第5話
少し慌てて書いたので誤字やら日本語的におかしい部分が多いかもしれません。
「何よ、これ」
到着した赤嶺の目の前には、地獄が広がっていた。
半狂乱で逃げ回り、無茶苦茶に異能をふるい続ける生徒達。
音を聞きつけじわじわと集まるゾンビ。
……倒れたままピクリとも動かない……青葉。
「……ッ!」
青葉を見て思わず体が動きかけるが、今優先すべき事は違う。
この作戦において重要な錬金術師の異能者と血の操縦士の異能者だ。
「……」
だが如何せん、ゾンビが多すぎる。
……だが1人で殲滅させるのもなかなか厳しい。
それに悲鳴をあげ続けたせいでぐったりしている一条を何処かで誰かに守らせなくては……
「……鬱陶しいッ!!」
近づいてきたゾンビを両断し、再び周囲を確認する。
「火炎纏ね……」
まさかゾンビが他のゾンビを支援するような異能を使うとは思っていなかったが、実際にそうなのだから受け入れるしかない。
……支援系の異能者の探し方は……確か……
『支援系の異能は距離が離れれば離れる程に威力が弱まります……火炎纏なんかはかなりわかりやすいですね。火の強さを見て、炎の勢いが強い奴の多い方に行けばいいんですから』
……これはいつの授業だったか。
先生に当てられた青葉がドヤ顔で答えていたのが記憶に新しい。
そんな事を思い出しながら炎の勢いを必死に観察していると。
「あ、赤嶺さんッ!こっちです!!」
遠くの裏路地から顔を出し、コチラに手を振る生徒を発見した。
……どうやら兵装から見るに刃指の異能者のようだ。
それを確認すると赤嶺はその生徒のいる方角目掛け一条をぶん投げた。
「おおおおっ!!?」
そんな素っ頓狂な声を尻目に赤嶺は狂乱に陥った戦場へと踊るように飛び込んだ。
「あ、赤嶺さん!!」
援軍の姿を確認し僅かに安堵の表情を見せる開閉班のメンバー達。
「……まだ油断できる状況じゃないわ!!皆、囲まれないように連携をとって!!」
「りょ、了解ですッ!!」
赤嶺が到着したためか、僅かに士気が上がり始める開閉班達。
そして更に。
「援軍だ!!敵はどこにいる!!?」
追加の援軍が到着した。
「火炎纏の異能ゾンビがいるわ!!本体は……私が……ッ!!」
絶え間なく襲いかかるゾンビを切り飛ばしながら本体がいるであろう場所へ向かう赤嶺。
だがしかし、その足並みは。
「……ッ!?」
一つの爆発で妨げられる。
「ヴァ……ヴォ……」
「……爆弾射出ね」
そう呟いた瞬間、赤嶺の剣は再び双つへと分かれた。
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「……うげぇ……きっついなコレ……」
血の操縦士の保有者、杉崎は必死に吐き気を堪えながら戦場を見つめていた、
あたりにたちこめる死臭。
仲間達の悲痛な叫び声や怒号。
……そして、ピクリとも動かなくなった青葉。
「……血の操縦士」
杉崎がそう、ポツリと呟くと、杉崎の指先からシュルシュルと音をたてながら赤く細い触手のような物が生えてきた。
「……とりあえず、本当に死んでるのかどうか……」
触手がシュルシュルと地面に潜り込みながら青葉へと向かう。
ゾンビに気付かれぬよう慎重に……
「……何してんの?」
「……ッ!?」
突然、耳元に飛び込んできた声に思わず体を仰け反らせる。
「ちょ、一条さん……急に話しかけないでくださいよ……!」
「ごめん、ごめん……で?何してんの?」
「……青葉が本当に死んでるのか確認するんですよ」
そう言い再び触手を青葉のいる方へと這わせる。
「……気色悪い能力」
「気にしてるんであんまりそういう事言わないで下さいよ……」
血の操縦士、と名がついている物の、実際は未知の物体で出来た、いったい身体の何処から生み出されているかもわからない触手である。
よくもまぁ、能力を発現した初日に発狂しなかったものだ。
「……あんたのソレって心臓を鷲掴みにしたり、無理やり血液を流れさせたりできる?」
「……仮に出来たとしてどうするつもりですか」
「……まだ蘇生出来るかもしれないわよ」
……そんな馬鹿な。
そう言おうとし、後ろを振り返る。
「……ッ」
だが、その言葉は発せられる事は無かった。
一条の表情があまりにも……真剣だったから。
「……やって、みます……か……?」
思わず発せられていた言葉。
触手で人体を弄った事など無い。
だが……
「……血を無理やり流れさせる……出来るとは、思います」
その異能は……異能の名は単なる飾りか?
そう、自分が自分に問いかけてくる。
「そう……じゃあ、行くわよ」
「……あっ」
護衛も伴わず戦場へと飛び込んだ一条。
それを追いかけ、杉崎も戦場へと身を投じていった。
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「……参ったな」
戦場を見渡しながら、北野が呟く。
「死兵のお陰でなんとか士気が保たれてはいるが……そろそろ門には開いて貰わなくては……」
付近のゾンビの首を引きちぎつつ、思考する。
「……全く……青葉君……君はもう少し使える人間だと思っていたのだがな」
そして悪態と共に、ゾンビの生首を踏み潰した。
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「……よっしゃ!なんとか心臓がまた動き出してくれそうです!!」
地獄のような戦場には少しそぐわないような、明るい声が響く。
「まだ!!まだ駄目だわ!もっと血流を……!」
超自然治癒を絶えず発動させながら、一条が叫ぶ。
勿論、このゴリ押し蘇生術を試みている間も、ゾンビは襲ってきている。
だがソレは
「もうちっと俺も気遣ってくれるとありがてぇんだがなぁ!?」
刃指の大橋。
「……生産系異能者を戦闘面でこき使うとバチが当たるって知ってるか?」
錬金術師の斉藤。
この2人、そして駆け付けた援軍によってなんとかゾンビの群勢を押し返す事に成功していた。
「……ちきしょう……青葉ぁ……てめぇの為にこんなに頑張ってんだからよ……サッサと起きろぉ!!!」
口の中に突っ込まれた大量の触手のうねりが激しさを増し、更に心臓へと刺激を与える。
だがそれでも一向に目を覚まさない青葉に業を煮やしたのか、杉崎が青葉のポケットを漁り始めた。
「……!なんかよくわかんねぇけど錠剤があるぞ!」
「何でも良いわ!刺激になりそうなら飲ませて!!」
……それは青葉がどのタイミングでも飲めるようポケットに常に忍ばせていた超栄養剤だったのだが……この2人はそんな事は知るはずもなく。
その錠剤を青葉の口へ放り込み、触手を使い胃まで直接送り込んだ。




