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魔法じゃないよ!!

「よーし!中央宮殿に向かいましょ!」

 吾郎先生と生徒たちの意見がまとまったところで、ミファーがそう言った。

 中央宮殿とは、中央象徴国の一番豪華な建物で、お偉いさんが住んでいたり、他国の接待にやイベントなどにも使われる場所である。


「では、移動しましょう。」

 ヘンゼルが先頭に立つ形で、ヘンゼル、教団庁の人半分、先生&生徒+ミファー、教団庁の残り半分といった列で動き出した。


「うわ~」

「綺麗」

「いい空気!」

 いざないの間から外へ出ると、今の日本じゃ見られない大自然が広がっていた。陽光に照らされ緑輝く木の葉、吸っているだけに気分が良くなる空気に、遠くで聞こえる水の音。

 何人かの生徒が、これを見ただけで「ここに来てよかったかな」と思ったほどであった。

「すまないのう。『いざないの間』は聖なる場所ゆえ、都からは少し離れてあるのじゃ。もうしばらく歩けば馬車があるから辛抱してほしいのじゃ。」

 ヘンゼルが先頭から言う。


「うおおお!いい緑だな!どんな虫がいるのか楽しみだ」

「こんだけ空気が澄んでいるとさぞかし月が綺麗に見れれるに違いない。…ん?その前に、この世界というかこの星は月というか衛星があるのだろうか。」

 少年のようなことを言い出す治郎と、月があるのか心配する京也。能天気な二人であった。


 しばらく大自然を堪能していると。

「ねぇねぇ、巫女様?」

 一緒に同行していたミファーにとある女生徒が声をかけた。

「なあに?あとミファーでいいわよ。」

「えっじゃあミファー様?」

「ふふっ様もなくていいよ!呼び捨てで」

 ミファーが笑顔で言う。

「ミ、ミファー!」

「なあに?いざなわれし方様」

「わたしの名前はチエリっていうの!わたしも呼び捨てで読んで!」

「わかったわ!チエリ」

 ミファーに話しかけた女生徒は千恵里といい、クラスでは少し物静かであるが、笑顔が素敵でみんなに可愛がられているボブヘアの子だった。

「おっもう名前を憶えられたのか羨ましいぞチエリ!えっとオレはヨウタっていうんだミファー様!」

「ヨウタね。覚えたわ!あとあなたも呼び捨てで読んでくれてもかまわないわ!みんなもね!」

 次に声をかけたのは陽太という生徒で、バスケ部のエースであり、顔も良く誰でも気さくに声をかけるため、非常に人気がある生徒であった。

「じゃあ次は僕がいいかな?僕はユウサク。よろしくねミファー。」

 ユウサクは優作と書き、名前の通り優秀で学級委員長と学年委員長を務める次期生徒会長とも言われるメガネをかけた少し髪の長い優イケメンである。

「今度はうち!ナミだよ!よろっぴミファー!」

 ナミは奈美と書き、誰とでも仲良くなれるギャルであり、髪型と髪色が頻繁に変わるクラスのファッションリーダーである。

「んで、こっちがカズミ!」

「ちょっと勝手に紹介しないでよナミ!」

 奈美に紹介されたのは、かずみで平仮名で書く。気の強い性格で曲がったことが嫌いな黒髪ロングである。

「カズミよ。よろしくねミファー。」

「じゃあ、つぎは僕が、この人はスグルっていうんだ。」

「お、おうスグルだ。よ、よろしく。」

 今度は優作がそばにいたガタイの良いスグルを紹介した。彼は俊と書き、吾郎先生が顧問を務めるラグビー部の部員である。あまり女性とは喋ったことがないため、声が上ずっていた。

