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吾郎先生の頑張り

ミファーがだした光の珠については次回に

 突然のことで、みんなは落ち着きを取り戻した。

「巫女様。ありがとうございます。」

「ふふん♪どういたしまして。」

 ヘンゼルがミファーに対して礼を言う。それに対して光の珠を消し、誇らしげにするミファーであった。


「おほん。皆様、先ほどは配慮のない説明をしてしまい申し訳ない。我らとて皆様に魔神や魔物たちと戦ってもらおうとは必ずしも思っておらんのじゃ。

「どういうことだ。先ほどは異世界から来た人が魔神と戦ったと言ったではないか。それなのに私や生徒たちは戦わなくてもいいとは。」

「そのことなんじゃが。はるか昔に異世界から来たものらは全員が戦ったわけじゃないのじゃ。異世界人ゆえのこの世界にない知識や知恵などで農業や工業などを発展させたり、戦術の指南をしたりして等で間接的に貢献してくれた者も多かったそうじゃ。」

「なるほど、なら私らは戦わなくていいと。」

「そうじゃ。だが内情を言えば幾人かは直接戦ってくれるものが欲しい。おぬしらは異世界を渡った際に尋常ならぬ力を手に入れてるはずじゃからのう。もちろん無理強いはせぬ。誰ひとりそのようなものがいなくともおぬしらの知識は大いに役に立ってくれるはずじゃから。」

「…あなた方の言いたいことは分かった。まだ完全には信じられないが魔神とかがいて大変だということも。しかし」

 ここで吾郎先生は1拍を置く。

「しかしそれはあなた方の問題だ。非情なことを言うようで悪いが、急に私らを連れ去らい協力しろとなど堪忍できん。なにより大人の私だけならまだしも、後ろにいる者たちは学生でありまだ子供だ。彼らの帰りを待つ保護者だっているのだ。とてもこんな滅ぶ危険のあるところにいさせられん。どうしてもというなら私だけが戦闘でもなんでもやろう。だから生徒の皆をもとの教室へ帰してくれ!」

 吾郎先生が怒りつつも決意を込めて言う。

「「先生…」」

 何人かの生徒が感嘆の声を漏らす。普段先生を嫌っている生徒も目の周りが赤くなっている。


「ふむぅ。そなたの決意に賛嘆を。じゃがしかしそれはできぬ。」

 ヘンゼルが目を伏せていう。

「なぜだ!」

 吾郎先生は理解できないという風に体を震わし言う。

「おぬしらこの世界にこれたのは神々による奇跡でのう。わしらは返し方がはっきりとはわからんのじゃ。」

「な…な、なんだと!」

 吾郎先生は顔を真っ赤にし再び激昂するが、怒りのあまり声が上手く出ないようだった。

 生徒たちもヘンゼルの説明で赤くなったり青くなったりしているが、吾郎先生の気迫にあてられ声は発さない。

「落ち着いて下され!帰れる可能性がゼロというわけではないのじゃ!」

 ヘンゼルが慌てて修正を行う。

「…。」

 吾郎先生は睨みつけ先を促す。

「伝承の英雄の幾人かは元の世界に帰ったという。魔神との戦いで成長し、世界間を超える方法をみにつけたそうじゃ。あと、おぬしらをよんだ時のようにわしらが神々に祈れば帰れるかもしれぬ。」

「ならば、その祈りを今すぐにでもやってもらいたい!」

「無論今すぐにでも取り掛かる準備をしよう。しかし、おぬしらをいざなう儀式をして、実際に召喚されるまでかなりの歳月が掛ったのじゃ。それこそもうあきらめようとしたほどに!故にすぐさま儀式を行ったとしても、すぐに帰れるとも保障はできぬ。そこは理解して欲しいのじゃ。」

 ヘンゼルが懇願するようにいう。

「つまり下手をすれば、魔神復活までに間に合うとも限らんということか。」

 なんとか怒りを抑えながら吾郎先生は聞く。

「う、うむ。」

「仮に間に合ったとしても数年かかるようならば同じだ!長い年月の間、行方不明になっていたのに元の世界に帰れば世間から生徒たちが奇異の目で見られる。どうしてそうなったのかを説明しても誰も信じないだろう。生徒の人生はめちゃくちゃになる!」

 吾郎先生はそれは駄目だという。

「そこは安心してくだされ!伝承によると元の世界に帰りつい時間は、どんなにこの世界に居ようとも召喚された時間の1秒後になるそうじゃ!」

「それは本当か?」

「うむ。わしも詳しくわからんが世界とはそうなっているらしい。」

「…わかった信じよう。」

 吾郎先生はしぶしぶといった感じで一応納得はした。

「そして、これからのことなんじゃが、お詫びとして招待をさせてくれぬじゃろうか。ごちそうなどを国仕えの一流シェフに用意させておる。」

 ヘンゼルがそう提案する。

「準備が良いな。」

 怪訝な声で吾郎先生がいう。

「歓迎ようにと準備をしていた物じゃ。おぬしらの召喚を感知し、ここに来る前に頼んでおいたものじゃ。」

「そうか疑ってすまなかった。ぜひともその招待を受けよう。先ほどもついかっとなってしまい申し訳ない。生徒のことになるとどうも冷静になれなくて。」

「いやいや。そなたは良い教師じゃのう。」


 吾郎先生は後ろを向き、生徒たちを見た。

「みんなも今聞いた通り、この世界は魔神の恐怖にさらされている!だから俺たちがここに召喚?されたそうだ。だが!別に俺たちが戦わなくてもいいそうだ。時間がかかるかもしれんが元の世界にも返してくれるらしい。たとえ時間が長くかかったとしても元の世界では1秒差しかないそうだ。」

 ここで生徒を見まわし、

「それで元の世界に帰るまでの間彼らにお世話になろうと思う。ごちそうも用意しているとのことだ。先生が勝手に決めてしまったが皆いいよな?」

 吾郎先生が皆にたずねる。

 生徒たちが一瞬間を置き、

「もちろん!」

「ゴロー先生ありがとう!」

「ごちそう楽しみ~」

 吾郎先生の頑張りのおかげで生徒たちから不安が除かれていたのであった。

「よし、決まりだな!」

ふと気づく。今回は主人公が登場してない…。

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