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黒龍殺しの付与術師  作者: しきな かいどう
少年期
27/101

第22話 気まずっ

 気まずい

 とても気まずい

 そしてそれ以上にゲインがとてもいたたまれない。

 だいたいなんでこんなことになってんだ。

 ギルとアリスが俺にすがって泣いている。

 どうやら弟たちはドアをひっそりと開けて話を聞いており、父が血管が切れるんじゃないかという位の大声で俺を問い詰め、俺までもが父に言い返すものだからびっくりしたのだろう。

 泣きながらも二人はお兄ちゃんをいじめるなと飛び出してきたのだ。

 その光景にゲインはひどく落ち込んでいる。

 二人が俺の味方をしたのにも理由があり、帰ってきたときに俺は二人に「何も悪いことはしていない」と伝えていた。

 それに俺とゲインの会話もちゃんと魔法の修業のものとして聞いていたのだから。


 なぜ知っていたのかというと、


「カイリ、すまなかった。

 けどお前もその女性と魔法の師弟を結んだなんて言ってなかったじゃないか」


「魔法の修業をするって前に言ったよ。

 みんなに。

 ここで。」


「「おにいちゃん言ってた(もん)よ」



 反論に弟たちからも援護が入る。

 そう俺はちゃんと言っていたのだ。

 ソフィアと師弟関係を結んだ2ヵ月前の夜、俺はリビングでギルとアリスのお気に入りである勇者とドラゴンの絵本を読んであげてた。

 絵本に戦闘の効果音なとは書かれていないが俺が勝手にBGMをつけて読むと大喜びする。

 なので毎晩のように俺に絵本を読むようせがむのだ。

 その晩のドラゴン登場シーンはゴ○ラから拝借した。

 もちろん大ウケだった。

 で絵本を読み終わったときに家族全員いたのでちょうどいいと思い、


「明日から魔法の修業するから多分家帰るのいつもより遅くなるかも」


 と宣言した。

 すると


「おっカイリでもそういうのに憧れるんだな。父さんも小さいころは憧れたな」


「すごいねお兄ちゃん魔法使いになるんだって」


「うんお兄ちゃんすごい!」

「アリスも魔法使いなりたい!」


 みんな良いリアクションとってくれたので理解してくれたのだと思ったが、これは両親は信じていなかったな。

 前世でいうところの戦隊もののヒーローになると言う子供をあやすリアクションだったのだろう。

 その後も両親から魔法の進捗を聞かれないし自分から言うのも調子に乗ってるようで話せず、興味津々で聞いてくる弟たちには話していたのだ


「おにいちゃん悪くないもん」

「なんでパパはおにいちゃんいじめるの?」


 ゲインがますますうつむいてしまった。

 最初は意味不明に怒鳴られてちょっとむかついたけど理由を知ってしまうといたたまれない。

 ゲインもまさか幼い弟たちに、お兄ちゃんが年上の大人の女性と不純異性交遊してると勘違いしていただけなんだと説明するわけにもいかないだろう。


「ギルとアリスもありがとう。

 けどパパも勘違いしてただけでお兄ちゃんも言葉が足らなかったのが悪いんだ。

 だからパパはいじめてたんじゃないんだ。」


「わかんない!

 おにいちゃん、さっきつらそうな顔してた。今もつらそうだよ?」


 アリスは本当に良く見てるな。

 確かにさっきは問い詰められている最中に前世の理不尽な詰問がフラッシュバックしてナーバスになっていた。

 顔にまったく出さないというのは難しい。

 けど前世のとは違う。

 今回は心配する気持ちから起きたものだ。

 俺はギルとアリスを抱き寄せると


「ありがとう。

 けど人間なんだからたまにこういうすれ違いもあるんだ。

 誰が悪いわけでもない。

 お兄ちゃんもパパも仲悪くならないし、明日の朝にはいつものように一緒に稽古してる。

 なんにも心配することなんてない。

 だからもうおやすみ」


「ほんと?」

「ほんとに?」


「ああ」


 二人は振り返りながらも寝室に入っていった。


 ゲインは俺を正面に見つめ


「すまない」


 と深く頭を下げた。

 俺はそれだけで充分だと思った。

 もともと俺を心配しての行為だし、なにより自分のまだ小さい子供にきちんと頭を下げられることをすごいことだと俺は思う。

 前世の俺の父親ではまず無理だったし、俺には子供はいなかったが正直自信はない。

 おそらく悪かったくらいの軽いノリですましてしまうんじゃないかと思う。


「うん、父さん心配してくれてありがとう」



 おお、ブックマーク増えてる!

 ありがとうございます。

 自己満で好きに書き始めましたが、読んでいただけているとわかると励みになります。


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