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2-9. 弱点属性(1)

9.弱点属性


黒いアラクネはどうやら魅了<チャーム>のスキルを使用したらしい。


それで濃ちゃんとカラスちゃんは魅了<チャーム>されてしまった。


薄ちゃんはなんとかはじいたけど、ものすごく不快だったためセルフ発狂して、ふみちゃんに後ろから抱き着いたらしい。

というのも、眷属支配のスキルでふみちゃんの眼を借りていると、NPC達にはふんわりふみちゃんの眼から主である私の気配を感じるらしいのだが、混乱した薄ちゃんがその気配に縋った結果だということだ。

なお、この行動は薄ちゃんも猛省、というか自責の念に苛まれている状態なので見ているこっちが悲しくなってきた。


それで私が撤退を指示したので、ふみちゃんはしがみついてくる薄ちゃんを背中に乗せたまま退却。


退却時にふみちゃんに見えたのは、立ち尽くす濃ちゃんと、血を流して倒れているカラスちゃん。


ふみちゃんと薄ちゃんは崖まで撤退し、相手は追ってこなかった。

そして私の指示でホームまで戻ってきたと。


状況をまとめるとこういうことだった。


・・・というか、濃ちゃんに装備させてると思ってた精神攻撃無効の効果を持つ『天恵のフレクション』、そういえば私が借りてそのままだった。


「私のバカ~~!あ~っ!!馬鹿~~~!!!」


なので、濃ちゃんは精神攻撃に対して一切防御のすべを持っていなかったことになる。


「まさか我々があれほどまでに魅了<チャーム>に対抗できないとは、私の確認不足でした。申し訳ございません。」


ななんちゃんが私の前にひれ伏す。


というのも、蜘蛛のオス・・・というかアラクネの眷属のオスはアラクネの魅了<チャーム>にものすごく弱いことが先ほど判明したのだ。


魅了<チャーム>は、他の精神攻撃と同様に、同格の相手に50%程度、格上には25%程度、格下には75%程度で成功する。

さらにスキルレベルや装備の効果などでもう少し成功率をあげることができる。

そのうえで、カラス君とかが持つ精神攻撃耐性(上)のスキルは同格以下の敵の精神攻撃を95%で無効化する。

少なくとも『メガラニカ』ではそういうパラメーターのスキルだった。


でも、先ほど行った実験では、Lv.99で精神攻撃耐性(上)持ちの薄ちゃんがLv.58のふみちゃんの魅了<チャーム>により一瞬にしてメロメロになってました。

それはものの見事にメロメロでした。

あれにはオスの哀愁を感じました、まる。


さらにLv.100の私が魅了<チャーム>をかけたあとは、Lv.99のここちゃんの魅了<チャーム>が効かないこともわかった。

どうやら魅了<チャーム>の上書きを行うにはその前にかけたアラクネよりもLv.が上である必要があるみたいです。


他に実験で得られた知見として、『天恵のフレクション』はアラクネの魅了<チャーム>にとことん弱いオス蜘蛛であっても、ちゃんと魅了<チャーム>を無効化できるということも併せて付記しておきます。私のバカーっ!


なお、先ほどの失態に対する罰を兼ねて実験台になってもらった薄ちゃんは、精神的疲労から今は寝込んでいます。

ごめんね、後でお詫びの品を持っていくからね。


「ななんちゃんのせいじゃないわ。とりあえず、私も落ち込む暇があったら二人を助けに行く準備をしないとね。」

「魅了<チャーム>はメスには無効ですので、ここ、いよ、ふみを主軸にパーティーを組むことになります。『天恵のフレクション』がありますので、あと1匹オスの眷属を加えることができますが、広範囲魔法攻撃職を加えるか、回復役を加えるか、場合によっては盾役を加える方法もあると思いますがいかがなされますか?」

「ん~、実は『天恵のフレクション』は2つあるのよね。でも、助けた二人に装備させたいから、パーティーはここちゃん、いよちゃん、ふみちゃん、私の4人で行くわ。」


ななんちゃんはさらっと私をのけ者にしようとする。

いや、主である私に危険なことをさせまいとしているのはわかるんだけど、今回は私がしっかり落とし前をつけたい。


「カラスちゃんは怪我してるし、魅了<チャーム>かけられて二人がどんな目に遭っているかわからない。早く助けに行ってあげないとね。」


何とか私を出撃させまいと考えているななんちゃんをしり目に、私は焦る心をなるべく抑えつつ、もう一つの『天恵のフレクション』を取りに自室へ戻った。


はっぴ~にゅ~いや~~

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