ぽぽっこ、むぬぅ、そよに笑む
物を知らないわたくしは
目の前の花の名も知らない
だけれども心は動かされましたから
気持ちを花の名にしましたの
ぽぽっこ
決してタンポポじゃございませんわ
日の光を浴びて風に揺れる姿が
わたくしにそう思わせたのです
ぽぽっこ
日向ぼっこみたいな気持ちになる花を
通り過ぎると自動販売機がありました
バニラジュースを買ったのです
ホットだと思ったらコールドでした
先週まではホットだったのに
もう!
わたくし決めました
今日から冷たいバニラジュースは『むぬぅ』です
わたくしの気持ちを思い知りなさい
ぽぽっこ眺め、むぬぅ飲み干す帰り道
春風のタクト
木々が陽気に歌い出す
空き缶が邪魔ですけれど
何かがわたくしを見ている気がして
捨てられない
困ったわ
お天道様がわたくしをしっかり照らすから
かも知れませんわね
そよ風に揺れる枝葉が
「また明日もいらしてね」
とでも言っているかのように手を振っています
わたくしは物を知らないものですから
今の気持ちにふさわしい言葉が出てきません
だから名付けることにしました
その名も『そよに笑む』と
新たな感情を手に入れたわたくしは
上品でいられるかしら?
夜ご飯はアスパラ天でした
シャキシャキ、シャキシャキ
瑞々しくて柔らかい
わたくしの笑顔もほぐれて柔らかくなります
春に笑う準備が出来ましたわ
思ったらこんなに暑いのです
ヘトヘト顔を太陽がくっきり照らすから
人とすれ違うときは口を閉めなくてはいけません
いつまで味わえるでしょうか
ぽぽっこ、むぬぅ、そよに笑みつつ
新緑めいた大木を見上げて感じる、夏の気配を




