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1-6. 転移の代償(6)

「Bちゃん!」


あっちの方向でBちゃんが苦しんでいる、そんな感覚を頼りに無我夢中で走ったら、すぐにふみちゃんに抱かれたBちゃんを見つけた。

すぐさまふみちゃんの腕からBちゃんをもぎ取る。


「うわっ、飢餓状態じゃない!なんで?食事食べなかったの??」


慌ててアイテムボックス内を探ると、おにぎりがあった。

そのおにぎりをBちゃんの口にあてがう。

本来は肉しか食べないデスウィーバーのBちゃんだが、アイテムとして作成したものなら食べられるので大丈夫だ。


「ほら、命令です!食べなさい!!死んじゃうよ!!!」


はじめは躊躇していたBちゃんだったが、諦めておにぎりをチューチューしはじめた。

本来おにぎりはチューチューしながら食べるものではないので、すごく食べにくそうではあるが。


と、そうこうしている最中に、急に視界が開けてあたりがよく見えるようになった。

まさしく霧が晴れたような感覚に辺りを見回すと、濃ちゃん、カラス君、いよちゃんそれにふみちゃんが呆然と私を見ている。


「みょんみょん様ぁ~~」


声が聞こえて後ろを見ると、左側の第4脚(一番後ろの脚)に薄ちゃんがしがみついている。


「あ、薄ちゃん、それにみんな、迎えに来てくれたのね!」

「兄貴!みょんみょん様の右の脚が無くなってる!!回復!!!」


どうやら私は、木の根が絡まった右側の第4脚を引きちぎって走って来たらしい。

気づいてしまうとなんだか無性に痛い。


「お、おう!」


濃ちゃんが大治癒<キュア>をかけてくれると、痛みが引いて脚がにょきにょき生えてくる。

魔法って便利ですごいけど、それとは別に単純な感想としてエグい。


そこでカラス君が片膝をついて畏まって、他のNPC達も同様に畏まる。

ただし、薄ちゃんは私の脚にしがみついたまま動こうとしないし、Bちゃんも私の腕から抜け出ようとしたが、少し強めの力で阻止した。


「その、一人で勝手に散歩に出て言った挙句に迷子になって本当にごめんなさい・・・えっと、土下座したほうがいい?」

「迷っておられたんですか!!俺っちみょんみょん様に捨てられたんだと勘違いして・・・うぅ、なんでもっと早く伝達<コール>で助けを呼んでくださらなかったんですか!俺っち、地の果てまでみょんみょん様を迎えに行きます!!」


薄ちゃんは相変わらず私の脚にしがみついた腕を解こうとはしないし、他のNPC達も畏まって下を向いたまま何も話さない。


「えっと・・・私も伝達<コール>は何度も試みたんだけど・・・通じなくて」


私が何度伝達<コール>で助けを呼んでもNPC達から応答はなかった。

それを私は勝手にNPC達に拒否されたんだと思ってたけど、どうやら伝達<コール>が通じなかったのは別の原因があるようで、NPC達はNPC達で私を心配してくれていたらしい。


「他のみんなは・・・私のこと怒ってないかな」

「他の眷属が?みょんみょん様を・・・?なぜですか?とりあえず、みょんみょん様が巣に帰ればみんなめっちゃ喜びますよ!!帰りましょう、帰りましょう!!」


結局、薄ちゃん以外は一言も話してくれなかったが、薄ちゃんの提案でホームに帰ることになった。


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