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Astral02

 明日学校の部活動とは別にクラブ活動があるので、投稿できないかもです><

 なので、今日の分を1話明日に回そうと思います

 

 もし時間があって、もう1話執筆できそうなら、もう1話も今日投稿します

「なあ…動きにくいんだが……」


「いつものことじゃん、今更」


 確かに今更なのだが……さっきから百合目線が痛い。イタすぎる。普段の登校や街中を歩くときは、俺達が兄妹なのは周知の事実でそういう目は向けられないのだが、やはり知らない人から見ればそういうふうに見えるのだろう。


「あれが東門?」


 目の前のでっかい門を見ながらリンに尋ねる。


「ん、そうだよ~。多分。まあ私もこのゲームをやるのは初めてなんだし詳しくはわかんないや」


 そう言えばそうだった。

 他のVRMMO経験者なだけでこのゲームのβテスターではなかったな。

 

 と、そうこう話している内にフィールドに出た。


「すんげぇな……」


 これが最先端の技術なのだろう。

 まるで絶景スポットから見る絶景のような草原が広がっていた。右側には森があり、左側には海があった。多分モンスターの属性が違ってくるのだろう。

 流石に、携帯ゲーム機のRPGぐらいはやったことがあるので、それくらいはわかる。


「あ、いたいた。あの兎と戦ってみよう!」


 リンが指差した方向を見ると、確かに一匹の兎がいた。なんか頭に角生えてるけど……ホーンラビット、みたいな?


「ホーンラビットって言って、冒険者が初めに戦闘するモンスター、みたいな感じかな」


 どうやら俺の予想は的中していたようだ。


「え~と、攻撃すればいいんだよな?」


「そうそう、んじゃ、いってらっさーい」


 トンッとリンに背中を押されて一歩前に出る。

 兎を殺すのはなんだか気が引けるのだが……やはりこのワクワク感は止まらない。早く戦いたい、早く攻撃をしてみたいといった願望が次々に脳裏をよぎる。


 腰に差してあった二刀の小太刀を抜き放つ。

 こちらの殺気を感じたのかホーンラビットが俺をエカウントする。


 やはり最初のモンスターは最初のモンスターらしい。動きが直線敵で余裕で避けることができる。

 が、ここで普通に避けて攻撃しても面白みがない。どうせなら面白さを追求したい。


 俺の腹部に狙いを定め、大きく跳躍するように飛びかかってくる。多分角で突き刺そうとしているのだろう。

 俺は足技で補正された動きでホーンラビットを蹴り上げる。

 宙に勢い良く打ち上げられたホーンラビットはそれでけでHPが0になり、パリンというガラスが割れるような音と共にポリゴンの欠片となった。


「………面白くねぇ…」


「お兄ちゃん……もしかしてステータスAGIとSTRだったりする?」


「ん、そうだけど」


「あ~……」


 さて、妹が言うには、初期ステータスは万遍なく平等に降るんだとか。

 それを基礎にしてメインステータスとサブステータスを決め、次からはその2つに振っていくらしい。


 初期ステータスのステータスポイントを全部合わせると50になる。

 んで、ステータスの種類が5つでSTRとDEF、DEXとAGI、そしてINTがある。

 俺はその50のステータスをSTRとAGIにしか振っていない。正確に言うとAGIに35振り、STRに15振っている。


 そして、STRとAGIこの二つを合わせることによって、力と速さでダメージが上がるんだとか。その為、まだレベル1の俺が最初のモンスターとは言え、普通一撃では倒せないはずのホーンラビットを一撃で倒せたということだ。


「そのステータスだと、STRが低いうちは一発くらったら死んじゃうよ?」


「避ける」


「はぁ……まあ、楽しければ良いか。わたし的にもこの辺のモンスターじゃ満足できないし、結構危ない橋だけどあの森に行ってみようか」


「了解」


 リンに指示されるがままに森の方へ歩いていく。この初期装備の和服は以外に運動性のことも考えてあり、走っても問題なさそうなので(先ほど兎を蹴り上げた時にそう感じた)走ってもいいのだが「どうせすぐそこだし、歩いていこ」と言うリンの言葉を尊重して歩いている。


 たまにホーンラビットやコボルト、ゴブリンなどにエカウントされるが、俺は一刀両断したり蹴り上げて落ちてきたところを突き刺してみたりと遊んでいたのでさほど気にならなかった。


