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黒龍殺しの付与術師  作者: しきな かいどう
少年期
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第11話 日課

 俺、カイリの朝は早い。

 朝、太陽が上りきる前に起きると近くの井戸に水を汲みにいく。

 ついでに顔も洗う。

 この時間だとまだ誰も利用していない。

 これが日が上りきると近所のマダムが集まり出して世間話を始める。

 そして「あら、いけない。朝食作る時間がなくなっちゃう。」までがテンプレである。


 以前うっかり出くわした際は「あら、カイリちゃん偉いわねえ、うちの子なんか手伝いもしないで」「うちもよ!ご飯にならないと起きなくて」「だいたい、旦那が」「そう言えば聞いた?この間」と1時間以上捕まりげんなりした。


 家に戻り、前日の稽古のおさらいと課題を意識して剣と槍の素振りをしてると、ゲインが起きてくる。

 そして朝稽古を始める。

 最初だけ素振りを見てもらい、ゲインが頷くと、攻め、守り、切り返しなどの応用の反復を行い、模擬戦に入る。

 最初の頃はアドバイスを受けながら20分間×2セットの後に総評だったが。

 それがある時から3本先取、2本先取、1本先取へと変わっていった。

 もっと稽古をしたかったから不満だったが、より無駄にしないためにも集中して取り組んだ。


 終わる頃には朝食が出来上がっていて家族みんなで食事する。


 毎朝仕事前のゲインに申し訳ないなと思いその事を伝えたら、


「気にしなくていいぞ。

 父さんも若いときは毎朝稽古してたし、最近のカイリとの稽古は自分の身になるしな。

 仕事の時には体も頭もすっきりしてて調子いいんだ。」


「そうよね。

 今は朝、顔を合わすとキリッとした格好いい顔してるもの。

 以前の子供たちと同じ眠そうな顔も可愛かったけど」


 と両親ののろけを見せられた。

 朝からご馳走さまだよ。

 その二人の様子を不思議そうに見ているのが双子の弟と妹だ。


 弟のギルバートは俺と違って目元の凛々しさと髪の色がゲインに似て、他のパーツがアイリ似と良いとこ取りだ。

 間違っても女の子に見られることはない。

 将来はイケメンになるだろう。

 たがそれで調子に乗ってちゃらくなって街で女の子に声かけてはしけこみ、「今月で6人目だぜ」とかなったらどうしよう。

 心配だ。

 いや、このままのギルなら大丈夫のはずだ。


 妹のアリスはアイリをそのまま小さくしたように容姿がそっくりだ。

 俺は目付きがやや悪いが、アリスは目元が少したれていて笑うととても愛らしい。

 将来はアイリと同じ癒し系の美人に育つだろう。

 今から変な虫がつかないか心配だ。 


「お兄ちゃん、今日は暇?」


 と弟のギルバート。

 さらに、


「今日は遊んでくれる約束だよね!」


 とは妹のアリスだ。

 2人ともまだ5歳で遊び盛りだ。


「午前中なら大丈夫。

 午後は山に薬草とか取り行かなきゃだし。」


「わかった!」


「えー午後も遊びたいよ」


「アリスわがまま言うなよ」


「ギル兄には言ってないもん」


 二人は双子だがあまり似ていない。

 兄のギルバートはしっかりしていて、妹のアリスは人見知りの甘えん坊だ。

 ギルは双子でも兄の自覚があるのだろう。

 ちなみに俺にはない。

 ゲインと2人で思いっきり甘やかしてたらアイリにろくな大人にならないからやめてちょうだいと怒られた。


「薬草は私が取りに行くからカイリは二人と遊んだら?」


「うーん、いや俺が行くよ。」


「あなたは子供なんだからもっと遊びなさい。

 昨日レイラちゃんが遊びに来たけどカイリがいなくてがっかりしてたわよ。

 そしたらレイラちゃんが二人と遊んでくれたのよ」


「レイラ姉ちゃんとも今日遊ぶの!?」


 もうアリスは俺とレイラを交えて遊びたくてしょうがないらしい。

 何も言わないがギルも遊びたいのか、少しそわそわしてる。

 可愛い弟達の為に遊んでやりたいのだが、


「いや、昨日仕掛けた罠も見に行かないと」


 最近は山に住む猟師の人から弓と罠を教えてもらっているのだ。

 薬草を取りに行くのは口実で、実際は山で素振りと弓の訓練、さらに高地トレーニングをしている。

 その猟師は寡黙な人で山に一人で住んで長いらしく、薬草の採取も場所を教えてくれてすぐ済んでしまう。


「むぅ」


 アリスが不満そうに口を紡ぐ。

 アイリの教育のおかげで甘えん坊だがわがままではない。

 俺とゲインではとんだわがままモンスターになっていただろう。

 いや、わがままでも可愛いんだけどね。

 それでは本人の為にはなるまい。


 朝ごはんを食べたあとアリスにせかされながら三人で遊び、お昼になる前に山へ向かう。

 昼食はパンだけを持っておかずは現地調達だ。 

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