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第三章 七話 ~独房からの解放 上 ~

エリーナが入っている独房の所に行くのは以外に簡単だった。

なにせ他の兵とはち合わせても


「おい、ここはお前の巡回経路とは違うぞ?」

「こいつを独房に連れてくんだ」


俺はそう言ってエリーナを指さす。


「ああ……またこいつか」


これで終わりだ。

普通声で俺が違う奴だと分かるような気がするんだけどな……


「あのさ……ここの兵ってバカ?」

「そんな事は無いと思うんですけど…」


あまりと言えばあまりの警備に俺はエリーナに質問した。


「いや絶対バカだよね?普通声で…それ以前にこの頭の角で気付くでしょ?」

「う~ん…バカと言えばバカかも……あ、着きました」

「ここか…」


到着したのは普通の通路よりも少し幅が広くなった所で両壁には俺の頭一つ分ぐらいの高さの扉が大体二十センチぐらいの間隔で並んでいた。


「扉が並んでるようにしか見えない……ここの独房どうなってんの?」


扉の列を見ながら俺はエリーナに訪ねる。


「寝るだけの所ですから広さなんて一人寝る分だけで十分なんですよ」

「寝るだけの場所か…じゃあ寝る時間以外は何処に?」

「此処とは別の所にある研究施設に運ばれて実験をされてるんです」

「実験ねえ……」


実験って一体何をされているんだろう?ヒーしか言わない全身黒タイツの男に囲まれて怪人にでも改造されるのか?

……いや、この世界の住人自体既にバケモノか。それなら一体何の実け…


「おいそこの!」

「は…はい!」


空想で周りが見えなくなっていたら突然声をかけられた。

驚いて前を向くとそこには兵士が腕を組んで椅子に座っていた。


「な…何でしょうか!」

「………」


椅子に座った兵は俯いたまま何も言わない。

そのまま沈黙がしばらく続く……


「あの……外を出歩いていた被験体を見つけたので連れてきました!」

「………」


椅子に座った兵は全く反応しない。

これはもしや………


俺は兵の近くまで歩み寄り目の前に立つ。そして耳を澄ました。


「………グゥ」


………やはりだ。コイツ寝てる。


俺はそいつの腰に付いた鍵束を外すと寝ている看守の首に一撃をお見舞いした。


「[ゴスッ!]おぶぇっ!?」


悲鳴を上げることなくぶっ倒れた兵の装備を脱がした後口と手足を服で縛る。


「よし、エリーナ!お前の独房何処だ?」

「え……あそこですけど?」

「よぉしエリーナ鍵を持て…ふっ!」


エリーナに鍵を持たせ扉を開けさせると俺は兵士の両脇を掴んで引きずりエリーナの独房に放り込んだ。


「良し!じゃあ次は此処にいる皆さんを解放するとしましょうか」

「はい!」


俺とエリーナは独房の鍵を片っ端から開け中にいた奴らを解放した。


「おい誰だ一人寝るだけで十分って言った奴は」


鍵は確か全部で三十個だった筈……なのに全員を出してみたら何と見た限りではその二倍は居た。

いやビックリしたよ。俺が開けた部屋なんて布を一枚まとったような服を着た女(無論魔族)が三人抱き合ったような姿で寝てたんだから……

開けた途端三人ともビクッとして怯えた子犬のような目でこっちを見てくる光景と言ったらそれはもう……


いい目の保養になりま……ゲフンゲフン!


俺は先ほどまでリアルに起こっていたピンクシーンを頭の中から消し去る。

助けた奴らを見てみると何やらエリーナが皆に何かを話しているようだ。

暫くするとエリーナがこちらにやって来た。


「何の話してたんだ?」

「皆さんもう大丈夫です!彼がいれば助かりますと言っておきました」

「そうか……じゃあこんな所さっさとおさらばしようぜ?」

「ちょっと待って下さい!まだここには捕まっている人達が沢山居るんです!」


はぁ……やっぱこうなりますか。全員助けなきゃいけませんかチクショー!


「あ~分かった分かった。じゃあさっさと案内してくれ……だけど俺が居なくてあいつ等大丈夫か?」


俺は外に出ているエリーナの仲間を指さした。

流石に武器も無いんじゃ心配だ。だからと言って連れて行く訳にも…


「はい!皆さんには怪しまれないように独房に入っておくように言っておきましたから!」

「そうか、それなら行くか」

「はい!」


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