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2-7. 崖の蜘蛛、東の蜘蛛(2)

村長にホームに帰る旨を伝えると、あれやこれや条件を提示されて村に滞在するよう言われたが、定期的にふみちゃんを村に派遣することでなんとか納得してもらった。


そうそう、忘れかけていた、ブラハさんから薬草をいくつか分けてもらう、というミッションもちゃんとクリアしました。

忘れてなくて偉いぞ、私。


ちなみに、この世界でのポーション作成方法をブラハさんにご教授願いたかったんだけれど、ポーションは王都に住むという高名な錬金術師以外作成ができない貴重な代物だということだった。

アイテムボックスには99個あるから数は十分あるんだけど、『メガラニカ』でポーションの材料だった薬草と同じものが見当たらなくて、現時点では新たに作成できないんだよね。


「ピコロ草もあんなに譲っていただけるなんて、我らが神はなんとも慈悲深い!未来永劫子子孫孫我々は神蟲様を讃えましょう!」


ブラハさんは相変わらず大仰な話し方をする。

髭も髪の毛もぼさぼさで毛むくじゃらなところも相変わらずだ。


以前、ブラハさんが森に来た時に採取していたピコロ草という薬草は、ホームの近くにわんさか生えているので、今回プレゼントとしていくつか持ってきた。

ブラハさんはこの薬草を万病に効くと言っているんだけど、鑑定スキルでは「栄養満点だがとても苦い」としか効果が確認できない。なので、私達にとっては今では牧場の一角獣の餌に時々混ぜるくらいしか価値がない草なのだ。


「神蟲様のお住まいは、以前お会いした場所のあたりなのでしょうか。」


別れを惜しんでいるのかそれとも生来こんな感じなのか、ブラハさんは一回話し始めるとなかなか話が終わらない。


「そうね、あの近くに大きな谷というか崖というか、大地の裂け目みたいな場所があって。その崖の中腹に住んでいるの。」

「“終末のとば口”にお住まいとは!聞いたか皆の者、神蟲様は滅尽から我々をお守りくださっておられるのだ!!」


ブラハさんの言葉に私をお見送りに来ていた他の村人たちから歓声が上がる。


どうやらホームがあるあの場所を終末のとば口と呼んで、あの谷の奥には“滅尽”と呼ばれる何かがいるらしい。


その滅尽について詳しく聞きたいが、村人たちは私のことをたいそうありがたい神様だという話で盛り上がっていて、質問するハードルが異様に高い。

そもそも守るなんて一言も言っていないのだけれど。


そのとき、ふと向こうの井戸のあたりで何かが動くのが見えた。

はじめは牛か馬かと思ったがそれにしては小さい。


「どうかいたしましたか?」

「いえ、なにか向こうで動くのが見えて・・・」


ブラハさんは後ろを振り返るが、もうその姿は見えなかった。

すると、心当たりがあるらしい村長が私の顔色をうかがいながら言いにくそうに口を開いた。


「もしかしたら鳥のモンスターでしょうか?数日前から村に居ついていて、モンスターですが人語を理解して話すので、仕方なく食事を与え養ってやっているのです。ご不快なようであれば処分しますが・・・」


カラス君を見ると、わけてもらった薬草を鑑定しては黙々と選別している

Lv.20以上のモンスターならカラス君が私に報告しないわけはないので、おそらく低レベルのモンスターなのだろう。


「別に不快とかではないのです、無害なモンスターならあなた方の御好きなように。とにかく、私は帰ります。ここちゃん、お願い。」


“滅尽”のことなど聞きたいことがあるにはあるが、これ以上話していると帰るタイミングを失いそうなので、情報収集は諦めてここちゃんにホームへ帰るための門<ゲート>を作ってもらう。


ちなみに歩いて帰ってもよかったけど、ちょっと神様っぽいムーブしてみたくなっちゃった。


ここちゃんがホームへの門<ゲート>を作ると、案の定村人たちは再度歓声を上げる。


「では、気が向いたらまた来ますね。ごきげんよう。」


ちょっとすましてカッコよく退出してみた。


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