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3-2. エルフの国(2)

エルフ。

ファンタジー作品では定番の人間の上位種だ。特徴として、耳が長くとがっている。

たいてい長命で、長身で、美形で、排他的で、森に棲み金属や科学を嫌う。

作品によって異なるが、『メガラニカ』では弓が得意で、草食。ヒト族の中ではINT(知力)とDEX(器用さ)が高めでSTR(腕力)とCON(体力)がやや低い。


「・・・現在判明している情報は以上で、とても限定的となっております。」


午後の一番眠い時間帯。みょんみょんこと私、そして仲間NPCたちは会議室に集まっています。

そんな中でななんちゃんは凛とした声で作成した資料を読み上げる。


“とても限定的”とは言いながら、些細なこともすべて網羅的に書かれており、その情報量は膨大だ。手渡された資料には、これでもかという量の情報がすごく小さな文字でA4ほどの紙に情報がびっしり書き込まれている。

これも私が作っていたら、情報過多で目が滑るものとなっていただろう。

これだけ見やすく読みやすくまとめられているのは流石ななんちゃんだ。


「密偵の人選ですが、よんよん、ろくろ、いよの3匹とさせていただきます。」


密偵の人選に関しては、事前に相談を受けていた。

危険も伴う仕事なので、Lv.99によるガチ編成している。


「いよはスキルを使用し常に視覚情報を常時こちらに送るように。それと、3匹ともこちらが指示するまで鑑定スキルは使用しないように。今回は潜入による情報収集であり、不要な鑑定はリスクになります。特にい・・・」

「何度も言われなくてもわかってるよ!」


指名されそうになったいよちゃんがブチギレる。

カラス君もそうなんだけど、いよちゃんとかの探索係<シーカー>って、息をするように鑑定するからね。

さらに言えば、ななんちゃんは相当しつこいからねぇ。


「潜入して情報を探るとはいえ、エルフ達と関係がこじれるのは出来れば避けたいところです。ですので、こちらから先に攻撃は行わないように。特にエルフを殺すことは絶対に避けてください。」


資料を作らせるとあれほど簡潔で読みやすい最高品を作るななんちゃんだが、口を開かせるとこうも“くどさ”が目立つものだろうかと思いながら聞いている私です。

そもそもこの場は、密偵の3人が出発するにあたり、手の空いている蜘蛛全員で見送る壮行会だ。


「アイテムボックスの使用はみょんみょん様から許可をいただいておりますが、“プレイヤー”の関係者だという証拠になりますので、出来るだけ使用は控えてください。また、いざという時のために爆発石をひとつお渡ししておきます。」


爆発石というのは『メガラニカ』で手に入れることが出来る強力な爆発を起こす攻撃アイテムだ。

今回潜入任務で選んだ3人は爆破攻撃ができないから、こういうのも必要になるかなって私が選んだんだ。潜入任務中に大きな扉を爆弾で吹っ飛ばすのって、ロマンあるじゃない?

ちなみに、爆発石を選別に選んだ理由はもう一つある。今回の相手はエルフ・・・つまり弓で攻撃されることが多いかなと予想して、弓矢と爆発攻撃耐性を特大上昇させる“シルフの加護”という指輪を3人には装備させてる。この指輪をつけている限り、自分が使った爆発石でケガをする恐れもないのだ!


「危険な任務に送り出しておいてこんなことを言うのは心苦しいけど・・・無理せず無事に帰ってきてね。」


私は順番に3人の手を握る。

よんよん君にはかわいい紫色の帽子の位置を整えるサービス付きだ。


「必ず・・・ご期待に応える働きをします。」


ろくろ君は居住まいを正して答える。


「では、行ってまいります。」


3人の背中を見送りながら、あの口数少ない3人で道中何話すんだろう、と私はのんきな心配をするのでした。

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