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黒龍殺しの付与術師  作者: しきな かいどう
少年期
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第23話 成果

「で、なんでこんなことになったの?」


 俺の説明不足だったとしてもここまで話は飛ばないだろう。

 ゲインに話をふるのは酷だったのでアイリに聞いてみた。


「カイリが宿で裸の女の人と会っていたって目撃情報があってね」


 裸の女?

 そんな素晴らしいシュチュがあれば俺が忘れるわけがないし、心当たりもな……あ。

「ああ、それただ単に師匠の寝相が悪くて服装が乱れてただけだよ。

 断じて裸とかじゃないよ。

 それに目擊ってそもそもどこから見てたのさ?」


「カイリ、母さんは信じてたわよ」

「アイリ!?」


 慈愛の笑みを浮かべ見事なまでの手のひら返しを決めたアイリにゲインが叫ぶ。


「それにしてもカイリが魔法をねぇ。

 スゴイわねぇ。

 もう魔力は感じ取れるようになった?

 まだ2ヵ月じゃあ難しいわよね」

 アイリが強引に話を変える。

 まあ俺もいつまでもこの話題を引っ張るつもりもないからのっかとくか。


「さきの話の中でも言ったけど初級魔術二つ修めたよ。

 今は風属性を教わってる」


 二人が黙ってしまった。


「カイリ、魔法を習い始めてどのくらいだっけ?」


「だから二ヶ月ちょっとだよ。

 あれでしょ?

 速いって言うんでしょ。

 師匠にも言われたけど師匠は二属性習得に三ヵ月だったていうからそんな差はないし、少し大げさじゃない?

 それに師匠はその時五歳だったらしいし」


「その師匠は五歳で二属性を覚えたのか!?」


「六歳になる頃には七属性だって。

 まぁものぐさな人だからちゃんとやればもっと速かったんじゃないかと思うけど」


 急にアイリの顔が険しくなった。

 なにやらゲインとひそひそ話を始める。


「ありえるの?

 普通一つの属性に一年近くはかかるんじゃないの?」


「知り合いの魔法使いはだいたいそのくらいはかかると言っていたぞ?」


「カイリやぱり扁されてるんじゃないの?

 あの子しっかりしてるようでどこか世間ずれしたとこあるから」


「確かに常識ではありえないけど俺との武術訓練でも飲み込みは早いしな。

 俺が知っているなかでも上達の早さは上位だよ。

 訓練をはじめてからの身体能力の伸びは異常と言えるしな」


「そうなの?

 いつもあなた嬉しそうに言ってたけどてっきり親の欲目かと思ってた」


「あのなぁ、俺は武術に関しては世辞は言わん。

 命に関わることだからな。

 今はまだ武器の技量と身体能力は俺の方が上だが、徒手の組み技関連の技術はそれこそカイリの方が上かもしれん。

 もしかしたらそれもどこかに俺以外で教えている人間がいるのかもしれないぞ。

 そうじゃなきゃ俺が知らない投げ技やあの勝負勘は身につかん」


「じゃあ天才じゃないうちの子」


「武術の総合値で見れば身体能力の伸びを鑑みて充分才能があるよ。

 だからこそ普通は魔法の才能は低くないとおかしい」


 ひそひそ話し長いなぁ。

 というかなんとなく会話の内容聞こえてるしな。

 俺が魔法見せれば解決なんじゃないか?


