第1話
後半から説明回です。
一応、伏線も混じっているので読み飛ばしは推奨しません。
……作戦決行の前日。
生存者達はある一室に集まっていた。
「では、班員の割り振りを行う」
生徒会長のその一言で、場にピリッとした空気が張り詰める。
「……まず、重要な門の開閉班だ」
そう言うと、生徒会長……北野は2人の生徒に目配せをした。
「錬金術師の斉藤。血の操縦士の杉崎……お前らは門の開閉班の中でも特に重要なメンバーだ、わかってるな?」
北野の問いかけに真剣に頷く2人。
「さて、次にこの2人の護衛メンバーだが……そうだな、念動力の明石……肉体強化の村上……そして刃指の大橋」
指名された3人が、心なしか誇らしげな表情で前へ出る。
「あとは、1人くらいは大人が欲しいからね……炎造さんに参加して貰おうかな……後は……恐らく、この中でもかなり異能ゾンビ戦の経験に長けてる…青葉君」
そう言われ、炎造が前へと出る。
だがしかし、それと違って青葉の表情はあまり良いものでは無かった。
「……前日の打ち合わせと違うぞ」
……こんな話は聞いていない。
抗議しようと口を開きかけるが……
「急な変更で申し訳ない……君を最大限に活かせるのがこの班しかないんだ」
……確かに前線班員になるには弱すぎるし、支援組や後方警戒組にも向いている訳ではない。
だがそれは開閉班においても言える事のはず……
「……まぁ、そうだな」
だがこの場で北野に噛み付きすぎるのは良い事ではない。
……予定が少し狂ってしまうが……受け入れるしかあるまい。
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「どうするのよ」
部屋に戻るなり赤嶺に睨まれる。
「……まぁ、炎造さんが一緒なだけマシ……だといいなぁ」
前日の作戦会議(反生徒会長チームでの)における、炎造の発言はヤバかった。
絶対に趣旨を理解出来ていない。
「まぁ目的がふわっとしてるからしょうがないとは思います、よ?」
マンション住民であった雪里がフォローを入れるが、言いながらも自信がなくなってきたのか、言葉尻が窄む。
「……青葉先輩がフォローを入れればなんとかなるでしょう……人の指示を聞かないタイプ、という訳では無いですし」
そこでショッピングモールのグループの一員であったおかっぱ君こと福部がそう呟くように話す。
「……まぁ、そうか」
ちなみに当の炎造は現在、前線組に料理を振る舞っている。
……その中の何人かが犠牲となる事は炎造もわかっているはずなのだが。
「……まぁ、安心して下さい……僕の念話は門の中くらいまでは届きます」
ちなみにこの福部。
よく聞くと、とんでもなく有能な異能者であった。
念話の届く範囲が世界トップレベルかつ、相互による会話が可能なのだ。
あまり広範囲で声を拾いすぎると精神を病んでしまったり、処理しきれずに倒れたりするのだが……
福部はその匙加減が上手いらしく、一度昔に発狂しかけた以外、異常を起こした事が無いという。
……こんなにも優秀な人材だというのに……
「……その価値がわからねぇとはな……」
脳筋共が……という悪態を飲み込みつつ京介達を睨む。
「い、いやぁ……ははは……」
曖昧に笑う京介。
情報伝達は戦術の要であり、電話も機能せず、無線等も所持していない今、念話はとても貴重な存在だ。
「いいか?昨日の会議でも言ったと思うがな……」
「わ、わかってます!わかってます!!すみませんでしたって!!」
最初からわかっていて欲しかったものだが……
生徒会に参加しているのなら、各異能の有用性を理解しておくのは必要な事だと思うんだがな……
……少なくとも、生徒会長のアイツはわかってたみたいだが。
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最強の異能とは何だろうか。
作戦決行当日の朝。
俺はなんとなしにそんな事を思った。
異能の保有の有無に関わらず、誰もが1度は考えるこの疑問。
だが、それを語るには異能分類学について触れておかねばなるまい。
異能者は、大きく分ければ、
戦闘系、支援系、生産系 この3つに別れる。
幾つか、このどれにも当てはまらない異能は存在するのだが。
幸運猫等が、その最たる例か。
幸運猫という異能については、語ると長くなってしまう。
だからまずは3つの基本的な異能。
その代表例に的を絞る事とする。
戦闘系。
これは肉体強化や剣士等が当てはまる。
爆撃系や光線系は勿論、
発火系等も、一部を除きここに分類される。
支援系。
治癒系の能力。
又は他者に影響を与えるタイプの肉体強化等がここに分類される。
発火系の中の、火炎纏は、学者の中で意見が割れるものの、概ねこの支援系に分類される事が多い。
また、幸運猫をここの分類だと考えている者もいる。
確かに、治癒としての運用も可能な異能ではあるが、幸運猫の本質はそんな物ではない。
その本質を理解した者であれば、支援系に分類などはしないであろう。
生産系。
錬金術師等の物質転換系。
又は溜炎がここに分類される。
更には、近年発見された……俺の保有する、超光合成もここの分類である。
そして、まだ議論の最中ではあるが……
三つの分類に当てはまらない異能を、新たに特殊系という分類を作りそこに当てはめようという話も出ている。
その代表格は幸運猫、血の操縦士……
他にもいるとされているが、殆どの場合はその異能は秘匿されており、異能者ではあるが身分は単なる学生である俺が知れるような物ではない。
……さて、最強の異能は何か、という話に戻ろう。
では、まずはわかりやすく肉体強化系における最強について話そうか。
真っ先に思い浮かぶのは独走者、不死身、人体掌握……この三つだ。
不死身に関しては言うまでもないだろう。
では、残りの二つ。
まず、独走者。
この異能は、走者の上位互換……等と言う生易しいものではない。
オンリーの名の通り、世界で唯一の異能……(他の二つの異能もそうなのだが)……であり……走者とは一線を画した速度で走る事ができる。
国の技術をフルに集結させ作った専用兵装の二輪が、独走者の脚力に耐えられず数秒で砕け散ったという伝説も持っている。
そんな圧倒的速度、そしてその脚力から生み出される必殺の蹴り。
これに敵う異能者は、肉体強化系の中では殆どいないと見ていいだろう。
次に、人体掌握。
この異能についてはあまり情報が無く、語れる事は少ない。
何故なら、異能が発現して数日で、保有者がドロドロに溶けて完全に消滅してしまったからだ。
俺が学園の図書館で読み漁って出てきた唯一の情報は。
リミッター解除や人間に秘められた可能性を意図的に引き出す能力。
……この一文のみだ。
「……今なら侵入禁止の場所に入り放題だし……情報を得られる可能性も少なくねぇけど……」
その為に命を危機に晒すのは愚行だろう。
その時。
ドア越しに
「青葉さーん!作戦の最終確認をするそうですよー!」
そんな声が聞こえてきた。
「……さて、行くかな」
俺はベッドから無理やり起き上がると、逃げてしまいたくなる己の弱い心を叱咤しつつ、会議室へと向かった。




