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異能×屍 -終末における俺の異能の有用性について‐  作者: ペリ一
開花の章

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18/51

第2話

視点変更激しい回です。

 作戦決行、当日。


 生存者達は各グループに分かれ、所定の位置へと移動していた。



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「いいか、皆……この前線組は、一番死ぬ危険性の高い班だ……だが、死を恐れてはいけない……決して立ち止まるな」





「命懸けで皆の道を切り開け…………出陣!!!」





 北野の一声で、一斉に班員が物陰から飛び出し、前方にいたゾンビを薙ぎ倒す。


 そしてそのまま門へと直進していく。



「進め進めぇ!!!」


 恐れを吹き飛ばすように、前線の班員が雄叫びをあげる。


 今の所、異能ゾンビは出てきていない。


 ……だが、この騒ぎであれば、異能ゾンビがやってくるのも時間の問題だ。


「……ッうわぁあああああ!!!」


 前線の生徒から悲鳴があがる。


肉体強化(フィジカルアッド)が1体……いや、2体!!」


 後方支援組の1人である、狙撃手(ザ スナイパー)の異能保有者である鷲塚(わしづか)から敵の情報が伝達される。


「1体撃破!!2体目を誰か頼む!!」


 そしてそれに応じるように鷲塚が銃の引き金に手をかけ……




 そんな、むせ返るような熱気に包まれた最前線において、赤嶺は妙な胸騒ぎに囚われていた。


「……何か、来てる……?」


 剣豪(ソードマスター)の異能により強化された五感のせいだろうか。


 ……何者かの気配……


 いや……これは……


「右手後方に敵影!!私1人で充分です!殲滅してきます!!」


 前方から聞こえてくる了解!という声を背に、赤嶺は走り始めた。



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「……さて、俺達も行きますか」


 右手前方が騒がしくなってきた所で、俺達……門開閉班は行動を開始した。



「いいか?基本は隠密行動だぞ?」


「おうよ、わかってるぜ」


 気楽に受け答えをする炎造。


 ……心配だ……



「騒いで囲まれたら、こんな人数じゃひとたまりもないんだからな?」


「おいおい、青葉ぁ、あんまピリピリすんなよぉ」


 後ろから飛んできたヤジに思わず青筋が立ちそうになるのを必死に抑えながら、俺は


「……すまんな、心配症なもんで」


「気持ちはわかるけどよ、肩の力抜かねぇと普段の力が発揮出来ねぇぜ?」


 俺の普段の力ほどしょうもない物もないだろ、と心の中で呟きつつ、無言で進軍を再開した。




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「さて……と、じゃあ、よろしくお願いします」


「ああ、任せとけ……念話(テレパシー)による戦況の伝達はこの戦いにおける要だ。絶対に守ってみせるさ」


 この人は、僕の護衛を務める内の1人、走者(ザ ランナー)保有者の崎田(さきだ) 雅人(まさと)さんです。


 いざという時は、この人が僕を連れて……というかおんぶして、逃げてくれるらしいです。


 ……皆が僕を必要としている。


 こんな状況は初めてです。


 ……頑張らなきゃ。



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 地を蹴り、駆け抜ける。


 赤嶺は、ただひたすらにその動作を繰り返し


 妙な胸騒ぎの原因……


 その妙な気配のする場所へと向かっていた。



「……ッ!!」


 突然、赤嶺の足が止まる。


「……剣気……?」


 そう呟きつつ周囲を見回す。


 剣気……所謂、殺気である。


 それが唐突に向けられ……今なおそれが続いている。


「生存者?」


 ……その言葉に対しての応答は。


「ヴェヴ……グェ……」


 そんな、呻き声だった。


「異能ゾンビか……ッ!!」


「ガァァアブァア!!!」


 物陰から飛び出してきたゾンビの剣撃を受け止め、その直後バックステップで距離を離す。


「……ゾンビは兵装を使わないんじゃなかったっけ?」


「ガァ!!」


 赤嶺が愚痴とも思える呟きをした直後、ゾンビが再び切りかかる。


 もう1度剣撃を受け止め、そして再び距離をとり、相手の分析を開始する。


「使ってる兵装は……斧…」


 死ぬギリギリまで戦い続けたのだろうか。


 その兵装をゾンビになった今でも固く握りしめ、その斧の刃にはゾンビ達の返り血がびっしりと……


「……ッ!!」


 そこで、赤嶺は気付く。


「……擦り傷だけでも感染しかねないわね」


 返り血が体内に入ってしまうと感染する。


 これの危険性は前日の会議でも青葉が熱心に語っていた。


 案外、このゾンビの生前の死因も、返り血によるものだったのかもしれない。


「……しっかし……」


 先程から全く攻めてこない。


 まるで、コチラを品定めするかのように見つめたまま動かないのだ。


「……あんた、私と同じ剣豪(ソードマスター)保有者ね」


 あの剣豪(ソードマスター)特有の妙な視線。


 先見が発動中である事の証だ。


 ……まさかゾンビが使ってくるとは。


「前線には暫く戻れないかな……多分、こいつは……」


 そこで一旦言葉を切り、構えを変えると。


「私にしか倒せないだろうし、ね」


 ドンッ!!と、地を蹴り、切りかかった。



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「………待て!………前方に敵影……兵装から察するに…発火(プロキネシス)……それに、火炎纏(エンチャントファイア)……他、通常ゾンビ3体」


 ……チッ、ここまで敵が出なかった分、ここに集中してるな……畜生が……


 そう悪態をつきたくなる気持ちを抑え、思考する。


「……とりあえず俺が飛び込んで炎を食らわせてやろうか?」


「いや、実際の所、ゾンビに炎はあまり意味が無い」


 奴等は痛覚が無い。


 燃えようが骨が折れようが内蔵をぶちまけようが……


 その歩みを止めない。止められない。



「……参ったな……」


 炎は、生存者に対しては絶大な効果が発揮される。


 火が燃え移った状態で、冷静でいられる人間など殆どいないと言っていい。


 そんな状況でまともな戦闘など不可能だ。


「……一撃でもくらえばほぼアウト……か」


 なかなかシビアな戦闘になりそうだ。


 他の班で似たようなトラブルが起こっていないといいのだが。

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