第三章 三十二話 ~ペルクェインの逆襲~
明日書こう。明日書こうと思って先延ばしにしまくった結果がこれだよ!
全くもって謝る言葉が見つかりません。
[ドゴォォン!]
「けぶらべっ!」
……この地面に叩きつけられた感覚は……うん、また落ちたんだな俺。
もうね、ホラ俺って何回も落ちてるじゃない?だからもう衝撃だけで自分が落ちて叩きつけられたんだって分かっちゃうんだ!
………笑いたきゃ笑えよ。
「大丈夫ですかアニキ?」
「ああ大丈夫だ、一応生きてる」
俺は起き上がり駆け寄ってきたラフラに返事をした。
……まあ体の節々に痛みを感じるが動けない程ではないから問題は無いか。
「一応聞くが俺どうなったんだ?」
「え~と、最後にトドメとばかりに背中に大剣を突き刺した後バケモノがピタッと止まったと思ったら突然黒い霧が噴き出してアニキが包まれたんです」
「うん、それで?」
「それで霧が晴れたと思ったら糸が切れたようにバケモノが落下して背中に乗っていたアニキも一緒に落ちたんですけど……」
そう言ってラフラは俺の後ろを見る。
俺も後ろを見てみると横に倒れたままピクリとも動かなくなった第二形態がいた。
「コイツ生きてませんよね?」
「ああ……もう大丈夫だろ」
俺はそう言って第二形態に近付きあのサソリもどきの胴に突き刺さったままのシーヴァを抜いた。
(あ~気分悪かった。虫の体液は最悪だな)
「悪かったな、後で拭いてやるから」
(出来れば今お願いしたいんだが?血の結晶の中に虫の体液が混ざるなんてゴメンだからな)
「拭く物無いんだよ」
(……分かった我慢する……体液気持ち悪い)
無論俺もサソリもどきの体液がべっとり付いた大剣を背負うのは気が引けるので取りあえずシーヴァを瓦礫に立て掛けて先程どっかにやった通信用の魔石を探した。
「おっ、あったあった」
俺は邪魔な瓦礫をどかして魔石を取ると魔力を込めた。
「おーい、アヴィ?聞こえるか?」
「(ん?ジョニーか!?いきなり通信が途切れたから心配したぞ!)」
「でもバケモノは倒したぞ。あのサソリもどきも一緒にな」
「(サソリもどき……君のネーミングセンスはどうにかならないのか?)」
「うっさい…いやそれよりも聞きたいことがあるんだ。あいつを斬った時に…」
「(そいつはあの虫が吸い上げた宿主の魂……いや心の中と言った方が正しいな。それを吸い取ることで奴は完全に空になった心に自分の意志を注ぎ込み操るんだ)」
「……お早い返答ありがとうございます」
「(私の話そうと思ったこの事についての注意事項だからな。普通ならその噴き出した心の世界の中に意識が閉じこめられて永遠に眠る羽目になるんだが……やはり君には何か特別な力があるようだな)」
「所で噴き出した魂はどこへ行くんだ?」
「(ああ、それは…)」
[ドゴォォォォォン!]
「え?何だ!?」
アヴィが説明しようとしたその時またしても邪魔が入った。
「フハハハハ!今度こそ叩き潰してやるゴミ共が!」
「! アイツさっきの!」
もの凄い爆発音と共に現れたのは先程腹にクナイを刺されて瀕死状態だった筈のぺ…ぺル何だっけ?ペルーシャ?違うな……とにかく鬼っぽいのだ。
そしてその後ろには不気味なヘルメットを被った集団が立っていた。
…って言うかあの鬼野郎の姿は何だ。全身を無骨な鎧で固め両肩にキヤノン砲を装備している。
……ガ○キャノンか?ガン○ャノンなのか?
「何だあのバケモノの死体は……まあいい。そいつとの戦いでかなり疲弊しているようだな…」
先程の先頭でボロボロになった俺達と第二形態を交互に見ると鬼野郎は不敵に笑い自分の装備を見せつけるように立った。
「フハハハハ!見ろっ!この大砲付き鎧は重厚!堅牢!そして最強!先程のような攻撃では傷一つ付かんぞぉ![ドォン!]」
「……う、うわぁぁ…」
引いた。思いっきりドン引きした。最後に見せつけるようにして両肩のキヤノン砲をぶっ放す動作にドン引きした。
「(おい!?今の音は何だ?まさかペルクェインか?)」
「ああ、なんか大砲付きの鎧着て出てきた。後手下がいっぱい居る。後後ろに訳の分かんない集団も」
「(!? そいつらの特徴を教えてくれ)」
今まで結構冷静だったアヴィがいきなり焦ったような声で聞いてくる。
何だ?あの変な集団がそんなに気になるんだろうか?
「え~と、何て言うんだろう?見た感じバイクのヘルメットみたいなのを被ってて体はエヴァのボディ…」
「(一体何で例えているんだ!?)」
「あ、ゴメンとにかく今までのとは違う奴だ」
「………」
ああ黙っちゃった。ついつい俺の世界の人にしか分からないようなたとえで言っちゃった。
絶対呆れてるよ。お前はバカかみたいな顔して呆れてるよ。
「確実に貴様等を殺すために今回は正規品まで出したんだからな……最早貴様に勝ち目は無い!」
「正規品だってさアヴィ」
「! 何だと!?」
俺が正規品と口にした直後驚いたような声を上げるアヴィ。
その驚きっぷりと言ったら声が裏がえる程だった。
「何?正規品ってヤバいの?」
「ヤバいに決まってる!改造兵の完成型だ!身体能力が高くオリジナルよりは劣るが能力を継いでいるからかなり強いぞ!」
「……マジで?」
「さあ!正規品達よ!あのクズ共を始末してしまえ!」
「…………」
正規品と呼ばれた奴らは一斉にこちらを見るとすごい勢いで走って来た。
「無理だジョニー!いったん退いて体勢を立て直せ」
「分かった!逃げるぞみんなぁ!」
「「「了解!」」」
「ウガ!」
「させるかぁ!」
[ズドン!ズドォン!]
「なっ!?」
逃げ出そうとした直後ペルクェインが大砲を発射し天井に当てて落ちてきた瓦礫で俺達が逃げようとしていた道を塞いでしまった。
「逃がさん、逃がさんぞぉ!」
「う、嘘ぉ……」
「フフ……フハハハハハハ!」
ペルクェインは追いつめられた俺達を見て勝ち誇ったような笑い声をあげた……