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2-11. 深き森の神の蟲(1)

11.深き森の神の蟲


小休憩をはさんで私は上位ナンバーの部屋に来たところです。

そこにはいつものメンバーの3騎士、ここちゃんを除く上位ナンバー、ふみちゃんがいます。


「お疲れのところを申し訳ございません。」

「ななんちゃんも心配かけてごめんね。結果として“空の柱”観光で私は結構楽しかったけどね。」


上位ナンバーの5人とふみちゃんが畏まって膝を折る。

3騎士の3人は部屋の隅でこじんまりと体育座りをしていて、そこだけカビでも生えているように辛気臭い。


「診察しましたが2人とも特に問題はありませんでしたよぉ、みょんみょん様の魅了<チャーム>がまだ効いていて多幸感があるようですけどぉ。」


どうみても多幸感があるようには見えなくて3人を二度見していると、濃ちゃんが顔をあげていつものように微笑みかけてくれた。

元気そうでよかった。

私も微笑み返して軽く手を振る。


「では、状況を整理しましょうか。」

「その前に、ここちゃんといよちゃんがいないけど、どうしたの?」


ホームに帰った直後に聞いていた話では、状況整理の為に集まる場にはここちゃんといよちゃんも来ることになっていた。


「どうやら女王蟲は逃げた線が濃厚ですので、いよは捜索に出ています。単騎だと何かあると大変ですので、ここを付けました。深追いはしないよう念を押しています。」

「それは・・・ううん、いいわ。でも、ここちゃんやいよちゃんを過労死させないでね。」


当初の予定していた“空の柱”が手に入ったのだから、女王蟲はほうっておけばいい・・・と言いたいところだが、魅了<チャーム>の脅威が分かった以上、放置はできないとななんちゃんは判断したということだ。


「状況がまるで呑み込めないんだが、お前らは何で落ち込んでんだよ。」

「俺っちのことは放っててほしいっす。」

「濃墨、お前もすぐに絶望するから覚悟しておけ。」


その横で3人が小声で話をしている。


「とりあえず、濃墨君。君は黒いアラクネに遭遇した後のことをどれくらい覚えているかな。」

「いや・・・黒いアラクネ?みょんみょん様と“空の柱”に行こうとしていたのは覚えているんだが・・・そこからみょんみょん様に魅了<チャーム>される前までがあんまり思い出せないんだ。」


ななんちゃんに指名された濃ちゃんだが、どうやら正気を失っていた間のことは何も覚えていないらしい。


「ふむ、薄墨の実験でも同じような結果でしたが、魅了<チャーム>にかかっている間の記憶は欠落すると考えてもよさそうですね。他の種族にも同様の効果があるかはわかりませんが。」

「いや、だから魅了<チャーム>された後は覚えてるんだぜ?」

「確かに、薄墨もみょんみょん様の魅了<チャーム>では記憶の欠落も起こりませんでしたし、少しばかり元気なくらいで普段とあまり変わらないようにも見受けられました。」


状況がわからなさ過ぎてる濃ちゃんちょっとかわいそう。


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