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1-4. 巣の経営(4)

その日の夕方。


みんなに話をしたいことがあるからショーが終わったら全員広間に集合してほしいとななんちゃんに伝えておくだけで、広間には私の座るための椅子が用意されて眷属48人全員が整然と並んで待ってるんだから、そのうち自分が小市民だということを忘れて調子に乗ってしまいそうだ。


眷属全員が揃ったと声がかかったので、自室と広間の間のドアにぴったりと耳をつけて耳をそばだててみたが、防音がしっかりしすぎていてあまり聞こえない。


広間に出てみると、私が出て来たのに気づいたNPC達全員が雑談をやめて一斉に静まる。


みんなの世間話を聞きたかったのにな。


「昨日から夜を徹して走って迎えに来てくれた子たちはありがとう。助かったわ」


始めに朝のお礼を改めて言おうとは決めていた。


「あと、さっきは考えなしに蜂の巣に突っ込んじゃってごめんなさい。でも、BちゃんとDちゃんが無事復活できてよかった」


みんな畏まって私の話を聞いているので、私の言葉をどう受け止めているのかもよくわからない。内心は怒っているのかもしれない。


「みんなも知っている通り、今ホームは未知の場所に転移しちゃって、周りには知らないモンスターばかりだし、今後前の世界にはいなかった危険なモンスターに遭遇するかもしれない」


みんなうつむいて目を閉じていないで、なんらかの反応が欲しい。


「でも、転移しちゃったものは仕方ないんだから、今までよりももっともっと楽しく暮らしていきたいと思ってるの。」


静寂の中に私の声だけが響くので、反響した私の声がなんだか耳に痛い。


「それにはみんなの協力が不可欠よ。なにより、私は眷属のみんなと心機一転ここで暮らせるのがとても楽しみ」


もうすでにぼろが出始めている。


「だからといっちゃあなんだけど、いくつかお願いがあるの」


さぁ、もうとっとと本題に入ろう。


「今まで、1日3回食事をするように言ってたけど、それに加えて1日6時間は体を休めてほしい」


私を迎えに行くために夜通し走ってくれたのは嬉しいけど、それが続いたらみんな体調を崩しちゃう。


「あと、みんな私の大切なNP・・・眷属なんだから、お互いある程度仲良く・・・最低でも眷属どうして傷つけあったりしないでほしいの。」


本音としてはみんなが仲いいと私は嬉しい。

でもここは幼稚園や小学校じゃないから、流石にそこまでは強要できない。


「この3つは私からのお願い」


一息つく。

あとは頼まれた要件をみんなに伝えるだけだ。


「あとね、みんなをまとめる役が必要だと思って、以前からななんちゃんに眷属の統括をお願いしてたの。でも、知らない子が多いみたいだから改めて伝えておくね。あと、膨大な仕事量になっちゃったから、上位ナンバーの子たちにななんちゃんの補助をお願いしたわ。ななんちゃん達がいろいろ考えてくれているみたいだから、みんな協力お願いね。」


言いたいことは全部言い終わったので改めてみんなの顔を見回す。

やっぱりみんな微動だにせず畏まってうつむいたまま私の話を聞いている。

ちょっとは反応してほしい。


「えっと、私の話は以上なんだけど、せっかくだし何かここで話したいことがある子はいる?」


そこまで言うと、みんな目を開けてお互い顔を見合し始める。

ただ、しばらく待っても特に誰も発言しそうにはなかった。


「では申し上げます。私から眷属の全員に伝えたいことがありまして、この後眷属の者たちを少しお借りしてもよろしいでしょうか。」


頃合いをみて発言したのはここちゃんだ。


「あ、うん、大丈夫だよ。じゃあ私は部屋でくつろいでるから、何かあったら遠慮なくいってね」


どうやら私はお呼びでないらしい。

もうすぐ夕飯だというので、私は自室に引きこもることにした。

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