3カ月たちました。
京也らがこの世界に来てから3カ月がたった。生徒たちは巫術を学び始めた頃と比べ、かなり上達していうる。一番不得意な生徒でも、この世界の同年代よりうまく使えるほどである。
これには教団庁や各教団は驚きを隠せなかった。彼らの事前の予想では、今のレベルになるまでに最低一年はかかるだろうと思っていたからだ。
巫術を上手く扱うには、月巫術なら月、天巫術なら天(空)といったその系統のシンボルをよく知っていることが重要である。その点前の世界では科学がこの世界より発展しており、生徒らもテレビや授業や何かしらで、月は何故満ち欠けするのかや、なぜ雲が出来るのか等知っているため、巫術で起こる現象をイメージしやすかったのである。
こんな感じで毎日の訓練のかいもあり、生徒らの巫術は上達していった。
もちろん3カ月間、訓練だけではなかった。教団側には生徒らの巫術教授だけではなく、生徒らにこの世界を好きになってもらい、帰らないようにもしなければなかった。故に、各教団らは各々で策を練り例えば天嵐楽団主催の記念演奏会といったイベントを開いたり、教団庁が国内で開催される祭りに生徒を参加させ、この世界の住人と触れ合わせたりと教団らは結構な負担を背負っていた。
しかし、そのかいもあって生徒らはかなりこの世界に親近感を抱き始めていた。所々で生徒が「もし元の世界に帰ったら、この世界の皆死んじゃうのかな。」などと話す者が増えた。
それ以外にも、元の世界にない巫術にはまったり、単ネットとかなく、四六時中人間関係に追われることがなくなったため、この世界の方が気楽だという人が出てきたりもした。
そのため、生徒らの中で、元の世界に帰らず、この世界で魔神に戦うことがほぼ決まりつつあった。この世界の人々を守りたいというのもあるが、単純に自分たちの周りよりも早い成長力に調子に乗っている部分もあった。ちなみに今でも吾郎先生はこの世界に残り生徒が戦うことは反対している。
そして、訓練開始から3カ月たった今、あるイベントが行われようとしていた。
「なぁキョウヤ。」
「ん?」
「キョウヤは、お披露目会に参加するか?」
お披露目会とは、3カ月の訓練の成果を見せ合い。他の教団との成長の差や、普段は目にしない他の巫術との違いを知り、今後の訓練に生かしてもらうためのものだ。参加は希望制である。実はこれは他の巫術を見たいという生徒らの要望により開催が決まった。故に、かなりの生徒が参加を希望していた。
「俺は参加しない。」
「だよな!やっぱ参加す…ってええええ!?なんでだよ!こんなビックイベント参加するしかないだろう。」
「俺が出ても詰まらんだろう。ジローを毎回ワンパンしてるし。当日は観客席で観てるよ。」
京也が椅子の背もたれに体を預けながら目をつむっていう。
「うう、最後にやった一月前よりか成長してるからな!」
そうなのである。二人は時たまに決闘しているが、初めに引き分けになって以来ジローの連敗であるのだ。しかもやるたびに差が広がっていた。巫術の格が違かった。
最近では、モモッモとも戦っているが、京也の成長速度はすさまじく、初めは負けていたが、今では五分五分ほどになっている。モモッモは「ありえないですよ!これでも教団庁に勤める前は「双月の炎学団」の巫補佐なんでしたからね!それなのにもう私に追いつくなんて。」と嘆いていた。ちなみに巫補佐は教団のトップ3なので、何気にモモッモはエリートだった。
そんなモモッモに、多分生徒の中で一番の巫術使いと言われている京也は、わざわざ理由もなく戦う必要はないと思っているのだ。
「まぁ、まだ参加締め切りまで時間あるし、考えておいてくれよな!自主訓練に行ってくる!」
治郎は部屋を出ていった。
「(だから出ないって言ってるのに。)」
と思いながら本を開いた。




