表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

Astral01

 視界が暗転したと同時に、段々近づくようにしてメニュー画面が表示された。

 そこにはミュージックプレイヤーやインターネット。動画など色々なものが表示されていたが、俺は迷わずゲーム欄にあった「AstralOnline」を起動させる。


――ようこそ。AstralOnlineの世界へ。


 画面……と言うより視界が切り替わり、暗闇の空間に移動した。

 暗闇だが、見える。矛盾しているがそんな感じの空間だ。

 目の前にキーボードが浮き出てきたということは、ここで各種設定でもするのだろう。


――まず、お名前を入力してください。今後このゲームをプレイするにあたって一生付いてくるものですので、十分にお考えの上、決定ボタンを押してください。


 まあ妹と約束既に名前は決めてあったし、別に迷うことも考えることもない。


 キーボードを使い「リオ」と入力して決定ボタンを押す。


――「リオ」様、ですね。次にアバターを創ります。まず初めにリオ様自身の体型を創ります。少し微弱な電波が現実の体を流れますので、起きた時に少し場所がずれているかもしれません。


 目の前に表示されたYes/NoのYesをタッチ。


――リオ様の体型を読み込みました。再現します。体型、容姿全てにおいてカスタマイズが可能になりますので、こちらも十分にお考えの上、決定ボタンを押してください。


 これも妹と決めてあった通り容姿はいじらない。

 だが、やはり剣と魔法のファンタジーの世界に行くのだから、色ぐらいは変えたい……


 取り敢えず髪の色を赤、目の色を金に変えて決定ボタンを押した。


――次に、初期ステータスの割り振り、及び初期スキルの選択をして頂きます。


 ふむ。

 中々の品揃えだ。

 てかこれ選ぶだけでも1時間近くは掛かりそうだぞ……まあ妹がそんな感じで言ってたから2時間前にINしたんだが、正解だったな。


 取り敢えず、俺はAGIメインのSTR振りで行こうと思っていたのもあって、ステータス振りは楽に終わった。選んだ理由からすれば、どちらかと言えば魔法より剣、防ぐより避ける。とまあこんなかんじだ。

 それにSTRさえあれば剣を使って防御もできるらしいしな。


 スキルをざっと見てみたが約1000個くらいあった。

 どうやら初期スキルは5つ選べるらしいが、1000分の5とか……運営結構いい性格してやがる。


 まず1つ目に付いたスキルを選んだ。


 「足技」。どうやら足を使った技が使えるようになるらしい。全く格闘技なんぞやったことはないが、運動神経は抜群だと自負している。外見のこともあってたまに襲われる事があるのだが、その時余裕で撃退できるぐらいにはある。


 とまあこれはサブスキルみたいなもんだな。

 メイン「足技」!ってかっこいいけど実際弱いと思うし。

 何らかの格闘技やってて拳も使えるなら別だろうけど。

 

 次に目に付いたのが「二刀流」スキル。

 まあなんというか……説明難しいな……

 まあ普通装備している武器に併せて武器スキルを選ぶよな。で、このスキルはその装備している武器と、自分が持っている武器スキルの系統が同じであれば、その装備している武器をもう一つ装備できますよってスキルらしい。


 もっと簡単に言えば、片手剣を装備していて、持っている武器スキルが片手剣スキルならば、片手剣を二本装備できますよってことだ。


 なんか面白そうだし入れてみた。

 

 3つ目は武器スキルである「短刀」にしようと思ったが、ふと手を止める。

 確かに短刀はAGI向きの武器スキルではあるし、攻略サイトでも使いやすいと書いてあったのだが、俺が想定している武器での防御ができないのでは無いだろうか。

 AGI特化なら問題ないのだろうが、俺はそこそこSTRもあげるつもりなので「短刀」は遠慮しておこう。


 ってことで見つけたのが「小太刀」スキル。

 攻略サイトでは、間合いが掴みにくかったり、やはり「太刀」の方が需要があったりで不遇スキルだった。まあ別に俺は楽しむためにこのゲームを買ったわけだし好きなように決めよう。

 

 ん、なんかこれ人と被らなそうだし、これに決~めたっと。


 さて……4つ目なんだが。

 一応面白そうなのは見つけたが、これまた不遇スキルだった。


 「アクロバット」。

 バク転やら側転やらジャンプやらそういうアクロバティックな動きに補正がかかるらしい。

 だが、元は自分で動作しないといけないし全くできないのであればスキルは発動しない。そしてこれはゲーム。運動神経のいい人間は少ないだろう。少ないというだけでいないわけではないが、しかし運動神経がよければ他のスキルに枠を使いたくなる人が多いと思う。


