奴隷商
「それで、レイラおじょーさまはこんなとこに何の用で来たんだよ。あんたも他の貴族たちみたいな理由で来たんならタダじゃおかねぇぞ」
レイラはその言葉に違和感を覚えた。
「あなた、今”他の貴族たち”と言ったわね。ここに私以外の貴族が来たの?」
すると今までカミルの背に隠れていた少年たちが口々に言った。
「あいつはここにいる人間を連れて行くんだ!一昨日も ... !」
「俺達、止めようとしたらあいつに蹴られたんだ!」
そしてカミルも2人を宥めながら言った。
「あいつは俺達スラムの人間を奴隷として買っていくんだ。相手は貴族だから誰も逆らえない。それに、俺達みたいな人間の言う事なんて誰も信じてくれない ... 」
(この国では奴隷の所有や売買は禁止されているのに ... これは放っておけないわね)
「私は信じるわ。その貴族のことを教えてくれないかしら。私がなんとかしてみるわ」
「 ... 信じてくれるのは嬉しいけど、あんたに何ができるっていうんだよ。同じ貴族でも、相手は大人なんだぞ」
「私も同意です!こんな危険なことに関わってもし御身になにかあったら今度こそ侯爵様が黙っていません」
カミルの言葉にユアナも賛同した。
レイラだって心配は極力かけたくはない。
目を覚ました時の両親の心配した顔がレイラの頭から離れなかった。
「 ... でも、奴隷の所有は違法。私は ... 皇子の婚約者よ。見逃すことはできないわ。それに、皇子の婚約者という立場があれば簡単に危害を加えられることは無いと思うし、周りも言うことをきいてくれるはずよ」
レイラの言葉に2人は黙る。
「それで、どんな人物なの」
レイラの毅然とした態度を見て、カミルは反論することを諦めたように言った。
「少し太った中年のおっさんだよ。いつも俺達だけじゃなくて、自分の従者たちも見下してるんだ。指に何個も大きい宝石がついた指輪をつけてるんだ」
「そう、他に知っていることはないかしら」
すると、少年の1人が
「オレ、この前そいつが連れてきてた人に”酔興伯爵”って呼ばれてたの聞いたよ!」
「お嬢様 ... もしかして ... 」
「えぇ、おそらくユアナが想像している人物で間違いないわ。おそらく奴隷商の正体は ... 」




