3-1. 秋に色づく大森林(2)
「遠路はるばるお越しいただき感謝いたします。ドワーフの皆様方も、頭をお上げください。」
私は出来るだけ威厳ある感じで頑張っている最中です。
私の目の前には5人のドワーフさん達が跪いていたが、私の言葉を受けて立ち上がる。
対等な関係を結ぶための謁見って聞いてたんだけど、相手の長を跪かせちゃだめでしょ。
「大いなるみょんみょん様に直接お会いできた光栄に身が引き締まる思いでございます。」
ひときわ立派な鎧で身をつつんだドワーフの長、ヴァルハルザさんは豪快な笑顔とともに大仰にお辞儀をする。
ドワーフという種族は、その典型的イメージ通り背が小さく、鼻が大きく、毛むくじゃらでガタイがよく、兜や鎧がよく似合う。
『メガラニカ』では手先が器用で力もあって、金属加工や建築が得意な種族だ。
私たちの目論見としては、手狭となったホームの代わりとなる新居建設の関係でドワーフさんに力になってほしいというのがある。
そのために、まずは友好的な関係を結ぼうということで今日の会合が準備されたのだ。
といっても、ほとんどななんちゃんが下準備をしてくれて、もう大方の話は決まっているんだけどね。
「ドワーフの皆様が私たちと友好的な関係を結んでいただけると聞き、とてもうれしく思っております。」
「我々にとっても、今日は記念すべき日でございます。卑劣なエルフに土地を奪われて以降、このような僥倖はございませんでした。」
一般的なファンタジー作品において、ドワーフとエルフが不仲なのはもはやテンプレだ。
だいたいエルフの金属嫌いが原因とされることが多いが、この世界では割とガチで因縁があるらしいんだよね。
「皆様方が必要だとおっしゃっていた金属類に関しては、いくつか譲渡可能なものがございます。具体的な量などに関しては、部下に一任しておりますので、この後具体的な話をしていただこうと思っております。」
ななんちゃんから聞いた事前情報では、ドワーフは数種類の金属が不足して困っているらしく、私達の貯蓄の中からいくらか渡すことになっている。その対価として私たちの新居を作ってもらおうというのだ。
具体的な量はこの後にある会合でななんちゃんとドワーフさん達で話をつめることになっている。交渉を進めてきたななんちゃんの邪魔をしないように、この場で私が不用意な発言はできない。
要は丸投げなんだけどね。
「今後とも両種族の繁栄のため、よろしくお願い申し上げます。」




