2-10. 救出劇(1)
10.救出劇
東の女王蟲の巣と思われる巨大な建造物の、その入り口の近くまで来ているみょんみょんこと私です。
ご覧ください、この巨大な蜘蛛の巣!
全部蜘蛛の糸でできているとは思えないほどの頑丈な作り!
白亜の壁は一切汚れることなく、手入れが行き届いており、美しさまで感じます。
・・・なんて、実況する余裕さえあります。
なんせ哨戒どころか門番さえいない。
女王蟲の居城は静まり返っています。
敵がいないので入り口の真ん前で普通に待っている私のところにいよちゃんが返ってくる。
「巣の壁は糸でできていますが、3mほどの厚さがあり、壁の破壊による突破は容易ではありません。少し潜入してみましたが、少なくとも1階・2階には1匹も蜘蛛はおりません。内部は暗くなっておりますが広く、少なくとも1階には罠も見当りません。」
「相手は私たちを誘い込もうとしているとかかな?でも、罠にしても敵が一匹もいないのはあからさますぎて逆におかしい気がするけど・・・」
いよちゃんはスキルや職業だけを見ればカラスちゃんよりも優秀な探索役<シーカー>だ。
そのいよちゃんが罠がないと言ってるのだから、少なくとも仕掛けとしての罠はないということだ。
「迷っていても仕方ないわ。行きましょう。」




