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トプルフェル譚  作者:
2/7

2.魔女付き

お久しぶりです。

 試験が終わって3週間近くが経った。

 私が殴った相手は、鼻が折れたやうですぐに治療に当てられた。私の右手も骨折をしてゐて、もう少しすれば固定を外してもいいことになってゐる。

 試験の結果は合格だったやうで、骨を折ったかいがあったと思ふ。ちなみに私が殴った相手も同じやうに合格となったらしい。

 軍属の魔法使ひが治療をして呉れるのかと思ったのだが、我々のやうな雑兵は相手にされない。


 今日は朝の鍛錬も無く、兵舎の3階で紅茶を飲みながらゆっくりと過ごしてゐる。

 芳醇な香り、ミルクを適量加へて味わふ茶葉の甘み。

 橋軍に与られる食事や嗜好品は()()()()質が高い。隊の士気を高めるためらしいがありがたい限りである。

 牛肉や新鮮な魚は勿論、酒にタバコ特に紅茶に対しては気合ひが入ってゐる。

 この国の先先代の国王は西側、アーブル大陸南部との正式な国交を結ぶ際にそれはそれは上等な茶葉でもてなされたらしく、それを国へ持ち帰って周りの貴族に広めて、また新聞にも紅茶の素晴らしさを説く文章を掲載した。それから庶民にも広がり紅茶は今日この国の食料輸入の4分の1も占めてゐる。

 まあそんな由緒など知らずともこの茶を一杯でも飲めばきっとみんな虜になってしまふ。


 レアルプエルテの茶色や黄色をベースとしたカラフルなレンガの街並に舗装されてゐない道路。それを照らす紅の太陽。解放された窓からそんな景色を見ると、自分が故郷から遠くまで来れたことに気が付く。

 故郷の窓はクラフトにそのやうな景色を見せなかった。それはきっと故郷の窓からの景色が此処と比べて劣ってゐるからでは無く、この窓からのものが彼の望んだものだったからだらう。


 彼が街の景色を堪能してゐると、背後にある扉が開けられて、同輩が彼の名前を呼ぶ。

 どうしたのだらう。上官がクラフトを探してゐるらしい。

 呼ばれて着いて行くとある一室に通される。

 厳しい顔つきをした上官がゐる。上官は彼が部屋に入ると次のやうに告げた。

 「クラフト、君には軍属の魔女の護衛官としての任務を与る。」

 少し面食らった。

 魔法使ひ、それも国属、軍属のものは皆その能力やポテンシャルを認められた奇才の集まりだ。

 てっきり歩兵として修行の毎日を送ると思ってゐたのだが、しかし上官の命令は絶対だ。

 「わかりました。任務には何時(いつ)から着けば良いでしょうか。」

 上官が返す。

 「たった今からだ。」


 「・・・は?」

読んでくれてありがたう!

最近fateの躍動と云ふ曲を知りました。素敵な曲ですね。

それではまた!

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