第三章 三十話 ~力を合わせて……うん、頑張ろう~
「ふおぉぉっ!」
[サッ]
「……!?」
…………はい、避けました。
いやいや違いますよ!?怖くて避けたとかそんなんじゃ無いですよ!?
ちゃんと避けたのには理由がありますから!
[ズゴォォン!]
わぁいすごいや!槍が突き刺さったところが真っ赤になって溶けたと思ったら爆発したよ!?受け止めなくてホント良かったよ!
……じゃなかった!本来の目的を……
俺は突き刺さった槍から視点を変え背中を見……って
「ギ……ギュア……」
イ………イヤァァァァァァァァ!!!
なんか背中に張り付いてる!何アレ!?でっかいサソリ!?超キモい!イシトクよりも二•五倍ぐらいキモい!
俺は復活した原因が背中に居た何かだと思った俺はその正体を見ようと行動したのだが
その行動を………今激しく後悔してます。
俺はポケットから先程アヴィから貰った魔石を取り出して話しかけた。
「アヴィ!アヴィ聞こえるか!」
「(おっ……ようやく使ったか。さっきデカい音が次々と下から心配したぞ。それで?今そっちはどういう状きょ…)」
「それが幼…少女が居て攻撃されて攻撃して殺したと思ってたら復活して変身して背中に変な虫が[ブンッ!]うわ尻尾危ねぇっ![ゴウッ!]なんだコイツ仮面が割れて炎…いや熱線だよこれ!?溶岩レーザーみたいにして吐き出して「バチバチ…ドォン!」天から黒い雷がぁぁ!!これまるっきりゴットエネルの技……いやジゴスパークか!?[ヒュンヒュン!]え…ちょ!隕石!?どっからそんなもん出して[ズガァァァァァン]助けてアヴィィィィィ~~!」
「(落ち着け!何が何だが分からないぞ!?)」
「……なるほど、それは魂繰虫だな」
「へぇそうなん[ドゴォン!]どうぁぁぁぁぁ!」
アヴィに落ち着けと言われるもすさまじい攻撃魔法を次々と放ちながら暴れ回る少女第二形態相手に落ち着いて話すなんて余裕は無かった。
それでも何とか俺の半パニック状態の俺の言葉を理解しアヴィは答えてくれた。
「魂繰虫と言うのは宿主の心を吸い上げ意のままに操る寄生虫の一種だ。宿主が死にかけた時には蘇生させることもあるらしいぞ」
「そうかそれでさっき[ブォンッ!]うひぃっ!……で?その魂繰虫ってのを潰せばコイツを止められるんだな?」
「ああそうだ。しかし一つだけ…」
「よーし分かった!」
「おいジョニー!私の話を最後まで[ブツッ]」
……あっ、焦って切っちゃった……まあいい…良くない!
絶対こういう展開の時の聞かなかった時の言葉って重要な事が多いよな。うん、聞いた方がいい…
[ズゴォォォォン!]
「ってアァァーーーッ!?」
再びアヴィと会話しようと思った直後目の前に隕石が落下し俺は吹き飛ばされた。
そして手に持っていた魔石も手からスポーンと抜けて瓦礫の中に飛んでいってしまった。
「やっば……ってそうだ!アガ達は!?」
自分の避けることに精一杯だったのでアガ達がどうなっているのか全く分からなかった。
周りを確認してみると……居た。
「おいアガ!大丈夫か!」
「オゴッ!ウガァッ!」
「我々は何とか大丈夫だ!」
「無事ッス!」
「…………無事だ」
どうやら俺だけ重点的に攻撃されていたらしくアガ達は瓦礫の陰に隠れていた。
……薄情とは思わないぞ。俺だってそっちの立場だったら間違いなくそうしてるだろうしな。
それよりもこの第二形態を操ってる虫をどうにかしないとな……
……そうだ、こんな時の仲間じゃないか!
「全員ちょっといいか!」
「?」
俺は全員の元へと急いで駆け寄ると俺が数秒で考えた作戦を伝えた。
うん、数秒で考えた……ね
「…ア゛ァァァァァ!!」
「[ガキィィィィ……]ふぬぅぅぅ!」
作戦を伝えた直後。俺は少女第二形態に向かって突っ込んだ。
当然の事ながら盾でガードされる。そして俺を押し返し槍で突き刺そうとするがそれを俺はシーヴァで防ぐ。
(主っ!熱い!溶ける!溶けちゃうっ!)
