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さくら
そこの桜はとても綺麗だった
八分咲きといった感じだけど、桜をあまり見たことのない僕にとって、それはすごく新鮮で、美しく見えた。
僕は教室で、頬杖をついてぼんやりしていた。教室の中は、僕以外誰も居なくて少し寂しく感じたけど、静かでこれもまたいい。
うとうとしだしたころ、強い風が吹き抜けた。窓ガラスが震え、カタカタと大きな音をたてた。
桜が散ってしまったたのではないかと思って、窓から外を見てみると案外散っていなかった。
その時、木の下に立って桜を見上げる女の子がいた。
見たところ、うちの学校の生徒らしい。
髪は肩まで伸ばし、風になびく髪はとてもサラサラしていると思う。僕は窓をあけ、女の子に声をかけた。
「風大丈夫!?」
女の子はコクリと頷き、口を開いた。