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異能×屍 -終末における俺の異能の有用性について‐  作者: ペリ一
競合の章

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42/51

第2話

投稿遅れました!すみません!






 

「……本当に記憶が無いのか?」


「あ、ああ。気が付いたら君達とここを歩いていたんだ」


「……」


 柚子の結界と共に移動しつつ天啓の保有者__浅野あさの いつきと先ほどの現象について話し合う。


「まぁ天啓プロフェットの異能による現象……と言うのは簡単なんだがな……」


 あの時の浅野の様子は、ハッキリ言って異常だった。



 ……あの時の様子に無理やり既存の概念で名付けを行うとすれば__神憑り、と言った所だろうか。


 だが神憑りというのは本来、単なる精神分裂病の一種だ。


 その身に本当に神を降ろしている訳ではなく、現在の自分よりも上位の人格が呼び出されたに過ぎない。



 この上位の人格、これは普段同時に扱う事の出来ないような脳の部位を同時活動させ、記憶の底まで把握する能力や超人的な洞察力を得た人格である……と、言われている。


 これにより神憑り状態において、本人が知っている筈の無い情報を知っていたり、物事を予知したりする等の現象が起こる。


 実際にはそれは、本当は何処かで知っていたが記憶の奥にしまわれていた情報であったり、驚異的な洞察力による正確な推測なのだが……



 そして元の人格が表に出た頃には、上位人格のような脳の同時使用が出来なくなっており、必然的に上位人格の頃の経験が奥に仕舞われたまま出てこなくなる。


 ……さて、ここまで聞くと「成る程。であれば先ほどの浅野は単に精神分裂病の症状が出ていただけなのか」

 そう思うかもしれない。


 だが、それでは説明がつかない事象があったから、今現在も話し合いが続いているのだ。



 それは。



「浅野さんが喋っていた言語。僕にはアレは人では到底不可能な域にあるモノに感じたね」



 そう。


 今柚子が言及した__あの何を喋っているか分からないにも関わらず、意味だけは・・・・・伝わってくる、言語ともつかぬ……ナニカ。


 アレの説明がどう解釈しても腑に落ちない。


 これでは、浅野に本当に神が降りてきていたと解釈する他なくなってしまう。



「憑依の異能じゃないの?青葉、何かそんな感じの異能知らない?」


 赤嶺さんの言葉にハッとさせられる。


 そうか。憑依の異能。


「それに該当するような異能は知らない。ただ、未確認の異能でそういったタイプのモノがある可能性は……あるんじゃないか?」


「そうなの?」


「ああ。執斗の異能みたく、精神にのみ宿るタイプの異能であれば……うまく異能検査をすり抜ける事が可能かもしれない。いや、そもそもの話、アイツの異能が憑依だって事も……いや、それは無いか」


 もしかしたら執斗の異能は憑依が可能なのかもしれないが……とにかく、あの瞬間に憑依していたモノが執斗だとは考え辛い。


 それに、結局、あの言語のようなナニカに対する説明が付かない。


「……天命では無いのか?俺の……その……天啓プロフェットとかいう異能は、神の言葉を得る異能なんじゃないのか!?」


「違う……と、言われている。ただの予知系の異能の一種で、その言葉は結局、自分の言葉に過ぎないというのが研究者の見解だ」


 ただ、天啓は保有者の母数が少ない上に、唐突な異能の消失が確認されている稀有なモノの一つだ。

 その研究の信憑性はあまり高いとは言えない。

 では何故それをわざわざ口にしたのか。


 それは、おそらく__


「……もし神がいるとして、だ。何故こんな状況になるのを防がなかった。何故今更になって助言をしてくるんだ」


 そんな、憤りにも似た感情のせいだろう。


「青葉、もしかして」


「言わなくていい。分かってるんだ。他ならぬ自分の事だ。俺はソレが神の言葉だと、そう思ってしまっている」


 結局、否定の言葉をいくつ連ねても。

 心を騙す事は出来ない。


「神の試練、という事なのかもしれないね」


 柚子の呟きの声は、周囲の静寂のせいか、全員に届いた。


「試練って……何なんだよ」


 こんなモノが試練だなんて余りにも___


「惨すぎる」


 青葉の言葉に反応する者は居なかった。


 4人の足音だけが街に響いていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー


「俺は枠ってモンが嫌いでな」


「……何が言いたい」


 日本のとある廃屋の一室にて、因子数値上位者達が集まり、何やら不穏な動きをみせていた。


「俺の異能からして分かるだろ?枠なんて無い。世界は一つなんだ。陸も海も空も……地上も地底も!全てが一つだ。そこに国境は無い」


「俺の作る国はこの世界全てを支配する。結果として一つになる」


「無理だな。夢物語も大概にしろよガキ」


「なっ……!?」


 目の前の高価そうな服を着た青年を睨みつけているのは、特別指定異能者の浩然ハオランである。


「こんな素敵な世界をプレゼントした事に関しちゃ一応感謝してるし多少の悪戯にも付き合ってやってたが……国作りだぁ?そりゃあ流石に許容出来ねぇ」


「……なら、ここで死ぬか?」


 青年が殺気を漂わせると、隣に座っていた黒人ゾンビがスッと立ち上がる。


「止めとけ、正面からやり合って俺に勝てる異能者は少ねぇし、生前で俺に勝てなかったヤツがゾンビになったぐらいで俺に敵うようになるとは思えねぇぜ?」


「……」


「お前の異能は強力だけどよ、本体であるお前はまるで強化されねぇからな」


「お、俺には国民が」


「ん?ここに集結してる人間でお前に本気で忠誠心を抱いてる奴がいるとでも思ってんのか?」


 そう言われ青年が部屋をぐるりと見渡す。



 うっとりとした目で鞭を撫でる痴女。


 イヤホンを耳に付け鼻歌を歌いながら熱心に身体を揺らしている青年。


 どうでも良さそうにこちらを見ながらサイコロを手元で弄っている男。


 髪をくるくると弄りながら、こちらにウィンクを飛ばしてきた女……のような男。


 そしておどおどと対立する2人を見回す中年の男。



 ハッキリ言って、そこには忠誠心どころか、協調性や秩序すらまるで存在していなかった。


「数値上位者ってのはこんな奴らばっかりか」


「そりゃあそうだろ。何言ってんだ」


 ハオランは青年の発言を鼻で笑うと、こう続けた。


「異能は意志によって形が作られる。こんな世界を滅ぼしかねない危うい思想を持った人間が普通な訳が無い……お前みたいに託されたんじゃねぇ、無意識か自覚有りかの差異こそあれ、この異能は紛れもなく自分の意志によるモノなんだよ」


 青年は未だ殺気を放ちつつハオランを睨みつけていたが、不意にその緊張を解くと、忌々しそうに言葉を吐いた。


「もういい、勝手にしろ」


「ああ。そうさせて貰う」


 そう言うとハオランは一瞬にしてその場から消え去った。


「……クソが。おいお前ら、準備しろ」


「えぇ、と何を、でしたっけ?」


 すっとぼけた返しをする中年男を睨みつける。


「天啓の異能者だよ。今更能力を返して貰おうったってそうは行かねぇ。指示の内容を特定して__ぶっ潰す」


 その青年の瞳には、かつては無かったはずのギラついた輝きが宿っていた。

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