「口調が変わるほど熱いのは分かるが今は我慢してくれっ!……やってくれ雷岳!!」
「……フンッ!」
俺の合図と共に雷岳は大量の糸を出して四本の足を縛り付けた。
「!!」
足が自由に動かなくなったことに気付き槍で糸を切りろうと槍を振り上げる。
「おっと……そうはさせないぞ」
「[ビシィッ]……ッア゛!!?」
その振り上げた状態のまま腕がピタリと止まる。
忍者服が関節部分を凍結させて動かせなくしたのだ。
「……ッ[ビシビシッ]!!!」
口を開け熱線で溶かそうとするもその口も部分も凍らせられた。
「……!……[バサッ……ガシィッ]!!」
苦し紛れに飛び立とうとするも数メートル浮き上がった所で動きが止まる。
「………」
「ウォ…ォ…ガァァァァァ!」
真下でアガと雷岳が出した糸を引っ張って飛び立つのを止めている。
何とか持ってはいるがかなり辛そうだ……さっさとケリを付けよう。
「よしラフラ!飛べっ」
「了解ッス!」
このメンツの中で唯一飛べるラフラに捕まって飛び立つ。
「!!!……!!!」
何をされるのか察知したのだろう。ありったけの魔力を使って攻撃してきた。
地面からはレーザー、魔弾、上からは最早流星群と言った方が正しい程の数の隕石。そして自身も周りに炎の渦を作っていた。
「ちょっ!これマズいッス!」
「気合いで避けてくれラフラ!」
「ひぃぃぃぃ!」
攻撃を必死に避け直撃しそうな攻撃は俺が防いで徐々に近づいていく。
……だけどあの炎の突破は無理だな…無理に突っ込ませたらラフラが焼き鳥になりかねない。
「おいラフラ!俺をぶん投げろ!」
「へ?」
炎の壁の直前まで来たとき俺はラフラに指示を出した。
「え?…でも」
「俺は大丈夫だ!早く投げろ!時間切れになる!」
炎の中を見てみると足を縛っていた糸は殆ど焼き切れ腕や口の部分の氷も殆ど溶けていた。
「分かったッス!行くッスよ!」
「行けぇぇぇ!」
俺はラフラに投げられたと同時に黒炎を身に纏った。
「[ボッ]……よしっ!予想通りだ」
そのまま炎の中に突っ込んだ俺だったが黒炎のお陰で少し熱くは感じたが無傷で炎の壁を通り抜けた。
そのまま俺は少女第二形態の背中に着地する。
そして目の前には背中に張り付いた巨大なサソリ……
「お~し、お前も年貢の納め時[バサッバサッ]うぉあおぇいっ!?」
真っ二つにしてやろうと件を構えた直後足を縛っていた糸が切れたらしく一気に上昇し足場が揺れた。
「うおっと…うわっ…往生際…が…悪いんだよっ…っととおっ!」
空中でアクロバティックな飛行をしながら俺を振り落とそうとしてくるのを必死に落ちないように堪える。
正直ここで落ちたら全てが水の泡だ。
「ギギィ!ギュイヤァァァ!!!」
「クソっ!負•け•る•かぁぁぁっ!!!」
何とか気合いでバランスを取りサソリの前に立つ。そして俺はシーヴァを構えた。
「死ねぇぇぇぇ!」
そしてその体のど真ん中に深々…いや、このサソリだけ貫通させた。
「[ズシュッ!]ギュガ[ズシャァッ]ギキキキキキ……キュ……」
シーヴァをそのまま振り下ろし頭部を真っ二つにした。
「……」
切り裂いた直後はビクンビクンと痙攣している。
「さて、完全に息の根を止めなくちゃ」
[ブシュウ]
「……ん?」
多分今度は宿主の方から生命力でも貰って復活するんだろうと思った俺はこのサソリを体から切り離そうと剣を振り上げると突然サソリの体の切り口から黒い煙のようなものが噴出した。
「え!…くそっ!」
あっと言う間にその噴出した黒い煙に包まれる。
……クソっ、アヴィが言いたかったのはこれか!油断……し……た………
そして俺は意識を失った。
こんな調子で七月中に第三章終わるだろうか……