 暫く歩くと森についた。

 俺の「気配察知」が自分よりレベルが高い相手の気配を察知し、俺に伝えてくる。ざっと見積もり10lv程度上なようだ。俺は気にせず突き進んでいく。

 そのあとを追いかけるようにしてリンがついてくるが、表情からするに全然余裕だろう。

 差し詰め構って欲しいと言う意思表示だ。


「ほら、いくぞ」


 しょうがないので手を差し伸べる。

 リンは嬉しそうにだらしなくにへらと笑いながら俺の手を掴んだ。

 こう美人だと、だらしなく笑っても可愛く見えるのだから不思議だ。


 しばらく進むと、多分リザードマンだと思われるモンスターが出てきた。先ほど数え切れないくらい倒したゴブリン達と違い鎧や曲刀シミターと言った武器まで持っている。


「リン、楽しめそうだな」


「さっすがお兄ちゃん。普通このレベル差で遭遇したらビビって逃げちゃうんだけどね」


「へぇ……取り敢えず一発カマしていいか?」


「自信がありそうだね……いいよ、見とくから頑張って」


 リンから了承も貰えたことだし、いっちょ本気でやってみようと思う。

 小太刀をだらんと下げ、体の力を抜く。

 そのあたりでリザードマンが俺をエカウントし、気味の悪い鳴き声を漏らした。


「昂ってくるなぁ……」


 俺の口元がどんどん吊り上がっていくのがわかる。

 そうだ、この感じだ。

 俺がVRMMOに求めたのはこの感覚だ。


 リザードマンがしびれを切らしたのか曲刀をブンブン振り回しながら走り込んでくる。

 なんだよそれ、まったくなってない。

 無造作に振り回されている曲刀を片手の小太刀で斜め下へ逸らし、軌道を変えられたことにより姿勢を崩したところにもう片方の小太刀を首へ突き刺す。

 

 それでリザードマンのHPは全損した。


 甲高い断末魔をあげながらリザードマンはポリゴンの欠片となり霧散していく。


「はぁ………雑魚すぎる…」


「うん、お兄ちゃんなら私についてこられるかな」


 俺が落胆し、リンが歓喜する。


「どう言う意味だ?」


「お兄ちゃん、今迷わず首刺したよね?普通の人って感情が高ぶったりとかで斬撃を食らわせたりとか、腕を切ったりとかして非効率的なんだよね。

 しかもそのせいで敵を倒す難易度も上がって、高いレベルの敵と戦うのは危険だからマージンなんていう言葉もできた。でもさ、考えてみればその相手の急所に一発お見舞いすれば終わることだよね。

 確かにレベルや武器が弱くて攻撃が通じない場合はしょうがないけどさ。攻撃が通じる相手なら一撃で倒せるじゃん?で、私は何度かそう主張してきたんだけど、そんな簡単に急所なんて狙えないって話になって、私についてこれる人がいなかったの」


「そっか」


 一言。

 そして続けた。


「その考えは間違ってるよ。根本的に、な。

 安全マージンを取るのは当たり前だし、急所に一撃当てればっていうけど、レベルが高い相手ならそれ相応の対処をしてくるわけで、狙うにも狙えない。攻撃が通じる相手でも狙うのは難しいんだよ。

 体勢を崩している状態とかそういう状態なら簡単だけど、動いてる時に狙うのは難しい。だから周りがリンに付いていけないんじゃなくて、リンが周りについていけてないんだ。意味、わかるか?」


 唖然としていたリンがブンブンと首を振る。


「お前の戦い方は危ないんだよ。もしこれがデスゲームなら、真っ先に死ぬのはお前だ。他の奴らだってお前のように無理をすれば急所を狙える。でも、ゲームだからといって死んでいいわけじゃない。死んだら迷惑がかかる可能性だってあるんだ。

 例えばパーティー狩りだったりとかな。

 だから皆は考えた。どうやれば安全にモンスターを狩れるかってな。俺から言わせれば、お前の方が非効率的だぜ?」


 リンは俯く。


「意味はわかるな?」


 頷く。


「ならよし!さっきの俺みたいに簡単に狙える場合は狙っていいが、危険な時に狙いに行くのは得策じゃない。

 そのへん考えていこうぜ」


「うん………そっか、それと同じこと、前言われたことあるけど、相手が誰かでこうも違うんだね…」


 おいおい……


「お前人の話はちゃんと聞けよ……」


「だってその人知らない人だよ?知らない人に言われても心に染みないのは当然じゃない?」


 確かにそうだが。

 まあ実際現実では完璧超人である妹様だ。本当はわかっていたが、知らない人間にそれを分からせられるのが癪だったのだろう。

 身内であり、兄である俺に再度言われたから急ぎ良く認めたってとこか。


「うっし、今日のノルマは10lvだ~!」


「お兄ちゃん、人に言えないよね……」


 俺達が話している間に群がってきていたリザードマンを睨みつける。

 もちろん、口元は吊り上がっているが。


「楽しんでいこうぜ!」


「はぁ……もう。楽しんでいこ~!」


 俺は小太刀を両手に、リンは太刀を片手に、リザードマンと衝突した。

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