に行く前にあの子達のステータスも確認しておきたいから婆さんのコネを使ってギルドのお偉いさんに頼んでおこう。
とりあえずこんなところだろうか?
最近ちょこちょこ王都に帰ってきているがさすがに面倒だな~。
婆さんの連絡を魔道具に登録しなおすか……いや、もう一個を登録し直してカイリに渡しておこう。
これで婆さんに居場所がバレずにお小言も聞かなくてすむ。
名案だ!
さすがあたし!
この三日後これが愚案だと知る。
カイリづたいに婆さんのお小言が増えただけだった……




