早いもので決勝戦 前半
お披露目会は順調に進んでいき、遂に決勝戦となった。数試合行った平均得点の高い上位6人が選出されバトルを行う。
決勝戦ということもあり、バトル時間が大幅に伸ばされ、相手を倒したかどうかでもポイントが付く特別ルールである。
そして、そんな決勝戦に勝ち残ったメンバーとは
「ヨウタ君たち凄い!みんな残るなんて!」
選ばれたメンバーは、陽太、優作、奈美、かずみ、俊のクラス人気メンバーと、
「なんか…すごい偏りっていうか、治郎が浮くな…。」
治郎であった。
『それでは試合開始です!』
「「「「「「「「「「ワーーーーーーーーーーーー!!!」」」」」」」
アナウンスと共に歓声が起こる。決勝戦とあって観客にも熱がこもる。
「『深海の静謐』」
初手でかずみが術を唱えた。彼女の身体を青く淡い光が包み込む。
「あれは海の中級巫術だね。」
フレディがかずみを見ながら言う。
「どんな術なんですか?」
京也がフレディに尋ねた。
「海の系統は不変と重み。あの術は自身の耐久力をあげると同時に、あらゆるデバフ効果を受け付けなくするんだ。
「せいやっ!」
彼女はもともと持っていた刃のつぶれた刀を構えて近くにいた俊に迫る。
「!…『地盤強化』」
俊は慌てて術を唱える。全身が淡いオレンジの光で包まれた。
「あれは地の中級巫術。先ほどの地面強化の上位版だ。」
「ふんっ!」
フレディの説明と俊の声が重なる。
俊はかずみの刀を片腕で受け止めていた。
「せいっ!」
刀をもう片方の腕で掴み、俊はかずみに足蹴りを放った。
「!!っと。」
かずみはそれを刀を手放し間一髪で避ける。
「ほいっと」
俊はかずみから奪い取った刀を後方へ投げ飛ばした。
「舐めた真似してくれるじゃない。」
「ごめん。カズミ。」
かずみの文句に素直に謝る俊。
「スグルくらえ~!!」
とそこに奈美が俊に攻撃してきた。何かの鉄片を俊に投げつける。
「ぐわわわわわ!?」
不意打ちで避けれず鉄片に当たり震える俊。
「あれはなにを?」
京也がフレディに尋ねた。
「う~ん。彼女を注視していなかったから正しくは分からないけど、『金鳴の響き』じゃないかな?金の系統は電気と操作。多分あの鉄片に電気でも付与したのだと思う。」
「それは強いですね。」
「うん確かに、金の巫術と火の巫術は攻撃に特化しているからね。」
フレディがひげを撫でつつ答える。
「ぐううう。ナミ、不意打ちは卑怯だ。」
「それが戦闘ってやつっしょ!」
奈美がどや顔で言う。
「じゃあ怒らないでね?」
「えっ?」
隙をついて奈美の背中に回っていた。彼女の肩に量手を置き、
「『深海の抱擁』!」
「うううぅ!?」
奈美の全身に大きな重圧がかかりだす。彼女は立てなくなり地面に降れ伏す。
「ちょっこれ卑怯!」
「それが戦闘というものでしょ?」
「あーーーー!それ私のセリフ―!」
奈美が憤慨する。
「さて、これで一人減ったわね。」
「あ、ああ。」
奈美を横目にかずみと俊が対峙する。
「ああ、もう!」
奈美がなんとか体を動かそうともがく。
「『海流の渡し船』」
そうかずみが唱えると、飛んでいった刀が手元にすいすいと戻ってきた。
「さぁ、リベンジよ!」
「かかってこい!」
「うちもまぜろーーーーーー!」
かずみと俊が対峙するなか、奈美の声が響き渡った。




