彼氏と幼なじみ
1「禁断の仲・・・?」2「気持ちの変化」3「言えない事情」4「彼氏と幼なじみ」の順番で読んでください。
高柳優花です。いじめ終了から2週間がたった今。
あの連中は英城達を諦めてないみたい。
英城は私のなんだからね!
と、大声で叫んでやりたい気分・・・
私は英城を信じてその気分をこらえてるけどね。
「れん!おっはよー!」
「お、優花!おはよう!」
私が登校してきて教室に入ったら、れんの姿が飛び込んだ。
れんがいたのは、席とは反対の窓側。私の席だった。
「何見てんの?」
「え?サッカー部の朝練!」
ああ、なるほど。英城と藤野君だってバッチリ見える。
朝からよく動き回れるなぁ・・・
感心しちゃうよ。
私は、支度を終わらせてかられんと一緒に、サッカー部を見つめていた。
みんなカッコいいんだけど、やっぱり英城が一番だなぁ・・・
「振り向け、英城」
英城に小さい声で呼びかけてみた。
私とれんにしか聞こえないくらい、小さい声。
「振り向け、周也」
れんも私のまねをして、小さい声で藤野君に呼びかけていた。
聞こえるはずがないんだけどさ。
だけど―――・・・何故か英城と藤野君は私達を見つけ、微笑んだ。
「「えっ!?」」
嘘。この声、届いた!?いや、そう意味ではないよね。
だって、この前『私達が見つめるとすぐにわかる』って言ってたし。
英城と藤野君は、もうこっちを向いてなかった。
「「・・・?」」
私達は、お互いに顔を見合わせた。
う~ん・・・なんだかよくわからない・・・
今は昼休み。
私と英城とれんと藤野君は、屋上でお弁当を食べていた。
「ねえ、なんで朝練の時にこっちを向いたの?」
「君達がこっち向いてると、視線感じるから、すぐわかるんだ。」
んー・・・そんなにそっち向いてたかな・・・?
「あっ!私、先生に呼ばれてたんだった!」
私は、急いでお弁当の中身をなくした。
「ごめんね、行ってくる!」
「俺もついてくよ?」
「私1人で大丈夫だよ。ありがとう!」
私は、職員室まで駈け出した。
「失礼します」
私は、職員室に入っていった。
「あ、高柳さん。早かったわね。じゃあ、これを教室に置いてきてくれる?」
先生が私に渡したのは、大量のノートや紙だった。
「こんなにたくさんですか・・・?」
「ええ、そうよ。先生のお手伝い係さん、よろしくね。」
最後の言葉、嫌みに聞こえたんだけど・・・気のせいだね。
私は、大量のノートと紙をもって教室に向かった。教室、遠いんだよね・・・
やっぱり、英城に手伝ってもらえばよかったかも。
「やっと着いたぁ~~!!」
私は、やっとの思いで教室にノートや紙を届けた。
よし、屋上に行こう。
私が移動しているとき、幼なじみの池谷滉大に会った。
私より1つ下の、中学2年生。運動神経も勉強もできる。
何より、滉大はモテる。こんな生意気な奴のどこがいいのかわかんないけど。
そして、何故か私のことを呼び捨てで呼ぶ。私は年上ですよ?
「優花。彼氏出来たってホント?」
「ホント。そんな有名?」
「有名。」
そうだったのか・・・
「んで、優花。彼氏は菊川先輩?」
「そうだけど。」
「あと、れんも彼氏出来たよね。」
あ、そうそう。私とれんは幼なじみで、滉大とれんも幼なじみ。
「うん。」
「藤野先輩?」
「そうそう。」
私は、深くうなずいた。
「2人とも、彼氏一生できないと思ってたのに。バカだし。」
「はぁ!?あんたの頭脳がおかしいだけ!」
「ははっ!優花のほうがおかしいし。」
滉大は、お腹を抱えて笑っている。ムカつく・・・
「あ、私屋上行くから。じゃね。」
「英城達!待っててくれてありがと~」
「優花、もう食べ終わっちゃったよ?」
「私も食べ終わりましたけど?」
「え゛。」
れんって相変わらず忘れん坊だよね。昔から変わらないし。
「クスッ」
「ちょっと、周也。笑わなくても・・・」
「優花と大野さんを見てると面白いね~」
「英城と藤野君を見てても面白いよ。」
えーと・・・誰が誰の話したことだか分かるよね。
「あのさ、そろそろ教室戻らない?」
「あ、そうだねー」
再び教室に戻ってきた。
「教室にきたはいいけど席がバラバラで暇ー・・・」
「そう?」
「えっ!?」
私がつぶやいたら、隣の席には英城がいた。
「驚いた?」
「そりゃー驚くでしょ」
「あそこにいても、暇なんだもん。」
口をとがらせていう英城は、なんだか子供みたい。
「あ、優花・・・あの・・・さ・・・」
「どうしたの?」
英城は、言いたいことを言えないみたいだった。何だろう・・・
「いや・・・何でもないよ。」
「・・・そう・・・」
何を言いたいの?教えれないこと?なんだか気になるよ・・・
訳が分からないまま、次の日になった。
「優花、れん。」
声をかけてきたのは・・・滉大だった。
せっかく英城達の部活を見てたのに・・・ムカつくやつ。
「「滉大、何?」」
「ちょーっといい?」
「「ダメ。」」
優花とれん、2人で断った。
「ホント少しだから!」
「どうする、れん?」
「本当に少しだったらいいよ。」
すると、滉大の目が輝いた。
「おっしゃ!ちょっとついてきてよ。」
何故か移動するハメになった。少しって言ったよね!?
