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異世界召喚

熱がつづくうちに書く!

「…きろ!…起きろ!キョウヤ!」

「んん…ジロウ?」

「目が覚めたかキョウヤ!」

「ああ…」

(あれ?俺は何で寝ていたのだろう)

京也は徐々に覚醒していき、辺りを見まわした。

「どこだここ」

 辺りは大理石造りの六角形状の部屋であり薄暗く、床には綺麗な青白い光で何らかの模様が輝いていた。そして、見慣れたクラスメイトが不思議そうな顔をしたり、不安な顔だったり、ポカンとしたりとして周囲にいた。


「これはいったい。」

 京也が辺りを見回しながら言う。

「きっと異世界召喚だぜキョウヤ!やったな!」

「いやいやまさかそんなこと。」

(ありえないだろ)

「だって、急にぴかっと光って、目が覚めたら見たこともない場所。そしてなにより青白く光る地面!まちがいないってこんなの異世界召喚のテンプレートだろ!」

「…。」

 治郎が興奮してそう告げてくる。京也は頭の中がまだ整理できていないが、

(ジローの言う通り異世界召喚かな)

と思い始めていた。

(だとしたら少し、いやだいぶワクワクしてきたな。)

普段から治郎と共にラノベ、特にファンタジー小説をたしなむ京也は、異世界召喚にあこがれていたことが少なからずあった。


(異世界召喚だとすると、召喚者はどこだ)

そう京也が思ったとき


ガタンッガラガラガラガラガラ


 京也と治郎がいたもっとも近い壁の反対側の壁、つまり二人から一番遠い壁にある扉が横に開かれていったのである。

 奇妙なもので扉が開き切る間誰も言葉を発さなかった。誰もが突如として先ほどまでいた教室から、薄暗い部屋に召喚されたのである。恐怖で声を出すことができなかったのであろう。


そして、扉の外からぞろぞろとローブを着た人たちが入室してきた。

「だ、誰!?」

「うわああああ」

「お助け~」

 もちろんクラスメイトはパニックである。意味わからない状況に恐怖している中で怪しいローブを着た人がたくさん現れたのだ当然である。比較的落ち着いているのは、この状況を異世界召喚だと思っている京也たちと他数人だけであった。


「皆さん落ち着いて下され!」

周りと少しだけ違う趣のあるローブを着た人がそう叫んだ。


「やばいよやばいよやばいよ」

「死にたくないよ~」

「えっえっえっえっ」


しかし、パニックに陥っているクラスメイト達は全然聞こえていなかった。


「キョウヤ、みんなパニックになってる。鎮め方わかんねぇ!」

「ああ」

治郎が分かり切ったことを言ってくる。

(だけど、このままパニックが続けば何が起きるかわからんぞ)

 京也たちの仮説どおりこれが異世界召喚であれば、彼らは魔術といったことができるはずである。パニック状態が長続きすれば魔法を使うかもしれない。例えばその魔法が落ち着きを取り戻せる精神魔法といったものであればいいが、炎といった攻撃魔法で脅すなどであってはさすがに京也たちも怖い。

 そう京也が危惧していたところ


「誰だ!お前たちは!ここはどこだ!」


と叫ぶ者がいた。それは

(ゴロー先生!?いたのか!)

 てっきり生徒だけが召喚されたもんだと思っていた京也は驚いた。

 田中吾郎先生、あだ名はゴロー先生もしくは一部の女生徒からはゴロちゃん先生と呼ばれている。筋肉ムキムキ&獣みたいな体毛を持つラグビー部顧問の先生である。

 いつも怒声が大きく、恐怖の対象にもなっている先生である。それゆえこの場においては、そのたくましさがとてつもない安心感をみんなに与えてく、徐々に生徒たちは落ち着きを取り戻していった。


「わし達は中央象徴国のものである。そしてここは中央象徴国の聖域である『いざないの間』である。」


(中央象徴国?変な名前だな)

 京也は国の名前を聞いて、素直にそう思った。

「なぁなぁキョウヤ、変な名前だな」

 どうやら治郎も京也と同じことを思ったらしい。


「中央象徴国?そんな国聞いたことがない!」

 ゴロー先生が声を荒あげる。

「それもそのはず。皆様方は違う世界からわし達が召喚の奇跡を祈り、この世界に召喚させてもらったからじゃ。」


「なんだと…」

 流石にゴロー先生もあっけにとられていた。

 生徒たちも驚きの表情をしている。ただ一部の生徒は「やっぱりか~」とかつぶやいていた。


「いきなりの召喚、誠に申し訳ない。しかしこれには事情がある。聞いてもらえないだろうか?」

「お、おう」

 ゴロー先生がなんとか返答する。


(事情か~やはりテンプレートに魔王関連だろうか。ジロウはどう考えているかな)

 京也はそう考えつつ横をちらりと見ると

(めっちゃ顔を輝かせている!?)

 治郎はとてもいい顔をしていた。


「うむ、ありがとう。その事情というのは…」

「ついに召喚の奇跡が起こったんだね!」

 ローブのおじさんの声を遮り、ローブの人らの後ろから声が響いた。

「む、この声は太陽の巫女」

「さぁ、どいてどいて!」

 声の主はローブの人たちをかき分け、俺たちの前に躍り出た。


「おおぉぉ」

 クラスメイトから男女問わず感嘆の声が上がる。

 なぜなら、

「やべぇよキョウヤ!これまたテンプレ通り金髪美女だ!」

治郎が興奮して京也に声をかける。治郎の言う通り金髪の美女である。しかしよく見ると少し赤みがあり、オレンジっぽくも見える。服装は白を基調とした布地にオレンジの刺繍のあるローブを着ていた。


「しかし金髪か~」

「なんだよキョウヤ、金髪嫌いなのか?」

「いや、そうではないけど」

 ただ単に、京也は金髪よりも銀髪や白髪が好きなだけである。なぜなら、銀髪とかの方が月の光っぽいからである!

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