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2-3. 森の賢者(3)

13時になったので、みょんみょんこと私は会議室に来ています。

と言っても、昼ご飯も会議室で食べているので、そのまままったりしていたら13時になったという感じなのだけれども。


会議室の一角にスクリーンが置かれ、そこに村の入り口らしき映像が映し出されている。

ポンゴの村に使者として行ったよいっちゃん(与一)の様子を観察するため、いよちゃんを村のすぐ近くに潜伏させているらしい。


ポンゴの村は見る限り原始的な村で、1mほどの空堀と、木と藁のようなものでつくった柵を村の周囲に巡らせている。見えている村の入り口には簡易な木製の門があり、開いた門の先には竪穴式住居のような建物が見える。中で火を使っているのか、建物の多くは煙が上がっていた。


その村の入り口に、よいっちゃんと飛竜ゾンビ、それに加えて新たに作成したと思われるスケルトル飛竜が近づいていく。スケルトル飛竜というのは飛竜の骸骨モンスターでスケルトンの飛竜ver.だ。


「映像はいよの視覚共有スキルとなっております。与一には話した言葉をすべて伝達<コール>で共有するように伝えています。」


視覚共有は、ダンジョン等で仲間NPCを先行させその周囲の映像をプレイヤーが確認できるスキルで、『メガラニカ』ではNPCのAIが残念な感じだったために微妙なスキルだった。

しかし、こっちの世界では超便利スキルになりそうだ。


わたくしは栄光なるみょんみょん様の代理としてポンゴの代表の方と交渉を行いたく参りました、与一と申します。事前の申請なく訪問いたしました非礼をお許しください。ガラーネ様はいらっしゃいますでしょうか。』


門番のポンゴによいっちゃんは丁寧に挨拶をする。

こんなこと思うのは本当に失礼なんだけど、チンパンジーに丁寧にお辞儀してる絵面がおもしろいな。


よいっちゃんは黒髪のロングストレートな髪をポニーテールにまとめている優男なNPCだ。那須与一イメージで、和服の狩衣を着て、大きな弓を担いだ遠距離攻撃タイプだ。

他種族に対しても常識的な対応ができると設定にあるので、使者に選ばれたのかもしれない。


門番ポンゴの方は何か叫んでいるようだが、こちらからは確認できない。

しかし突然、こぶし大もありそうな石をよいっちゃんに投げかける。

それも2匹の門番が10個近くの石を投げつけて来た。


『よ、よいっちゃん、大丈夫?』


映像でも、よいっちゃんは投石を難なくよけているのは見えたが、私は思わず確認する。


『はい、どうやら相手は私を人間と勘違いしているようです。』


「人間に対して根深い恨みがある種族なのかしら。」


例え人間だと誤解していても突然石を投げてくる理由にはならないと思うのだが、何かしら理由があるのだろうか。


『ひとしきり石を投げて敵わないと判断したのか、村の奥に逃げていきますね。』


よいっちゃんからの伝達<コール>に映像を見ると、確かに門番の姿が無くなっている。

2匹とも村の奥に引っ込んだらしい。門番とは一体と思いたくなるが、そういう有事対応マニュアルでもあるのだろうか。


すこしして、奥から大柄なポンゴと数体のポンゴが出てきた。

門番よりは少しよさそうなものを着ているので、より上位の立場にいるものと思われた。


『大きなやつはLv.35相当、種族名は・・・ポンゴ?読めません。クラスはドルイド。習得魔法はファイヤーボール、ファイヤーストーム、サンダーボルト、スキルは早口、森の加護。』


いよちゃんは出てきたポンゴを早速鑑定して、その情報を共有してくれる。

さらに種族名と思われる現地の文字を真似て書いたものも見せてもらえた。

独特な文字だ。


それを一瞬で書き写したななんちゃんが、ここちゃんに渡す。

ここちゃんはすごく嫌そうな顔をしたが、しぶしぶ部屋を後にした。


『そのほかの奴はLv.10程度です。種族名はポンゴ。クラスはシーフや神官見習い、際立って危険な魔法やスキルは見当たりません。』

『与一です、相手はガラーネを名乗っております。下等生物であるクモなど敵ではないとも。』

『とりあえず、予定通り交渉を進めてくれるかな。』

『了解です。』


交渉する気がない相手にななんちゃんも少し困り顔だ。


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