「みんな素敵ね!ユウサク、ナミ、カズミ、スグルよろしくね!」

 ミファーも上機嫌であいさつを返す。

 そして、彼らにならい他の生徒たちもミファーにあいさつするのであった。


「ところでチエリ、何か用があったんじゃないの?」

 ひと段落終えたミファーが千恵里に思い出したように聞く。

「あっうん!さっきの場所で出現した光の珠ってミファーが出したのかなって。」

「そうよ!あれは『陽光の瞳』っていうの!とても綺麗だったでしょ!」

「うん!とても綺麗だったよ!あれって、魔法なの?」

「魔法じゃないよ!?」

 千恵里の問いに驚きをもって返すミファー。その声に周りの皆もそちらを見る、。

「えっ?魔法じゃないの?」

「もちろん魔法じゃないよ!もうっこんな感じだけど私は巫女なんだからねっ。外道な魔法なんて使うわけないよ!」

 ミファーがとてもぷんぷんしながら言う。

「ごめんんさい!ああいうの魔法とかしか知らなくて。」

「そうなの?チエリの世界では魔法しかないってこと?」

「え~と、そうじゃなくて、魔法も作りものっていうか…。」

「ああいう現象は俺たちの世界ではないんだよミファー。ああいうのは作り物の話の中だけのもんで、それではよく魔法って扱われるんだ。」

 返答に困ってしまっていた千恵里に助け船をだした陽太。

「そうなのね。驚きだわ!ということは『神』や『巫術』もないってことなの?」

「か、神はいたりいなかったりするんだけど…。」

 普段そういうのにかかわりを持たない陽太はへんな返答をしてしまう。

「そうなの。自由気ままな神様なのね!」

 ゆえにミファーに変な誤解を与えてしまうのであった。


「ミファー、『巫術』ってなんなのだい?」

 優作がミファーに訊ねた。

「『巫術』というのはね簡単に言うと奇跡のことなのよ!」

「奇跡?」

「そうよ!祈りをささげて神の力を分けて貰ってとっても素敵なことを起こすことなのよ!」

 ミファーが瞳を輝かせながら言う。

「それは、ミファーだけができるのかい?」

「いいえ。祈る思いの強さがあれば誰だって奇跡をおこせるわ!」

「誰でも…っていうことは僕たちも?」

「もちろんよ!だけどね、悪いことを考えている人やあくどい人間にはできないわ!心が清くないと駄目なの!」

「そうなんだ。僕たちは悪人ではないと思うのだけど、前の世界では神様を信じていなかったんだけどだいじょうぶかな?」

「大丈夫よ!信じればいいのだから。ユウサクはきっとこの世界で信じられる神に邂逅できるわ!」

 ミファーが自身満々に返した。

「神っていっぱいいるの?」

 かずみがミファーに聞く。

「そうよ!だからあなたも素敵な神と巡り合えるわカズミ!」

「ミファっちが信じている神ってどんな感じなの?」

 ここで奈美がミファーに聞いた。

「ふふっよくぞ聞いてくれましたわナミ!私が信仰しているのは『サーメ』様よ!太陽の神でとても強く温かい神様なの。私が巫女を務めている陽光彩紀団の主柱であるのよ!」

「他にも教団があるのかい?み、ミファー」

 意を決した感じで俊がきく。

「ええ、陽光彩紀団を含め11の教団があるわ。」

「そんなにあるのか。この世界は魔神がいなければとても平和な世界なんだな。」

 陽太が感心したようにいう。

「そうでもないの。」

 ミファーが悲しそうに言う。

「どうしてだい?悪い人がいても巫術?とかいうのでどうとでもできるんじゃないか?相手は使えないわけだし。」

 陽太が不思議そうに聞く。

「確かに悪い人は巫術を使えないのだけど、魔法が使える人がいるの。」

「魔法?」

「そう。正確には魔術っていうのだけど、大昔に神々に敵対する悪い人たちが編み出した術といわれてて、魔神もその産物だといわれているの。」

「だから、さっきはとても怒っていたんだね。ごめんねミファー。」

 千恵里が申し訳なさそうに言う。

「いいのよチエリ!知らなかったんだもの。チエリは魔術なんか使えるようになっちゃだめよ!」

「うん!もちろんだよ約束するね。」

 ミファーとチエリが約束を交わす。


「もうすぐ森の出口ですぞ!」

 前方でヘンゼルが叫んだ。

当作品では魔法は悪者の術になります。


それにしても主人公が影薄すぎる…

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