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1-8. 再始動(3)

翌朝。


「みんな集まってくれてありがとう」


朝ごはんの前にみんなに話したいことがあるから広間に全員(体調不良な子を除く)集合ねって誰かに言っておいたら、定刻にはピッタリ全員集合してるの、本当にすごい。


上位ナンバーの子たちもなんとか体調を整えて全員来ている、無理をしてほしくはないんだけどね。


「今回、私はちょっと遊びに一人でホームを出てしまったわけだけど、結果的に森で迷って帰ってこれなくなってしまっていました。助けに迎えに来てくれた子たちはありがとう!」


相変わらずみんな片膝ついて畏まって私の話を聞いてくれるんだけど、私としては反応が欲しいんだよね。


「私が『探さないで』って書いた命令を守ってくれた子たちもありがとう」


私としては、探さなかった子たちをあまり褒めたくないんだけれど、でも眷属としては正しい在り方なんだよね。

じゃあ褒めないのも変だよねってことで一応褒めておく。


「でも、私は『探さないで』という私の命令は間違っていたと思っています。今回のように私も時に間違います。だから、私の命令に盲目的に従うのではなく、私の命令の意図を理解して自分で判断して行動してほしいと考えているの。実際、私は助けが来なかったら、おそらく死んじゃっていたわけだし。」


私は神様じゃないので間違うこともあるから私の命令は絶対視しないでほしいんだよね。


でも、この発言で静かに聞いてたみんながにわかにざわついた。

考えてみたら、私の命令は私のいいように各自判断して私のいいように動けってすごいめちゃくちゃな発言だな。

ブラックな職場にいるアウトな上司の言い分だ。


一瞬騒然としたが、すぐに広間は静まり返る。

反論してくれたら訂正もできるが、こうもまた静まり返ってしまうと、私は話を続けるしかない。


「しかも、命令通りに私を探さずにホームで待機していた子たちに限ってみんなちょっと体調不良なのはいただけません。ちゃんと食べてなかったり寝てなかったりした子も多いみたいだけど、3日くらい私がいなくても万全な体調にしておいてください」


いけない、本音が出てきた。

取り返しのつかないぼろが出る前に、そろそろ本題に移ろう。


「とりあえず、今回は『探さないで』という命令に背いて私を助けてくれた子たちも、命令に盲目的に従って私を助けてくれなかった子たちも、等しく罪があると私は考えました。」


ないわ~私が職場でこれ言われたら即退職するわ~


みんなの反応を見るために、私は一呼吸間を置く。


みんな反論してくるかなと思ったのに、相変わらずみんな静かに私の話を傾聴している。


だめだこれ、このまま突き進むしかない。


「今回はみんなで連帯責任とします。罪に対し、これから行う処罰に耐えてもらいます。重鎖君」


私が呼ぶと重鎖君は立ち上がり、昨晩準備してくれた大量の製作物の入った袋を私の前に放り投げる。


「ほらよ」


重鎖君はアイテム作成兼鍛冶職の子だ。

赤髪のツンツン頭で、両目の横の赤い宝石による∵の飾りがチャームポイントだ。

なぜならばこれは本来8つある蜘蛛のお目目をモチーフにしているのである。

目つきが悪くてガサツな言葉使いだけど、根はいい子です。


「鉢も持って来らぁ」


重鎖君はほぼ自室と化している装備品練成室に入ると、両手で抱えるほどの大きな火鉢を持って出てきた。

中では熱せられた墨が赤々と輝いている。


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