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異能×屍 -終末における俺の異能の有用性について‐  作者: ペリ一
異花の章

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第7話

更新かなり遅れました。

申し訳ない。

「クソ…やっぱ使われてたか」


 埃まみれの床にできた足跡を見るなり、その男_空間接着スペースグルーの異能者は悪態をついた。


「あー畜生…どうすっかなぁ…」


 その足跡を眺めつつ、うんうんと唸る。


「明らかに俺のミスだよなぁ…」


 露骨に顔を顰め、何とかならないものかと考える、が。


「無理だなこりゃ。しかたねぇ、手土産に異能隊の首でも持ち帰って許してもらうとするか」


 そう呟くと、身に纏っていた宝石の類をその近辺に適当に放り捨て、身軽になってから、ある場所の空間を開いた。


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「隊長」


「わかってるさ」


 マーキスの反応に即座に理解を示し、ある一点を見つめるマーティン。


 すると、その見つめた付近の空間が裂け、中から一人の男が顔を出した。

 そしてその男はマーキスらを視界に捉えるなり、

「これはこれは…何年経っても俺を捕縛出来ない無能精鋭隊の方々じゃないですかぁ」

 嘲笑と共にそう言い放った。


「見え透いた挑発だね」

 その煽りに顔色一つ変えず返すマーティン。


「…ッチ、流石に乗ってはこねぇか……ならこっちから行くまでだ!」

 男はニヤリと頬を歪める。

 すると、風景のようなものが映り込んだ球状の物体を周囲に展開された。


「さぁて、お前等…どの場所に墜としてやろうか」


「特別指定異能者、空間接着スペースグルー浩然ハオランだ!」

 マーキスの肩から顔を出したルーカスが叫ぶ。


「うるさいぞルーカス。そんな事はあの異能を見れば分かる」


「いやまぁ、一応その辺のサポートが俺の仕事だからな!じゃあ後は頼んだぜブラザー!」


「…言われなくても…ッ」


 唐突に銃弾の如き速さで突っ込んできた球を慌てて回避するマーキス。


「いやはや、予想はしてたけど…重力に囚われないないのかい?その球は」

 身にかかる重力の枷を外し、かなりアクロバティックに回避してみせたマーティンが呆れたように呟く。


「ははは!!当たり前だろ?ただ世界が歪に繋がった結果、形として見えてるだけでその球に存在は無ぇ!」

 心底楽しそうにその球状の何かを投げつけ続けるハオラン。



「悪党が哲学染みた事を口にするな」


 刹那。隙をつき、マーキスがハオランに肉薄した。


 だがマーキスと目が合った、その時のハオランの顔は__


「残念でしたぁ」


 嘲笑って、いた。



「ぐあああああああ!!!?」


 その直後、マーキスの悲鳴が響く。


「おぉ…熱そうだねぇ可愛そうに」


 その悲鳴が響く頃には、ハオランはその場から見てはるか後方の空間からひょっこりと顔を出していた。


 そしてマーキスの身体の中から様子を見守っていたルーカスが顔を出し、マーティンに向けて声を張り上げる。


「隊長!!俺らを重くしてくれ!!そしてあのマグマ・・・もなんとか退けてくれ!」


「分かってるよ…!」


 マーキスが蹴りを入れた空間は、活火山の火口と繋げられた。

 その結果、マーキスの右脚は解ける段階を軽く超え、蒸発した。

 普通の人間ならばその場で死んでいたであろう局面。だがこの男、マーキスは…


「ぐゥあっ…うおおああああああ!!!」


 重力増加による落下に合わせ、片脚での跳躍。

 そして脇にマーティンを抱えた。


「隊長、これ以上は」


「だね。集まってきちゃったみたいだし。撤退だ」


 そして三人は敗走を開始した。




 いくら異能者とはいえ、片脚を失っているとは思えない速度で逃げていくマーキス達。

 ハオランはそんな姿を眺めながら、ただ溜め息をこぼした。


「うーん、なまじ追い付けちゃうのが面倒臭いな」


 次の瞬間にはマーキス達の周囲に移動しており、あらゆる空間を投げつけていた。


「ほらほらぁ!逃げるんだったらもっと素早く逃げてみせろ!」


「…これだから因子数値上位者は嫌いなんだ」

 マーティンは重力を操作しマーキスの走りをサポートしながら嫌悪と諦観混じりの愚痴をこぼす。


「個人を相手に戦ってるはずなのに、世界自体が敵に回ったような錯覚に陥る」


 この戦いは、逃走する事すら容易ではなかった。


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 場所は変わり、日本。


 マリアは、偶然拾った黄色の防水コートを被り、偶然鍵の開いていたマンションの一室に偶然置かれていた食料を貪っていた。

 想像の通り、マリアはこの部屋に入り鍵をかけるまで異能を発動させていた。

 その結果できたのがこのあまりにも幸運すぎる偶然だ。


「むぐむぐ…」


 久々にマトモな食事にありつけ、ご機嫌な様子だったが、それは勢いよくドアが開かれる音によって遮られた。


「……?…?」


 奥の部屋から出てきた、武装した人間。

 だがそれを見てもマリアの食事は止まらなかった。

 そもそも何を喋っているのかが分からないのだ。それに、構えた所で勝てそうもない。

 マリアは妙な所で達観していた。


「……?」


 すると、その武装した人間がこちらを覗き込み、何かを問うてきた。

 おそらくこの言語の理解が出来るかどうか、といった問いだろうと推測したマリアは、首を横に振り、分からない、という意思表示を行った。


 するとその人間は露骨に嫌そうな顔をした後、肩を落とした。

 そんな姿を見てマリアは

(悪い人では無さそうだし、このまま居候できそう)

 そんな失礼なのかそうでないのか判断しづらいような事を考えていた。



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 またまた場面は変わりオーストラリア。


 異能具売りのジョンは悩んでいた。


「どこもかしこもあの気色悪い肉塊の苗床になってやがる…」


 そう。そのせいで全く物資を得られていないのだ。


「非常食も底が尽く寸前だしな……かくなる上は」

 ある人形が入ったケースをチラリと見る。

 すると、お?やるか?といった感じに奥からコトコトと音がした。


「こいつにもうちょい理性がありゃ使えたんだがな……まぁコイツに一暴れさせる案も視野に入れとくか」

 そう言うとジョンはポケットからまた別の物を取り出した。


「肉塊の子供みたいな奴等をぶっ倒して手に入れたこの肉片……食えそうなモンといやコレくらいか」


 ジョンがそう呟くと、やめておけよ、とでも言うようにケースの奥から音がした。


「…だよなぁ、お前もそう思うよなぁ?」


 ジョンのその問い掛けに対して帰ってきたのは。


 ぐぱぁ…という不快な声だった。


「うげぇっ!?人型の肉塊!?」


 ジョンは今の今まで路地裏にひっそりと隠れていた。

 だがそれがとうとう嗅ぎつけられてしまったらしい。


「うおっ!?こっちからも…挟み撃ちって訳かよ」


 人型以外の異形の肉塊達までもが騒ぎをききつけやってきている。


「人型は斥候的な役割か?…まぁ、何にせよアレだな」


 もう一度左右を確認し、完全に状況が詰んでいる事を確認したジョンは。


「ギミーク。暴れて構わん。出来れば俺が助かる感じの暴れ方で、な」


 人形を、解放した。

異花の章の登場人物達は基本的には英語で喋っています。

となると、プロサバイバー、という単語だけならマリアにも伝わるかもしれませんね。

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