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黒龍殺しの付与術師  作者: しきな かいどう
少年期
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第17話 魔法~実技~

 続いて座学から実技へと移る。

 ソフィアの雰囲気がさっきまでよりも真剣さが増す。


「まずは体の中の魔力を感知する修行から始めましょう。

 魔力は自然と体内にとどまっているものだから自分で感じとることは普通出来ない。

 まあ自分の中の血の巡りを感じ取れないのと一緒ね。

 そこで私が魔力を君に流すからそれを感じ取って欲しいの」


「質問なんですけどその場合、流された魔力は貯蔵されるんですか?」


「魔力は人各々に波長があるからそれが合わないと抜けていっちゃうのよ。

 波長を変換して魔力を譲渡する魔法はあるけれど魔法にまず魔力が消費されるから効率は悪いわ。

 それに波長が同じだと余計感知は難しくなるから普通に流すよ。

 それじゃあ手を出して」


 右手を差し出すと柔らかい手に握られる。


「行くよって言ったら流すからね」


 真面目な顔の彼女は雰囲気がガラッと変わるので一瞬テンパるが気付かれなかったようだ。


 (集中集中)


 気を取り直すと共に右手から何か流れてくるのを感じた。


「もしかしてもう流してます?」


「え?」


「何か右手から右腕と徐々に何か流れてきているのを感じるんですけど」


「嘘?

 私でも半日は掛かったのに・・・一回で?

 じゃ、じゃあ私が流れを止めたりするから右手の親指で合図して」


 なんか聴力検査みたいだなと思いながら親指を動かす。


「間違いない。

 すごいね」


 ソフィアが少し興奮気味に話す。

 ソフィアも半日で出来ているのに大袈裟な。 


「普通は10日は掛かるって言われてるんだけどな」


 なにやらまだぶつくさと言っている。


「じゃあそのまま体内の魔力を右手から順に全体に流れているのを感知出来るかやってみて」


 言われた通りにやってみる。

 すると右腕、右肩、胸、左肩左胸と徐々に動きがわかってくる。

 集中していないとわからないような変化だが、注意深く探ると少しずつ感じ取れるようになってきた。


「出来ました」


 気付くと3時間が経過しており、全身軽い倦怠感と汗が流れていた。


「うん、その魔力感知のセンスも素晴らしいけどその集中力も素晴らしいね。

 じゃあ今度は体内の魔力を右手に集める練習をしようか」


 正直この時点で結構くたくたになっていたがソフィアは結構スパルタだったようだ。

 まあもともとこの程度でやめる気はなかった。

 この世界で生きて行く上で必要なもので、転生したときに“ソレ”に関しては妥協はしないと決めていた。

 ソフィアに言われた通り体内の魔力を右手に流れていくイメージを作る。


「うん、確かに動いてるけどもともとあった魔力が別のところに流れているから逆流しないように留めるイメージも作って」


「はい」


 さらに2時間が経過していた。

 魔力感知の時とは比べ物にならないくらいの倦怠感と、さらに頭痛が起こっていた。

 そのかいあってか完璧とまでは言えないまでも右手に魔力を集中させることに成功していた。


「うん、魔力操作もなかなかね。

 今日はこの辺にしておきましょう」


 まだだ。

 一切妥協はしないし。

 何かを理由に後回しにはしたくなかった。


「いえ、まだいけますよ」


「ダメ。

 肉体的消耗はそこまでじゃないけど、精神的消耗は激しいはずよ。

 特にはじめての時は負担が大きいの。

 わかるでしょ。

 本当はこんなにやるつもりはなかったのよ。

 ただ君があまりに常識外れだから熱くなっちゃって。

 ごめんね。

 だから今日はもうおしまい」


「大丈夫ですよ」


「ダメ。

 それにもう夜よ。

 ご家族も心配してしまうから」


「・・・分かりました。

 なら家でも出来る訓練ってありますか?」


「・・・・・今日ははじめてで消耗が激しいはずだから魔力を動かすのはダメ。

 そのかわり体内の魔力感知を体の端から端まで感じとる練習ならいいよ」


「はい」


 その後、夜の道をソフィアと帰ったが何か言いたいことがあるのかこちらをチラチラ見てきていた。


 ソフィアの様子には気づいていたけど、俺は歩きながら体内の魔力の流れを確かめていたので特にその事には触れずに帰宅した。 

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