2-10. 救出劇(6)
「魅了<チャーム>!!!」
咄嗟に濃ちゃんに魅了<チャーム>をかけた私ことみょんみょんです。
というか、技名をわざわざ叫ばなくていいんだけど、なんか叫びたいよね。
ポーズもしなくていいんだけど、なんかしちゃうよね。
封印されし厨二病というやつです。
「ど、どう?濃ちゃん?私にメロメロ・・・?」
濃ちゃんはぽかんとしていたが、我に返るとあたりを見回す。
「みょんみょん様!?は、はい、いつも・・・その、メロメロです。」
「じゃあ、今度はカラス君!魅了<チャーム>!!!」
部屋の隅で呆けているカラス君にも魅了<チャーム>をかける。
「カラス君も私にメロメロだよね!ふみちゃんは大丈夫!?」
私の盾になって濃ちゃんの攻撃が直撃したふみちゃんは左肩から上が吹き飛んでいる。
しかし、中を覗き込むともふもふのふみちゃん本体が私に手(脚)を振ってくれる。
「あたり判定が小さくてよかった・・・あ、でも第1脚両方動いてないよ?」
「ギギギ、ギギギギギ・・・(先ほどの攻撃で少し負傷しましたが大丈夫です)」
ふみちゃんは主に糸を操っている第1脚をぶらんとさせている。
攻撃による衝撃で糸が引っ張られて腕を負傷したようだった。
「あ、濃ちゃん、ふみちゃん回復させてあげてくれない?いや、その前に自分!濃ちゃんもう少し自分を回復させて!その後にふみちゃん!」
血だらけになっている姿を見て、私は濃ちゃんがポーションでちょっと回復しただけだということを思い出す。
「みょんみょん様、とりあえず先に帰還いたしましょう。門<ゲート>を開いております。」
ここちゃんがすぐ背後にホームのすぐ近くに転移できる門<ゲート>を展開してくれていた。
「そうだった!ありがとうここちゃん!ほら、濃ちゃん、カラス君もとりあえず撤退するよ!」
私は濃ちゃんを抱き上げて門<ゲート>をくぐる。
門<ゲート>をくぐったその先はホームのすぐ近く、散歩でよく来る見渡しのいい丘だ。
「みょんみょん様、あの、俺は立てますんで、回復させてもらいますね。」
濃ちゃんのその言葉に濃ちゃんを着地させ、私は柔らかい苔の生した地面に寝転がる。
「こぼれ治癒<ヒール>いただきます。」
門<ゲート>をくぐってきたふみちゃんは濃ちゃんの傍に立つ。
濃ちゃんは祝福というスキルの影響で、自分を回復させたときに周囲にいる仲間も少し回復させることが出来る。
なのでふみちゃんは濃ちゃんの近くに行くことで呪文を節約しようとしているのだ。
いよちゃん、カラス君に続きここちゃんも門<ゲート>をくぐってきて、最後にここちゃんは門<ゲート>を閉じる。
そこでここちゃんは私が地面に寝転がっているのに気づいて少し慌てていた。
「全員無事だ~~~~!!!」
私は雄叫びをあげる。
跳び起きてみんなに順番に抱き着く。
「全員無事だ~~~~!!!」
頭部を完全に修正したふみちゃんが笑顔で拍手をしてくれる。
私の奇行になれていないここちゃんは少し驚いているが、そんなのお構いなしで私はみんなの周りをぴょんぴょん飛び跳ねる。
正直、2人の救出作戦はかなり不安だった。
でも、全員無事で帰って来たのだ。
「よし、とりあえずホームに帰ろう!」
私は濃ちゃんとカラス君の手を取り、歩き出した。




