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いざなわれた理由

「先ほども言いましたように、わし達は中央象徴国の者じゃ。じゃが、この巫女様は陽光公国の者じゃ。」

 ローブのおじいさんが語りだす。

「申し遅れたが、わしの名はヘンゼルと申す。この中央象徴国の教団庁の長をやっておる。後ろの者たちは、同じ教団庁のメンバーじゃ。」

「教団庁ですか…それはいったい。」

 ヘンゼルの説明に対し、吾郎先生が疑問を返す。

「ふむ。教団庁とはこの世界にある教団を管理を担う仕事じゃ。まぁ管理といっても教団同士の揉め事などの仲裁といった雑用が多いがのう。ほっほっほ。」

 ヘンゼルが自嘲気味に笑う。

「そもそもここ中央象徴国自体が教団のまとめ上げるために誕生した国でのう。どの教団に対しても中立である故に国の名もこのような名前になっておる。」


「どいうことだ??」

 治郎が小声で京也に尋ねる。

「なんとなくだけど、国の名前が中立を表しているってことじゃないかな。」

 京也も自信なさげに返答する。


「あなた方のことは、まぁ、だいたいは分かりました。」

 吾郎先生が本当にわかっているのかわからない返答をする。

「ごほん。大事なのは、なぜ私たちが教室からこの場所にいるかってことです!」

 吾郎先生はようやく肝心な部分に踏み込めると意気込む。


「キョウヤ、何だと思う?やっぱり魔王とかかな。」

 治郎が少しワクワクしながら京也に質問を投げかける。

「まー、そうじゃないか。嫌だが。」

 京也は少し、しかめ面で答える。


「なぜここにいるのか、それは我らが全教団に呼びかけ、儀式を行ったからじゃ。」

「何のために?」

「それはじゃのう。」

 ヘンゼルが少し言いよどむ。

「魔神に対抗するためよ!」

「巫女様!?」

 突如として今まで後ろに控えていたミファーが口を挟んだ。

「…魔神とは?」

 吾郎先生が恐る恐る尋ねる。

「はるか昔に存在した魔神がおりましてな。伝承によるとこの世界を廃滅寸前になるまで暴れまわったそうじゃ。あわや世界の終わると思われた時に異世界より英雄が現れたのじゃ。その英雄は人智を超えた力をもっておった。その英雄と今でも残る11の教団により魔神は封印されたのじゃ。じゃが」

 ここでヘイゼルは一息つき。

「じゃが、その封印が破られようとしているのじゃ。」

 ヘイゼルの説明によると、世界各地に魔物と呼ばれる魔神の先兵が現れてきているようであった。これが伝承に説かれる魔神復活のサインと一致するとのことであった。


「故に、古の戦いにならい助けてもらおうと皆さんをお呼びしたのじゃ。」

「…ということは私たちに魔神と闘えというのか!ふざけるなっ!」

 ヘイゼルの説明を聞き終え、吾郎先生が激昂する。

「そんなの無理だよっ!」

「家に帰してよ!」

「ママ!!」

 もちろん生徒たちも発狂する。


「み、みなさん落ち着いて下され!」

「いざないの皆様方どうか落ち着いて!」

「お静かに!お静かに!」

 ヘイゼルと教団庁の方々が鎮めにかかり大騒乱となる。


「キョウヤ!俺惜しかったな!魔王じゃなくて魔神だったか!」

「そんなこと言ってる場合か!」

 大騒乱の中、治郎が大声で京也に呼びかけた。京也は何を呑気にと怒鳴り返す。

 

「帰して―!!!」

「落ち着いて下され!!!」

「ふざけるな!」

「話を最後まで聞いてください!」


 だんだんとヒートアップする狂騒。

 とそこに


「陽光の瞳」

 ぴかっとまぶしい光が部屋を包み込む。

「きゃっなにこれ」

「まぶしい!」

 みんな騒ぎを忘れ目を覆い隠す。

 そして、だんだんと光が収まっていき、あたりを見られるようになってきた。

「なにあれ!」

「綺麗…」

 幾人かの生徒が天井の方を指さしてつぶやいた。


「んん、なんだ?」

 京也も声につられ指が示す方を見る。

「あれは、まほう…?」

 部屋の天井の方に赤白く輝く光の珠があった。

 

 そして、その真下には、


「皆さん、落ち着きましたか?」

 先ほどの天真爛漫な笑顔とは打って変わって、微笑みを浮かべたミファーがいた。


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