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基礎から始める戦闘指導

 「お前何でそのレベルで30回もラスボス挑んで勝ててないんだよ!?」

 

 雅道は思わず大声をあげてしまった。レベル80の人間が一人でたとえ挑んだとしてもラスボスであるドラゴン、『竜王バグルザーグ』には正直楽勝で勝てる。それなのに勝ったことがないのはおかしい。


 「だってあいつ強いじゃん?」

 

 「いや、強いよ!?強いけどさぁ?それよりもお前のほうが強いはずなんだよ!何で勝てねぇんだよ!?」


 「知らないわよ!そんなの!大体ラスボスって何?そんな名前の敵見たことないし!」


 「・・・ん?ちょっと待って?今何って言った?」


 「だから!『ラスボス』なんて名前の敵は見たことないんだって!」


 「・・・は?」


 ーーまさかこいつ・・・。


 「お前ゲームってこのゲーム以外にしたことある?」


 「いや、ないけど・・・。」


 「どうしても勝てなかったときにこのゲームについての攻略本とか攻略サイトとか見たりしたのか?」


 「攻略本?攻略サイト?そんなものあるの?」


 「お前がそのレベルで勝てなかった理由わかった気がするよ・・・。」


 「何が言いたいのよ?」


 「お前、ゲーム初心者だろ?」


 「そうね。」


 雅道は大きくため息をついた。


 ーーそりゃ勝てねぇ訳だ・・・。しかしどうしてもラスボスは倒さなきゃなんねーし・・・。ここで今やるべき事は・・・。


 「よし、鍛えなおしだ。俺がこのゲームについてのすべてをお前に叩き込んでやる。」


 「何でアンタに習わなきゃならないのよ!」


 「お前が弱いだからだよ!ラスボス戦なんて俺はレベル50のときに勝ったぞ!?普通そんくらいで勝てるもんなんだよ!」


 「う・・・嘘でしょ・・・。そんなレベルで勝てるなんて・・・。」


 「とりあえず俺が基礎から教えてやるからしっかり聞けよ!わかったか?」


 「は・・・はい。」


 この瞬間、二人の立場は完全に反転していた。


 

 早速フィールドにでて未瑠への指導が始まった。


 「まずは現状を考えた上での作戦会議だ。今すべき事は何かな?未瑠君?」


 「はい!先生!パーティを増やすことです!」


 「うーん・・・。確かにゲームの世界ならそうしたかもしれないがここではそれはできない。」


 「は?何でよ?仲間いないと倒せないじゃない!」


 ーーあれ?立場もう戻ってね?まぁそれはいいとして・・・。


 「仲間を増やすことは大事だ。だけどこの世界でそれはできない。なぜなら、この世界の住人はみんな現実世界の人間だからだ。最初にいた教官だって先生だった。そして見た感じだと周りの人間も学校の関係者がほとんどだ。なぜあいつらが俺らみたいなプレーヤーじゃなくゲームの住人なのかはよくわからんが、とにかくそいつらは巻き込めない。俺たちは復活の手段も分からない状態なんだ。その状態で他の奴らまで死なれるとヤバイからな。」


 「アンタ・・・。見かけによらず結構考えてるのね。」


 「おい、一言多いぞ。」


 「それで?どうするの?」


 「まず、バトルタイプの確認からだ。」


 ドラゴニックファンタジーではバトルタイプというものが存在する。これは、ゲーム開始時にステータスと共にランダムに与えられるものであり、戦士や格闘家などの物理攻撃が基本となる職業に向いている『ファイター』、僧侶や魔法使いなど魔法を基本とした職業に向いている『マジシャン』、スナイパーや狩人など遠距離攻撃を得意とした職業に向いている『ハンター』の3つだ。ちなみに雅道はファイターだったので大剣を最初に選んでいる。


 「お前は最初にロッドを選んでたよな?って事は『マジシャン』だったのか?」


 「バトルタイプ?そんなの見てないけど、確認してみるわ。」


 ーーこいつ。ホントに何も知らないのか・・・。


 「そうね。マジシャンだったわ。」


 「なら好都合だ。見たところお前の今揃えれる装備の中で魔法使いの装備が充実してるからな。というか、偶然だけど職業魔法使いだし。ついでに今何の呪文覚えてるかわかるか?」

 

 「魔法使ったことないからな〜。ちょっと待ってて。」


 ーー魔法使ったことなかったのかよ・・・。それただの魔法使いのコスプレした一般人じゃん・・・。


 「30個くらいあるわね。」


 ーー30個・・・。覚えられる魔法は全部覚えてるってことか・・・。まぁレベル80だし当たり前か。


 「よし、そこまでわかれば十分だ。あとはひたすら呪文について教えていくしかないな。その辺の敵と実際に戦って練習しよう。それが終わったら戦いの流れを確認して、装備と道具を買いに行ってあとは・・・。」


 「このゲームって案外面倒くさいのね。」


 「レベル80まで上げるほうがよっぽど面倒だけどな・・・。」

 

 それから二人は着々とドラゴン討伐の準備を進め、決戦の時はもう目の前まで来ていた。だがこの時雅道は未瑠の指導のことばかり考えていたため、ある重要なことを見過ごしてしまっていた。それが後々自分を追い込む羽目になることも知らずに・・・。

 

 

 

 

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