第三章 十話 ~デカい=ボスの方程式~
拝啓父上様。
元気にしておられますか?俺は……
「ゴガァァァァァァァァ!」
「あぴぇぇぇぇ!?」
体長数十メートルはありそうな黒いマリモに襲われてます。
……さて、なぜ俺がこのような状況に陥ったか説明しよう。
時は遡ること……
~回想~
「オギャー!オギャー!」
とある病院でまた新しい命が生まれた。
「久信様生まれました!元気な男の赤ちゃんですよ」
「そうか男の子か!」
「はい、もう奥様は病室へお戻りになられて……」
「うおぉぉぉぉぉ!」
久信と呼ばれた男は看護士の話を半分も聞かずに走って行った。
そのあまりの勢いに看護士は暫く唖然としていた。
「由美ぃぃぃぃぃぃぃ!男の子か!男の子なんだな!」
「ええ久信さん、元気な男の子よ」
大声をあげながら病室に転がり込む久信。それをニコニコと見ている由美と呼ばれた女性。
この落ち着き様からすると久信は日常茶飯事このテンションなのだろう。
「所で久信さん、名前はもう決めてある言っていましたよね?」
そう言って胸に抱いている我が子の頭を撫でる。
「ああ、無論決めてあるぞ!」
そう言って久信は自分の子供を見る。
「この子の名前は……翔だ」
こうして俺の名前は翔に……ってちがーう!
ごめん。時を十数年程間違えた。
~真•回想~
俺が人型イシトクと戦い初めて数分…
「うおらぁぁーーっ!」
両手からスカーレットスパークを放って近づいてきた敵を一瞬で吹き飛ばす。
更にその直後魔弾を断続的に打ち出してスカーレットスパークの攻撃範囲外に居た敵を吹き飛ばす。
あっと言う間に俺の周りに群がっていた人型イシトクは全滅した。
だがしかし。
「ギ……ググ……」
「ガ……ガァ……」
「おいおいまた復活かよ!いくら出て来るんだ畜生!」
息つく暇も無く地面から生えるように再び現れるイシトク軍団。
「グォォォ!」
「うぉっ!」
隙を突いて俺に一気に接近してくるイシトク。俺はそいつのパンチを紙一重で避ける。
「ガァァッ![ドゴン!]」
俺に飛びかかったイシトクはそのまま鈍い音と共に地面に激突する。
「消えろっ!」
俺は最高火力で黒炎を出し起きあがる前に燃やした。
燃えた後に残ったのは人型に陥没した地面。
そう、こいつらは以外と力は強い。多分まともなパンチを食らえば一発で骨が折れるだろう。
まあ力の割には脆く体力が無いのがこいつらの難点だろう。
「ったくエンドレスじゃね[ズンッ!]おうっ!?」
突然地震のような音がしたかと思うと俺の目の前に何か黒くてデカい物があった。
目測だけでも大体高さ五十メートルぐらいはあるかもしれない。
「こ……こいつは……」
見た目はまるで巨大な黒い餅のようだ。表面には毛のような……
いやまさか、これがあのGモドキの親玉な筈無いよね!そうだよ、うん。違う違うこれはそう……あれだ!だんご大家ぞ…
「ヴォォォォォォォォ!」
ハイ。イシトクでした。真っ赤なデカい口を開けちゃってねーもー何だろこれ……
泣きたい。
「どうやら人型でも時間が掛かりそうなのでこの巨大イシトクで始末させて貰いますよ!」
「なっ……」
見上げるとごまだんご……いやイシトクの天辺にシロウトが乗っていた。
「さて、さっさと終わらせましょうか!イシトク!やってしまいなさい!」
「ヴォァァァァァァァァァ!」
~回想終わり~
という感じで今に至る。
………これ絶対ボスだよね?これより強いの出ないよね?どこぞの邪念の集合体のように突然スリムになったりしないよね?
……考えても仕方ないか。
俺は出来るだけ鮮明に自分が思い描く中での最強の剣をイメージした。
[ドスッ!]
それと同時に空から二本の剣が落ちてきた。
そう、伝説の○トの剣とエクスカリバーだ。
「うぉぉぉぉぉぉ!」
俺はたった今自分が具現化した剣を両手に持つと巨大イシトクに向かって突進した。
「一刀両断にしてやる!」
………あ、剣二本だから一刀両断出来ないや。
果てしなく要らない人物紹介
風見久信
翔の父。建築会社に勤めている四十三歳
いつもテンションが高く子供っぽい性格をしている。
妻である由美と出会うまでは「二次元こそが俺の居場所!」と叫んでいたオタクだったが彼曰く「由美を見た瞬間彼女こそが俺の嫁だと思った」という理由から唐突にプロポーズしたらあっさりOKを貰いそのままゴールインしたらしい。
風見由美
翔の母。年齢は四十二歳
いつもニコニコと笑っている。ぽやぽやとしたオーラを纏っているような女性で四十とは思えないほど美人。
夫である久信に突然プローポーズをされて驚いてOKを出してしまったらしい。
その後結婚前提でのお付き合いが始まりそこで久信に徐々に惹かれていったらしい。