2-2. 王道の序章(6)
ななんちゃんの話では、森の賢者は炎系・雷撃系を得意とする攻撃系魔法職で強さは「ポンゴの中で一番強いオス(ソースはあいつ)」で「西の龍王よりも強い(ソースはあいつ)」。炎の攻撃魔法は判明しているものでファイヤーボール、ファイヤーストームであり、ファイヤーウォールは未収得と思われるとのこと。総合的に分析して、Lv.40程度、強く見積もってもLv.50程度ではないかとのことだった。
ケット・シーの村を襲った個体の逃亡を追跡し、森の賢者の居場所は判明しているらしい。その村を与一ちゃんが調べた情報では、村の人口(猿口?)は推定300匹ほど、村の入り口は3か所、すべてに2匹ずつ門番がおり、門番はLv.10程度ということだ。
「300人って、まずまずの規模ね」
「周辺に16のポンゴによる村があり、その中でも一番大きいようです。あの捕虜にしたポンゴから得られた推測ですが、森の生活に適応した種族のようで木々に隠れるのが上手く、村に襲撃をかけたとして森に逃げられると厄介です。殲滅するのであれば時間と策が必要と思われます。」
「別に殲滅したいわけじゃないんだよね。安全に暮らしたいだけだから、友好的に行きたいところだけど。」
西の龍王をうっかり撃破してしまいその支配領域そのまま私の庭にしちゃえる状態が生じているのだから、無理に森の賢者とやらを排除しなくてもいい。
私とNPC達が食べていけるだけの広さがあれば十分だ。
「王道を敷くとなると、あの捕虜にペスト等を感染させ村に帰し、病気が蔓延したところを見計らい人道支援を装って薬を提供するといったところでしょうか。」
ななんちゃんが私の考えとかけ離れた提案をしてくる。
友好的という言葉をどうとらえたらその提案が来るのか。
「ペストはだめよぉ、あれは獣の多くに感染するから、ポンゴにとどまらずに森全体が汚染されて最終的に私達にも被害が及びかねないわぁ。普通に水源に毒を撒くぐらいが妥当じゃないかしらぁ、魔法で解毒してあげればいいでしょぉ?」
「あなた方、みょんみょん様が友好的に支配しろとおっしゃったのですから、あまり被害を出さない方法が良いに決まっています。森の賢者はオスなのですから短期的には魅了<チャーム>でいうことを聞かせ、その間にみょんみょん様のすばらしさをわからせれば良いと思います。」
これはまた短絡的な力技がきた。
そもそも私のすばらしさとはなんなのか。もしかして、Lv.99をたくさん従えているからいつでもポンゴを滅ぼすことができるっていうところでしょうか。
そもそも支配しろなんて言ってない。
「では、友好の使者を送るといたしましょうか。ここ、はじめに仕留めたワイバーンは6体と記憶しているが、他にも残っているだろうか。」
「あと3体あるけど全部はダメよ、大切な食糧でもあるんだから。骨はダメなの?出汁を取った後の骨がゴミ置き場に転がっていると思うけど。」
友好の使者にワイバーンが必要なのかというツッコミをしたいけど、示威行為は友好の一歩と言えなくもないよね。