ここは滉大の教室だった。ここからでも、よくサッカー部が見える。
「で、何?滉大。」
「あのさ、好きな人ができたら・・・どうする?」
「「マジ!!??」」
私とれんは大声で叫んだ。
「大声出すなっ!それより、どうするんだ?」
「「告白する。」」
「マジかよ・・・」
あ、滉大が照れてる。私達は、クスクスと笑った。藤野君影響が出てるかも。
「笑うなっ!」
「大声出すなって言った滉大が大声出してるじゃん。」
私達は、声を殺して笑った。笑ってるってばれると思うけど。
私達は、笑いながら滉大にアドバイスをしていた。
このときは思わなかったんだ。
英城達が私たちを見ているって―――・・・
放課後になった。
「ねえ、優花。今日部活ないから、俺んちで遊ばない?」
「いいのっ!?行く行く!」
「大野さんは周也の家に行くからね。」
「あ、OK」
英城の家・・・楽しみだな!
ここが・・・英城の家・・・キレイ!庭がある!
「すごい・・・」
「そう?」
「大きいねっ!」
「それより・・・中入ろう」
私達は、英城の家の中に入って行った。
「お邪魔します」
「今日は家に誰もいないんだ。」
ってことは・・・この広い家に2人きり!?待ってよ・・・緊張する・・・
「ね、ちょっと話聞かせて?」
「なんの?」
すると英城は、私を壁に押し付けた。どうしたの?英城・・・
「2年のあの奴、誰?」
「えっ・・・んんっ」
私が喋ろうとすると、英城はいきなり唇にキスをしてきた。
うっそ・・・これ、夢じゃないよね?現実?
私・・・ファーストキス・・・なんだけど・・・
って思ってる場合じゃない!私のバカ!今は深刻な時でしょ!!
すると英城は、ゆっくりと唇を離した。
「ねえ、誰?」
「あっ・・・あれは・・・」
「言えない人なの?」
そう言って、英城はもう1回私の唇にキスをしてきた。
今日の英城はキス魔なんですけど・・・そんなことはどうでもいい。
滉大はただの幼なじみなのに・・・好きなのは、英城だけなのに・・・
英城は、唇を離した。
「言えるよ・・・」
「じゃあ、言って?」
「幼なじみの・・・池谷滉大だよ・・・」
私は、正直に言った。誤解してほしくない・・・
「じゃあ、その人のこと、好き?」
「私は英城が好き!滉大なんかとじゃ比べものにならないよ。」
すると、英城はホッとしたように、顔がゆるんだ。
「よかった!俺も、好きな人は優花しかいないよ~」
「ありがとう・・・」
「だったら・・・もう1回キスしていーい?」
「ええっ!?」
英城っ・・・何を言い出すの!?
「俺のこと好きなんでしょ?」
「好きだけど・・・」
「だったらいいよね?」
「・・・いいよ。」
私は、英城に負けを認めてしまった。ゆっくり目を閉じた。
私の顔に英城が近づいてくるのが分かる。
そして・・・私の唇に、英城の唇が重なった。
ゆっくりと唇が離れると、英城は顔が真っ赤になっていた。
やっぱり可愛い・・・私、やっぱり英城が好きだな・・・
「可愛い・・・」
つい、声に出して言ってしまった。
「優花のほうが可愛いかんなっ!」
「ありがとう、英城。」
私は・・・とんでもない(?)行動に出た。
自分からキスしにいったんだ。
英城は、すんごく驚いている。
私が唇を離すと、英城は本当に真っ赤だった。
「お返し!」
英城はまだまだ顔が赤く、私を見つめていた。
「俺、今日のがファーストキスだったんだ。」
「えっ!英城も?」
「優花もそうだったんだね。」
私はこくんとうなずく。英城モテるから違うと思った・・・
「しかも、人を好きになるの、初めてなんだ。」
「えっ・・・嘘。英城、モテるのに・・・」
「ホント。」
「・・・私もだよ。人を好きになるの。」
私は静かに言う。私と英城、条件は一緒だったんだ。
「それより、優花。誕生日いつ?」
「3月1日。」
「遅いんだね。」
遅いといっても早生まれだけどね。
「そう。3年1組って覚えれば楽。英城の誕生日は?」
「7月9日だよー」
7月9日って・・・あと9日しかないじゃん!
「・・・あと9日?」
「うん。」
「へえ・・・」
私は頭の中に誕生日をインプットさせた。
「ねえ、優花。」
「なに?」
「好きだよ。」
「・・・私も英城が好きだよ。」
まだまだこれからの夏。
私達は青春しています。
オマケ
「昨日・・・周也にキスされて・・・」
「私も。自分からしにいったけどさ。」
「マジ!?優花、大胆」
「それより、滉大どうなったの?」
「知らなーい。」
「でも、私滉大を一生恨むかも。」
「滉大が呼びだしたせいでこうなったしね。」
「「よし、恨んでやる!」」
そう言った同時に、悪寒がした滉大だった・・・
最後まで読んでくれてありがとうございました!
優花、本当に大胆ですね。
作者でも驚いてしまったw
さて、次の舞台は英城の誕生日!
執筆に取り掛かっているので、そちらもお願いいたします。
感想くれると嬉しいです☆