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第三章 十六話 ~道化師との出会い~

「酷いなこりゃ……」


アガのぶち抜いた壁の穴をくぐった先にあった光景はまさに地獄と呼ぶにふさわしかった。

壊れた建物の所々から火の手が上がり道には体の主要な部分が無くなって動かなくなった改造魔導兵や被検体と思われる死体がそこかしこに転がっていた。

肉の焦げたような何とも言えない臭いが鼻を突く……俺は暫くの間その場に立ったまま硬直していた。


「ウガァ!」

「ああ…行くか」


数歩前に立っていたアガに声をかけられて我に帰った俺はアガの後を追いその死体だらけの道を進んで行った。




「ラ~ラララ~……」

「%¥#$〒!」

「%£€#!」

「……なあアガ?あれは助けるべきなのか?」


アガと共に行動すること数分。俺は…………道化師を見た。無論Mの教祖様じゃ無い。正真正銘の道化師だ。

一応改造魔導兵に追いかけられているように見えるのだが鼻歌を歌いながら若干踊るかのように逃げまどう姿は正直……遊んでいる様にしか見えない。


「ウゴァ……」


うん、アガも若干困惑してる。だってこんな殺風景な所に笑わせるのが生き甲斐の奇怪な姿をした奴がいるんだ。そりゃあ困惑もするだろうな……


「アガ……どうする?」

「ウゴ…アガッ!」


アガは少し考えるようなポーズをすると気合いを入れたような声を出した。

……多分これは「助ける!」って感じだよな…


「あんなふざけたのでも助けるんだな?」

「アガッ!」

「……それじゃあ行くか」


幸いなことにあちらあの道化師に夢中のようでこちらには気付いていない……チャンスだな。


「いくぞアガ……三…二「ウゴァァ!」ちょ!タイミング…ああもう!」


三、二、一、GO!で行こうとしたんだけど見事にアガ君が何も聞かずに突っ込んでいってくれました。


「ウガオォ!」

「「[グシャ!]!!?」」


……わーいすごいや!アガのラリアットがアイツ等頭に直撃して兜が凄い嫌な音をたてて潰れたね!

頭を潰された魔導兵はもうピクリとも動かないね!出来れば今彼らの頭の部分にモザイクをかけて欲しいな!

マジで悲惨な状態になってるからね!


取りあえず俺は先程まで逃げ惑っていた道化師の所へ駆け寄った。


「大丈夫か?そこの道化師く…」

「は……吐きそう…」


……あ、ダメだ。コイツ今頭潰された魔導兵見てグロッキー状態になっちゃってるよ…


「おいアガ!コイツを連れて安全なとこまで行こう」

「ウガ!」


そう言うとアガはひょいと片手で道化師を持ち上げ建物の陰の方へと運んで行った。




「いや先程は助かりましたよお二人さん。…私の名前はチャズと言います…ここに来る前はサーカスで道化師をやってました」


数分後、ようやくグロッキー状態から回復した道化師君は自己紹介を始めた。


「所で何でさっきは歌いながら逃げてたんだ?」

「あ…あれはですね、恐ろしい気持ちを少しでも紛らわそうと…」


こいつ変人じゃないの……いや…道化師だからこれが普通……でいいのか?


「え~と…お二人のお名前は?」


「え~と俺の名前は……ジョニーだ」

「アガッ!」

「そんでコイツはアガ…さっき付けた名前だけどな。唸り声しかあげないから名前分かんないんだよ」

「そうなんですか…宜しく」

「こちらこそ」


そう言って俺とチャズは握手をした。アガとは…その……察してくれ。あんなのと握手したらチャズの手が握り潰される恐れがある。

まあ…ついでにチャズの容姿を確認してみよう。


髪の毛と目は青で猫耳…だから種族は獣人かな?…服装は何と言うか…派手だ。頭には道化師が被るような…

…この帽子何て言ったらいいんだろう?星のカービ○スーパーデラックスのビームの時に被ってる奴…かな?そんなのを被っている。

ええと顔の方は……


「? なんですか…ボクの顔のペイントおかしいですか?」

「いや特にそんな事は……って普通は道化師のペイントっておかしいもんだろ?」


う~ん……顔は整っている方だと思う。因みにペイントと言っても目の下に涙型のペイントがしてあるだけだ。

……うん、イケメンだよイケメン。


「さてと、チャズはこれからどうする?ここで隠れてるか?」


俺は建物の陰から辺りを見回しながらチャズに聞く。此処で隠れていれば一応は見つからなさそうだし

最後に此処から脱出する時此処に来て回収すればオッケーだからな。


「いえ、あのぉ…ボク的にはここで縮こまってるよりは力強い貴方達と行動を共にした方がいいと思いますんで……付いて行かせて下さい」

「そっか…でも大丈夫か?…主に戦闘が」

「ええ……気持ち悪いのは苦手ですが追いかけられて死ぬよりマシです」


確かにもし再び見つかったらまた追いかけっこの再開だもんな…

それならグロ覚悟でアガに付いていった方がいいか。


「それにボクならアガさんには失礼かもしれないけどちゃんと会話が出来ますから…多分今ジョニーさん達が行こうとしてる所案内できますし」

「……マジで!」


確かに唸り声よりは普通の声で「次は右です!」とかの方が良いよな…


「よし!それじゃあチャズ!アガ!男三人で行くぞぉぉぉ!」

「アガ!」


こうして俺達三人は再び出発したのであった。








「あの…ボク女です……」

「………ゑ?」

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