2-8. 森の東側(1)
8.森の東側
ということで森の東側探検隊の結成です。
メンバーは濃ちゃん、薄ちゃん、カラスちゃんにふみちゃんという安定のいつものメンバーだ。
今回、とあるスキルを試すことをななんちゃんに提案されて、私は出撃しません。
提案されたスキル、それはずばり、眷属支配、というスキルだ。
『少し、慣れてきたかな・・・』
ふらふらとよろめきながら私はふみちゃんの体で歩く。
はい、今まさにそのスキルを使用中です。
眷属支配というスキルは『メガラニカ』ではNPCである眷属を一時的にプレイヤーが操作することができるスキルで、PCが行動不能になった時などに時々お世話になるスキルだ。
そのスキルを使用して、今回、影武者であるふみちゃんを私が操って探検にでかけようという企画・・・なのだ。
最大の利点は、私は怪我を負うリスクなしで楽しく探索できちゃうことです。
難点の一つにスキルの効果範囲・持続時間がどこまでなのか未知数であること。
これを調べられるというのも今回の企画の大切な目的だ。
だがいざ、スキルを使ってふみちゃんの体を操ろうとしたら、もっと重大な難点が判明した。
私がスキルで意のままに操れるのはふみちゃんの内側の体だってことだ。
つまり、普段ふみちゃんが織糸スキルで外側の糸で作った体を動かしているように、私も内側のふみちゃんの体をスキルで操って外側の体を糸で操らなければいけない。
これがめちゃくちゃ難しい。
そもそも、糸で操って立って歩くってだけでも想像を絶する難しさなのに、さらに表情変えたり発声したりってふみちゃん超人じゃん!
とはいえ、もしかしたら今後ふみちゃんを操って危険なところに行く必要があるかもしれないし、やれるだけやってみたい。
めちゃくちゃ難しいけど面白いってのもあるしね。
『ぎこちないけど、この短時間で結構歩けるようになった私すごくない?』
発声まで手(脚?)が回らないので、伝達<コール>で話をする。
「いや、違和感しかありませんが。」
「無表情で歩くのなんか怖いっす・・・」
「歩容に美しさが微塵もありません。」
基本私のことを褒める仲間NPC達からの評価も散々だ。
『ふみちゃんの体を傷つけたくないし、もう少し練習してから出発させてください・・・』
特に急ぐ理由もないからね、休憩入れつつ数日練習してから出発することにしました。
それにしても、ななんちゃんが私を危険なことから遠ざけるの、どんどんうまくなってきている気がする。でも、企画が面白いから今回は提案に乗ってあげよう、仕方ないけどね。