「ねぇ、なんなら見せようか?」


 二人は俺の言葉に振り返る。


「いいの?」


「いいよ。

 どうせ魔力なんてこのあと寝て回復するんだし」


 そう言うと扉が開いて、


「「魔法見たい!」」


 ギルとアリスが飛び出してきた。

 どうやらドアに耳を当てて聞いていたようだ。


「じゃあお兄ちゃんのとっておきの魔法を見せよう」


「「わーい」」




 そんなわけで家から近所にある池にやって来た。

 ここなら水もあるし、近所に家や畑など燃えるものもないから大丈夫だろう。


「池の上に撃つけど一応離れて」


 そういって家族が俺から距離をとったことを確認すると右手をグーにして斜め上へかざす。

 そこから人差し指と中指をピンと伸ばしぴたっとくっつけ指差し確認のような形をとる。


 本当は手の平を広げてビッグ○ンタックのようにしたかったのだが、魔法の放出の指向性として安定しなかったので今の形に落ち着いた。

 ちなみにソフィアは何の動作も無しに魔法を放てる。

 凄いと素直に称賛すると同時に得意気な態度にちょっとイラっとした。


 精神を集中させ、魔力の流れを指先に集める。

 さらに“火の球”をイメージする。

 次第に指先に魔力が放出され火球を作り出されていく。

 子供の頭程度の大きさになったところでそれを池の上空に向かって打ち出す。

「ふっ!」

 勢いよく夜空に上がる火球にさらに念じ、火球は空中で破裂して花火のように火の粉に変化し散り散りに池の上に落下した。


 「すごい!すごい!」

 「きれー!」


 「「…………」」


 弟達がはしゃぐ中、両親は黙り込んでしまった。


「……なあカイリは詠唱はしないのか?」


 ゲインがどこか唖然としながら聞いてきた。


「教わってないからたぶん中級から使うんじゃないの?」


「…………」


 また黙り込んだと思うと今度はアイリが質問してきた。


「ねぇ?覚えたのは初級じゃなかったの?」


「初級だよ。

 今のは万が一回りに被害が出ないように火の球の形にアレンジしたの」


 今度はアイリが黙り込む。

 しばらく沈黙が続き、ゲインが口を開いた。


「………途中で破裂したのは?」


「その方が綺麗だと思って」


「…………」 


 ゲインは完全に黙り込んでしまった。


「お兄ちゃんもう一回見たい!」


 アリスのリクエストに答え空中に花火モドキを打ち上げる。

 その度、ギルとアリスはきゃっきゃと喜ぶので連発していると


「なにをやっている!?」


 と衛兵のミゲルさんが同僚を引き連れ走ってきた。

 あー流石に回りに家がなくても近所迷惑だったか。

 前世でいう夜中に公園で打ち上げ花火してる馬鹿と同じに思われたかな。

 と心配していると


「あれ?

 カイリか?

 それに隊長と奥さんも!?

 あのこれは??」


 とこちらの正体に気付いた。


「ミゲルか。

 悪いな騒がせて。

 カイリが魔法を覚えたと言うんで見せてもらってたんだ」


「息子さんが?

 遠目にも見えましたけどあんな魔法見たことないですよ??」


「それを俺も今から聞こうと思ってな。

 カイリ、覚えたのは初級魔法じゃなかったのか?」


 ゲインは何故か先程と同じ質問を繰り返した。


「だから覚えたのは初級の火と水属性の二つだって」


「カイリ、あのな、今の魔法は【火球】と言って中級魔法だ」


 あれ?


「普通、初級魔法は手元に火を浮かび上がらせたり、火を手から飛ばしたりするものだ。

 そしてそれは“球状”ではなくて形をとどめていなく流動的に揺らめいてるんだ」


 んー、チャッカマンや火炎放射機みたいなものか。


「流動的になるのが普通でファイヤーボールのように魔力により形が整えられるているものは中級になるんだ。

 難易度がまるで違う。

 知らなかったのか?」


「へぇー知らなかった」


 前世のゲーム知識ではファイヤーボールとか初級魔法だったし。


「それに途中ではじけさせたのは俺も見たことがないが、それだけ魔力をうまく操作しているということだろう。

 師匠には今の見せたのか?」


「見せてない。

 父さんが言うその初級魔法を見せたら喜んでたけどすぐ次の属性の訓練に入ったから。

 いつも体内の魔力操作を訓練してたらふと出来るんじゃないかと思って」


「……さすがに師匠も驚くと思うぞ。

 あと一番肝心なことなんだが、杖と呪文はどうした?」


「杖は持ってないし、呪文は教わってないよ。

 中級とか上級で使うんじゃない?

 そもそも呪文見たことないからよくわからない」


「お前の“師匠”は魔法を見本で見せるときに杖も呪文も使わないのか?」


「うん」


「本当に?」


「だから見たことないって」


「……そうか、師匠の名前は?」


「ソフィア」


「無詠唱、ソフィア……なるほど。

 導師の秘蔵っ子か。

 この町にいらしてたのか」


「秘蔵っ子?」


「カイリ、ソフィアさんは今どこに?」


「師匠なら町の宿屋に泊まってるよ」


「この町の宿の部屋の大きさじゃ伺うと迷惑か。

 明日ソフィアさんをうちの晩飯にご招待しなさい」


 そうしてソフィアをうちに招くことに決まった。

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