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異世界投資ファンド〜剣も魔法も使えないので、利回りで世界を救います〜  作者:


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第38話:守るための技術は、どこまでも優しくなれる

事故からしばらくが経ち、村も世界も、まだその痛みを忘れてはいなかった。


しかし同じくらい、「二度と繰り返さないための意志」 も強くなっていた。


―――


「カイ様! できました!!」


R&D企業の研究員たちが、誇らしげに黒い箱を抱えて駆け寄ってきた。


箱を開けると――


「……ヘルメットだ!」


丸みのある外殻に、魔法陣が刻まれた特製の守り帽。

魔動二輪の高速移動に耐えうる軽量素材でありながら、衝撃を受けると一瞬だけ硬化する特性を持つ。


「こちらがプロテクターです! 関節と胸部、背中を守る魔動軽鎧となっております!」


軽く、柔らかく、動きやすい。

しかし衝撃を感知すれば強固な盾になる。


「これで……あの時の痛みを少しでも軽くできますね」


私は心からそう思えた。


―――


だが研究員たちはさらに深刻な顔で言った。


「カイ様……我々は、まだ足りぬと思いました」


「?」


「“装備するのが前提” では、人はいつか必ず忘れます。怠ります」


「……たしかに」


そのため、彼らは新技術を追加開発していた。


"緊急時用・魔道プロテクター"

・魔動二輪本体に内蔵される“自動展開式の魔力防壁”

・強い衝撃を検知

・魔力核が瞬時に展開

・爆風・魔物の爪・落下衝撃からライダーを柔らかい魔力の膜で包み守る



「……ここまでやったの?」


「はい。事故は“本人の注意”だけでは防げません。乗り物そのものに守る責任を持たせるべきだと」


(……すごい。まさかここまで技術が進むとは)


瞬間的に展開される防壁は、試験で何度も成功していた。


「これなら……命が守られる」


―――


魔動二輪は新型へ切り替えられ、運送ライダーたちはさっそく試乗を始めた。


「これ……本当に守ってくれるのか?」

「安全テストで大岩ぶつけてたぞ」

「魔力の膜がふわっと出てきてた……すごすぎる」


そして数日後。


「森の入口で魔物が出たが……ライダーは無傷で帰ってきた!」


その報告が届いた瞬間、村全体に安堵の息が広がった。


(……よかった。本当によかった)


あの事故でついた心の傷は完全には戻らない。

しかし、それを“繰り返さない技術”は誕生した。


―――


「そして今日から……

 すべての乗り物に、安全講習と安全装置の義務化を行います。」


私は公的に宣言した。


魔動二輪だけではなく、

魔動車、飛空艇、馬車、船――

乗る人の命を預かるすべての乗り物に。


「安全講習は必須」

「ヘルメット・プロテクターは必須」

「緊急時防壁は乗り物側に実装」


世界の交通は、安全を中心に回るようになる。


―――


この決定が告げられた時、私は覚悟していた。


(面倒だと反対されるかも……“自由が奪われる”とか……)


しかし、返ってきた答えは予想外だった。


「当然です!」

「命が守られるのなら喜んで!」

「子どもにも受けさせます!」

「国としても協力しよう!」


あの痛ましい事故を見た人々は、安全の価値を知っていた。


世界は“より守られた未来へ”歩き出した。


・各国の交通局が講習を導入

・魔動車と飛空艇にも防壁搭載

・馬車には転倒時用の魔力クッション

・船には落水検知の魔力膜


「安全が当たり前になる世界」。

それは、技術と意思が生んだ優しい革命だった。



―――


夜、研究所の灯りを見ながら私は呟いた。


「事故は悲しい。でも……悲しみが“仕組み”を生むなら、意味になるんだ」


父が静かに肩に手を置いた。


「カイ、お前は技術だけじゃなく……“世界の心”まで守ろうとしているんだな」


(まだまだ、守るべきものはたくさんある)


そう思いながら、私は新たな計画書を開いた。

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