002. 目覚め
その時、あるはずのないものがレイラの目に止まった。
(このお人形、確か八年前に失くした ... !)
つまり八年以上昔にもどっているということである。
そのとき誰かがドアを叩く音が聞こえた。
「誰?」
すると、驚いた顔をしたユアナが勢いよくドアを開けた。
「お嬢様!?目が覚めていらしたんですか?もう大丈夫ですか?五日も眠られていたんですよ!」
「そう、五日 ... 。それよりユアナ、今は何年かしら」
「急にどうされたのですか ... ?今年は奏命暦327年ですが」
つまり、八年前、九歳の時に戻ったということである。
「それよりもお嬢様の意識が戻られたことをはやく伝えなければ!旦那様ー!奥様ー!お嬢様がお目覚めになりましたー!」
しばらくして、慌てた様子で父と母がレイラの部屋のドアを勢いよく開けた。
「レイラ、大丈夫か!」
「心配したのよ!」
そして二人して泣き出したのだった。
「心配をかけてごめんなさい。ですが、お父様もお母様も少し心配しすぎでは ... 」
「もう、どれだけ心配したことか!レイラが倒れたときは紅茶に毒でも入っていたのかと思って、危うく、ラザホー様が使用人たちを全員解雇するところだったんだから」
「私はいたって本気だったぞ!」
父と母は結婚してから二十年以上経つのに未だにラブラブで、お互いを名前で呼びあっている。
いわゆる”バカップル”なのだ。
(それにしても”全員”はやりすぎだと思うけど ... )
解雇されなくて良かったと思いながら、レイラはあることが気になっていた。
”死ぬ前に見た真っ白な雷”
(なんとなく、あの雷とタイムリープは関係がある気がする ... )
あの雷が落ちた場所に行ってみたい。
――そう思いながら必死にあのときの状況や見たのものを思い出していた。
処刑場の西側
そばに立つ大きな古い塔
周りを取り囲む大きな壁
( ... スラム!)
しかしスラムに行きたいなんて言えば、全力で止められるだろう。
外出禁止を言い渡されるかもしれない。
「レイラ、大丈夫?やっぱりどこか悪いのかしら ... 」
「 ... 大丈夫です」
「そう、でもせめて六日後までには体調を万全にしないとね」
「六日後、何かあるのですか?」
すると母は驚いた顔をして行った。
「何かって、あなたに妹ができるのよ。忘れていたの?」
(マリアナ ... !)
やはり、グズグズしている場合ではない。
一刻も早く、スラムへ行って確かめなくては。




