1-3. 急襲(3)
医務室から出ると、濃ちゃん、薄ちゃん、カラス君に加え、よんよん君とななんちゃんが私を出待ちしていた。
濃ちゃん・薄ちゃん・カラス君は私の親衛隊のような扱いなので、出待ちというよりは私を護衛していたという方が正しいのかもしれない。
よんよん君とななんちゃんは何か話をしていたようだが、私に気づくと畏まって跪いた。
「一つお願いしたき儀がございまして、お時間をいただけますでしょうか」
ななんちゃんの動きは、長いその袂が地に着くその角度まで計算つくされたような優美な所作だ。
とはいえ少し話をするだけでもいちいち畏まられたようじゃ私の肩がこる。
「そんなに畏まらなくていいのよ、それで要件は?」
そういい終えた直後・・・
言いようのない悪寒が私を襲った。
ぎぃぎぃぎぃ!
聞いたことのない悲鳴が頭の中で喚き散らす。
そう、悲鳴だ。
吐き気とともに心拍数が上がり変な汗が噴き出る。
「Bちゃんと・・・Dちゃん?」
まだこちらの世界に来てからはBちゃんとDちゃんに会っていない。
だが何故だかその悲鳴がフットマンの2人のものだとわかった。
背中に針を突き立てられ、脚をもがれている情景がむざむざと目に浮かんだ。
頭の中で何かがはじけ、頭に血が上っていく。
殺さなきゃ
抗することのできない感情が吹きあがる。
「どいて!」
私は走り出していた。