表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界投資ファンド〜剣も魔法も使えないので、利回りで世界を救います〜  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/39

第31話:護衛という“産業”をつくる

物流網が広がるほど、その道を脅かすものが明確になっていく。


――賊。

――魔物。

――自然災害。


特に賊と魔物は、これまで“冒険者が個人で請け負う仕事”だった。


しかし、個人に頼る形では安定しない。


「道が増えたのに、護衛が追いつかないよ!」

「せっかく物流が伸びてるのに……これじゃ危ない!」


そんな声が上がり始めた頃、私は一つの答えに行き着いた。


(護衛そのものを“産業”にしよう)


―――


私は広場に仲間たちを集め、宣言した。


「今日から新しい投資を始めます。冒険者を集めた、警備会社ファンド です!」


屋台担当、交渉担当、加工担当が一斉にざわめく。


「け……警備会社?」

「冒険者を……組織として雇うのか?」


「はい。護衛を“産業化”して、冒険者の仕事を安定させます」


そして、こう続けた。


「個人で雇われていた冒険者さんたちを、正式に“会社の一員”として迎え、護衛依頼をまとめて管理できるようにします!」


冒険者たちからも驚きの声。


「お、おれらが会社員!?」

「そんな時代が来るとは……!」


―――


もちろん、警備会社の運営には資金がいる。


私は各国へ書簡を送り、協賛を募った。


・護衛の訓練施設の建設

・武具支援

・魔道具の展開

・道の巡回系統の整備


各国は最初こそ懐疑的だった。


「冒険者をまとめて運営? そんなものが成立するか?」


「賊など減らせるはずがない。魔物も次から次へと湧くんだぞ?」


「物流の安定化など、理想論に過ぎん」


しかし――私は、集まったデータを静かに提示した。


―――


机に広げたのは、物流路ごとの被害件数と護衛成功率をまとめた表。


「これが、ファンド協賛で作った最初の“試験護衛隊”の実績です」


各国代表の目が真剣になる。


「……これは……?」

「賊の被害が……ゼロ?」

「魔物の襲撃は……三割減……?」

「いや、四割……いや、場所によっては半減しているぞ!?」


「物流が安定しているという報告もある!」

「荷馬車の事故が減っている!」


役人たちの声は震えていた。


(やっぱり……数字ってすごい説得力がある)


「護衛を“定期便”として配置することで、冒険者の働き方も安定し、物流の安全性も大幅に上がります」


私は続ける。


「だから、警備会社ファンドは……物流ファンドの“心臓部”です」


―――


噂が広がると、冒険者たちが続々と登録し始めた。


「お小遣い稼ぎに護衛ってのも悪くないな!」

「魔物退治より安全な仕事もあるんだろ?」

「レベル別で報酬が違うなら、管理も楽だ!」


会社の案内板には、護衛ランクと報酬が分かりやすく掲示されていた。


●警護レベル一覧

レベル1:村人の旅行同行

レベル2:一般商人の護衛

レベル3:キャラバン定期便の警備

レベル4:国境地域の巡回

レベル5:貴族・王族の警護



値段は依頼内容と危険度によって変わり、冒険者は自分のスキルに合わせて自由に仕事を選べる。


これは今までにない“働き方”だった。


―――


最初は村の片隅で始まった小さな警備会社。


けれど、実績と信頼が積み重なるうちに――


「こちら、ルート西の護衛部隊の訓練報告です!」

「魔法特化チームが編成されました!」

「王都から、王族警護の正式依頼が届きました!!」


会社は驚くべき速度で成長していった。


村の中心に建てられた本部には、次から次へと冒険者が出入りする。


「ここが……護衛の総本山か」

「これが……新しい冒険者の時代……!」


まるで、かつてのギルドが進化したような場所だった。


(冒険者が“派遣”できる時代が来るなんて……)


私は胸の奥で小さく感動していた。


そして――各国の報告書は、さらに世界の変化を示していた。


「旅の安全度が上昇」

「物流遅延が激減」

「地方住民の“移動”が活発化」

「商人の活動範囲が大幅に拡大」


安全という土台が整ったことで、人も物も金も動き始めた。


世界は変わりつつあった。


―――


護衛会社の成長を見届けながら、私は静かに呟いた。


「仕事って……誰かの安心の上に成り立つんだね」


父が私の肩をぽんと叩いた。


「カイ、お前は仕事を作ったんだ。それで救われた人が、どれだけいると思う?」


私は照れながら笑った。


「でも……まだまだ、やれることはあるよ」


おじいさんが杖で地面をつつきながら言う。


「坊。護衛が整えば、次は“移動”じゃな。世界はさらに広がるぞい」


(そうだ……物流も、移動も、技術も……まだまだ伸びる余地がある)


警備会社ファンドの成功は、次の“世界変革”の序章でしかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