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2-4. 傲然たる強者(2)

こういう時には、いつもと同じようなことをやると落ち着くと思うので、歩きなれて飽きつつある、いつもの散歩コースを歩く。


真夏の15時過ぎと言えば、神原美音の記憶においてあまりの暑さですぐにHPが底をつくそういう過酷なものだったけど、下草もまばらなうっそうとした森の中だとダメージを受けるほどではなかった。

蚊みたいな虫が多いのは考え物だけれども。


「さっそく俺は役に立っただろ!」


今回のお散歩にはメル君とソー君も一緒です。

私が助けた存在が幸せそうにしているのを見るのは、とても強力な精神安定剤だからね。


「相手の種族名が判明した程度じゃあなぁ。」


今回、敵の親玉の種族名は『くぃでぽんご』というらしい。くぃで、というのは古い言葉で赤い、という意味だというので、レッドポンゴと呼称するとわかりやすい。

鑑定で判明した種族名をメル君が読んでくれたのだ。


「あら、全くの不明じゃあ気持ち悪いもの。これからも頼りにしているわ、メル君。」

「いつでも頼ってくれ!」


耳をピンと立てて、誇らしげにメル君は腕を組む。


「あと、まだ来て数時間だけど、ホームでの暮らしはどう?問題なくやっていけそう?」

「飯はうまいし、あと、部屋にあった謎のびよんびよんする奴!あれはいいな!!」


メル君はとりあえず問題なさそうだ。

ソー君も何も言わずポーカーフェイスだけど、とりあえず大きな不満はなさそう。


「びよんびよんって・・・?」

「はっちがふざけて毛皮のボールをバネの先につけたオモチャをあいつらの部屋に置いたんすよ、猫じゃらしって言って。それを気に入ってるらしいっす。ここがドンびいてたっす。」


皮肉を言ったら勘違いされてすごく喜ばれたのと同じ状況だ。

それにしても、客人として接してって言ってるのに、仲間NPC達はどうも他種族と融和するのが苦手なようだ。

これではポンゴ達を排他的と非難するのも憚られる。


って、せっかく気分転換に散歩に来たのに、陰鬱なことを思い出してしまった。


もう2時間もすればあの村は大変なことになるのだ。

それなのに、私はというとのんきに散歩している。


「ポンゴへの攻撃、私は見届けなくても、本当にいいのかな。」


この場にいる子たちはみんな私に都合のいいことしか言わないのをわかっていてこんなこと言うのは、甘えなのだろう。


「古来より、王などの指揮をする立場の者は兵士の気持ちを知るために前線に身を投じるべきだという意見もあります。ただ、指揮官は最終的な勝利のために犠牲を払う決断ができる冷静さこそ必要です。ましてや敵に慈悲をかけるなど論外。そのために、あえて戦場から距離を置くのは肝要かと。」


私の横でぽかんとして何も言わない薄ちゃんに見かねて、カラス君が見張りのために上っていた木から降りて来た。


確かに、便利なスキルがあるから戦場を画像で見るという選択肢があるけれど、本来の指揮官って後方で報告聞いて指示するのが仕事だもんね。

カラス君は敵に慈悲をかけるなど論外、が一番言いたそうだけれど。


「どうせななんは魔法ぶっ放ちたいだけっすよ!派手な魔法でぼっこぼこにすんの好きって聞いたっす!みょんみょん様がいると好きな魔法撃てないかもしれないっすから、不遜にもみょんみょん様を遠ざけてるんっすよ、きっと!」

「そういや、ななん、相手の魔法詠唱時にやけに食いついてたな。俺は火属性の魔法はさっぱりなんだが、なんかあったのか?」

「ここにいるメンツにそれを聞いても何も収穫はないだろうが。」


3人のいつも通りの会話を聞いていると、とても落ち着く。

とりあえず、一人で落ち込んでいても仕方ない。

今回はもうななんちゃんに任せるとして、この経験を今後に生かすしかないのだ。


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