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異世界投資ファンド〜剣も魔法も使えないので、利回りで世界を救います〜  作者:


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第29話:協賛とは何か――世界が学び始めた日

ファンド協賛という仕組みを発表した翌日から、国際的な波紋は予想を超えて大きかった。


というのも、“技術は売らないが、仕組みは共有する”というこの新しい考え方を、各国がどう捉えるか……その反応がまちまちだったからだ。


私は交渉担当たちと共に、舞い込んできた各国からの使者に対応しながら、丁寧に説明を繰り返す日々を送ることになった。


―――


説明はいつも、同じ図から始める。


「ファンド協賛は “技術を買う” のではありません。“仕組みに参加し、利益を分け合う”方式です」


使者たちは一様に首をかしげる。


「仕組みに……参加?」

「つまり技術はもらえない?」


「はい。技術は商会が管理します。でも、その技術を使って生まれた利益は、協賛した国にも“分配”されます」


「ほう……?」


「つまりこうです」


●ファンド協賛の仕組み(カイのわかりやすい解説)

1. 各国が出資する(お金を入れる)

2. 商会がその資金で農業ドームや加工工場を作る

3. 生まれた収益を、出資した国にも返す(分配)

4. 技術の管理は商会が行うため、失敗や暴走が起きにくい


使者たちは、そこでやっと目を丸くする。


「なるほど……技術は持たないが、利益には参加できる……」

「しかも運営はそちらが行うから、我が国は“失敗のリスク”が少ない……!」


「そういうことです。だから、これは“買い付け”ではなく、“協賛”なんです」


―――


各国の反応 その①:海上国家リムレア――大歓迎


最初に大きく動いたのは、海上貿易国家リムレアだった。


「海を渡る交易網があります! 協賛すれば、その分布先に我が国の船も――」


「利用できますよ。ファンドの物流網は、参加国に開かれています」


「っ……!! 協賛する! ぜひ協賛する!!」


リムレアにとっての利点は明確だった。


・輸送路が広がる

・加工品を海路で運べる

・天候不順に強い供給網の恩恵


彼らはむしろ“技術を欲しがらない”珍しい国で、仕組みを使うことで大きく伸びるタイプだった。


(こういう国とは、相性が抜群だね)


―――


各国の反応 その②:山岳国家グランヴィル――慎重そのもの


「技術を渡さぬのか?」

「渡しません」

「なら我が国は……得をするのか?」


山岳国家は物事を慎重に考える気質だ。


私はゆっくりと言った。


「農業ドームは平地でなくても使えます。むしろ不便な土地ほど効果が強いです」


「……!」


「加工工場も、原料さえあれば山でも動きます。気候は関係ありません」


その話を聞くと、グランヴィル代表は腕を組んで言った。


「……つまり、我々が持つ“土地の弱点”が消えるということか」


「はい」


「よし、協賛しよう」


山岳国家は慎重だが一度動けば迅速だった。


―――


各国の反応 その③:砂漠帝国ヒュラノス――困惑


「水が足りないのだが……ドームは動くのか?」

「最低限の水で循環できます」

「加工品を作るには素材がないのだが」

「他国で作ったものを運んできます」


「…………」


しばらく沈黙。


そして帝国代表は、額を押さえながら言った。


「……便利すぎるのでは……?」


「便利です」


「いや、もっと隙を見せたまえ……!」


困惑しつつも、最終的には協賛に前向きとなった。


―――


各国の反応 その④:温暖地の国アウセル――動揺と焦り


かつて温暖気候を武器にしていたアウセルは、農業ドームの普及によって“優位性を失った”国だ。


「ドームの普及で、我が国の薬草が売れなくなっている……」

「加工品の価格も下落し始めた……!」


しかし、協賛の仕組みを説明すると――


「参加すれば……我が国も収益を受け取れるのか?」

「はい」

「技術は欲しいが……管理は任せて良いのか?」

「むしろ任せた方が安定します」


アウセルはしばらく迷っていたが、結局こう結論を出した。


「……協賛する。独占はもう無理だ。ならば共存する」


(大きな決断をしてくれたな……)


―――


各国の反応 その⑤:大国ヴァレンティア――警戒しつつ観察


最も大きな力を持つヴァレンティアは、やはり他国とは違う反応だった。


「技術を手放さぬまま、利益だけ配る……?」

「我が国としては、その“主導権”が気になる」


大国らしく、戦略的な視点で考えていた。


「技術を国に閉じ込めると、停滞します。でも、仕組みは広げれば広げるほど強くなります。そして“主導権”は、仕組みの中心に残ります」


「……つまり、君たちの商会に残る、と?」


「はい。ただし、誠実に協力してくれる国には、利益を惜しみません」


沈黙ののち、代表は小さく笑った。


「……面白い。この仕組みが本当に世界を動かすのか、見物だな」


ヴァレンティアは“慎重な協賛”という選択をした。


(大国に認められた……!)


―――


世界は「協賛」という新しい道を理解し始めた。


技術の独占でもなく、

単なる買い取りでもなく、

貸与でもなく――


“仕組みに参加する”


という形。


各国は最初こそ戸惑ったが、噛み砕いて説明すればするほど、彼らはこう言うようになった。


「君たちの商会に任せた方が、全体が発展する」

「技術よりも……仕組みが価値だ」

「協賛とは、未来を買うことだ」


そして――生活支援商会はついに、

“生活支援投資会社”

として正式に世界へ名を広げ始めた。

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