 俺もそのうちの一人なんだが………アクロバティックな動きってジャンプやステップ。受身とかも含まれるよな……確証は持てんがそれならば結構役に立ちそうな気がする。

 それに俺は外見通り筋肉なんて無縁な体つきをしている。もう女の子だ。うん、認めてやろう。


 その他もろもろの理由を故事付け4つ目のスキルを「アクロバット」に決定した。


 さて、最後のスキルなわけだが、これは既に妹と話し合って決めていたのでそれを選ぶ。

 5つスキルを選択したところで決定ボタンを押す。


――リオ様の登録が完了致しました。それでは、存分にAstralOnlineの世界をお楽しみください。


 その声と同時にフラッシュをたかれたように目の前が明るくなる。

 思わず目を瞑ってしまい、暫くして目を開くと、


「すっげぇ………」


 既にそこは「AstralOnline」の中だった。

 俺にとって初めての仮想世界がAstralOnlineだ。

 それにしても凄い。よ~く観察しなければわからない程現実に近い造りだ。


「お兄ちゃん……だよね?」


「ん、ってことは凛花か?」


「良かった~!間違ってたらどうしようと思ったよ~。あ、あとこの世界でリアルネームで呼ぶの禁止。私の名前はリンだから」


「おっけ~。なんか柄にもなくワクワクしてるんだが……スゲェな仮想世界」


 もう一度周囲を見渡す。

 やはり遠目では完全に現実だ。


「これが科学の進歩と言うものだよ」


「リンが偉そうにすんなよ……まあいいや、取り敢えず最初は何すればいい?」


 仮想世界ゲーム。VRMMO初心者の俺は一体全体何をすればいいかわからない。

 リンは他のVRMMO経験者で、俺よりも知識があるため、そのへんはリンに任せるとはじめから言っていた。


「んとね、取り敢えずお兄ちゃん。これからお姉ちゃんって呼ぶね」


 おい。

 と、ジト目で睨む。


「あのね、その外見で女物の和服着てたらそれを狙ってるのかなって思うじゃん?」


 確かに、俺は初期装備設定で和服を選んだ。

 しかしそこに詳細は表示されておらず、ただ字で鎧、革鎧、洋服、和服、エトセトラと書いてあったから俺は和服を選んだのだ。

 すると……何故か俺が装備していたものは女物の和服。

 って今気づいたんだが、と言うか俺は性別的に男だぞ。電波で俺の体型を調べたのならそのへんもわかるはずだ。どうして女物なんだ……?


「まあ似合ってるしいいんじゃない?」


「それもそうか」


「それで納得できるところがすごいよね~」


 失礼な。

 どうせ今更変えることなんて不可能なんだ。あきらめは肝心だろう。


「っま、取り敢えず。お兄ちゃん左手を縦にスライドしてみて」


「こうか?」


 言われたとおりスライドする。するとシャリンという効果音を立ててウィンドウが表示された。


「それがメニューウィンドウね。それでステータスを振り分けたり、スキルを変更したり、アイテムを格納したり出来るんだ~」


「へ~便利なもんだ。現実でも出来ればいいのにな」


「流石にそれは無理」


 流石に冗談だ。という言葉を視線に込めて一睨みしてやった。


「あはは、ごめんごめん。っとそのメニューウィンドウのね――」


 そう言いながらリンが俺のウィンドウを覗くようにして近づいてくる。

 非常に周りの視線が痛いです。

 カップルには見られてないだろうが、百合として見られてるような気がします。


 そんなことには全く気づいていないリンは、説明を続ける。


「ほらここ。アイテムってあるでしょ?此処をクリックして……そうそう。そしたら中に武器が入ってるよね。それを、左側に表示されている装備画面の、武器を装備するところにスライドして」


 言われた通りにすると、俺の腰の両側あたりに青い粒子が集まり、そして武器を形作った。

 おお、なんか感動。 

 あと武器の見た目も気に入った。俺の初期装備である和服の柄に見事にマッチし、かなり様になっている。と思う。と言うか初期装備同士だから色使いとかはセットなのかもな。

 多分シリーズものの装備とかも全部同じだったら様になるんじゃないか?


「………お兄ちゃん…これは見る限り不遇武器見ないな気がしないでもなくなくもないけど?」


「いいだろ。好みの武器にしたんだ。楽しんで行こうぜ」


「……っはぁ…取り敢えず他のスキルも見せてよ…」


 確かMMO内で自分のスキル晒すのって、あまりいい行為じゃなかったよな。まあ実の妹だし別に構わんか。

 ほいっと見せてやる。


「まともなスキルが私と約束してた「気配察知」しかないじゃん!」


 あう。

 それを言われちゃ俺も言い返せないな。なにせ不遇スキルだと知っていて選んだんだし。


「気にすんなって。ほら、あれだ。ドラクエなんかのガンガンいこうぜを、楽しくいこうぜ、に変えればいいじゃん?」


「意味がわからない……」


「同じくだ」


 本当に、俺は何が言いたかったのだろう?

 

「まあ……不遇スキルに不遇スキルを組み合わせたら化けるかもしれないし…一旦フィールドに出て狩りでもしてみよっか」


「ん、了解」


 よし、初めての狩りだ。なんかワックワクしてきたぞ!


「お兄ちゃんこっち」


 どうやら反対側だったらしいです。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