4話
「……なんて事だ」
「こちら第五部隊。先行した第一から第四部隊……おそらく全員が死亡している。魔法を使用し敵と交戦した形跡あり。まだ新しい。敵はそう遠くには行っていないはずだ。至急増援を求む。通信終了」
「隊長……見てください」
「……これほどまでに凄惨な遺体は今まで見たことがない。本当に相手は人間なのか……?」
まるで外側から強い力を加えられたかのように、頭部が完全に粉砕された隊員の亡骸を見て呟いた。
その他も鋭利な刃物で首元等の急所を切り裂かれ絶命している者や、中には全身がズタズタになるまで刺された凄惨な亡骸もあった。
「探知に何か反応はあったか」
「いえ、この周辺には我々の生体反応しかありません」
隊員の一人がこの城の地図を広げ、地図上に表示された赤いビーコンを確認しながらそう言った。
この地図は魔法の力を付与したもので、城内の一定範囲であれば、生体反応に反応し地図上に赤のビーコンとして表示される。
「分かった。ここに辿り着くまでにすれ違った者はいない。地図に反応が無いという事は、恐らく敵はこの道を引き返したはずだ。すぐに後を追いかけるぞ。だが、油断するなよ……どこから来るか分からん。全員、隠密魔法を使用して俺に続け」
それを合図に隊員達は魔法の詠唱を開始する。すると、分隊全員の身体が薄緑色に淡く光を放ち始め、数秒ほどでその光は弱まり消えた。
それを確認した隊長はゆっくりと頷き、周囲に最大限の警戒を払いながら前進する。
――しかしこの時、実はある致命的なミスをしてしまっていた。
探知で地図上に現れるビーコンは、上下に重なっていた場合、一つの生体反応としてしか表示されない。
その侵入者が天井の柱に掴まり、彼らの会話や行動の全てを、真上から白塗りのハロウィンマスク越しにじっと見つめていた。
そして前方にのみ注意を向けた彼らの背後に、片手で天井の柱にぶら下がった侵入者が音もなく天井から降りてきている事を気付く者は、誰一人いなかった。