第三章 三話 ~警備員は暇だよ~
今回作者は頭が熱暴走して勝手にクロスしてしまいました。誠にすみません。
ここは私営レイナー博物館。
未開の地や秘境を好んで旅をするレイナーさんがそこで拾って来た様々な物を展示してあるそこそこ広い博物館だ。
展示してある物は魔物の剥製から武器、本、絵画、そして何と言っていいのか解らない物まで展示してある。
………しかもジャンル無視で。
「………むっちゃカオス」
時刻は深夜。
只今俺はそんな混沌とした博物館の通路をカンテラを持ちながら歩いていた。
因みにレナは館長が用意してくれた部屋のベットで今だにうなされている。
この博物館はさっき言った通り館長のレイナーさんが旅好きなのもあってかこの博物館が開いている期間は完全に不定期なのだが何故か客入りはいい。
この博物館に来た客に聞いてみた所、
「展示してある物が珍しい」や「たまたま気になったから寄った」
と言った普通の意見の他
「ほかの博物館には無い混沌っぷりがいい」
「隠れた名所」
などの意見もあった。以外と人気はあるみたいだ。
「ところで警備って結構暇だな」
今更ながらにそんなことをぼやいてみる。見る物は沢山あるがそれだけだ。
博物館を三周ほどしてしまうともう何処に何があるかは大体覚えてしまうのでさっきのように妄想しながら歩き回るしか無くなってしまうのだ。
「オラは死んじまっただ~オラは死んじまっただ~オラは死んじまっただ~地獄にいっただ~」
有名な歌をちょっと改変して歌いながら廊下を歩く。ちなみにこの歌詞には嘘偽りはない。
「地獄はやなとこ一度も……あれはっ!」
歌を歌いながら何気なく本の展示ゾーン(と言う名のただの本棚)を見た俺は驚くべき物を発見した。
「これは……司書さんが言っていた伝説の本…[千人のキノコ学者が選ぶベスト•オブ•キノコ]の初回限定版!まさかこんな所に!」
俺はカンテラを展示ゾーン(本棚)から本を取りだした。
言っておくがここの本は閲覧自由だ。だから悪い事じゃない。
……まあそんなことは置いておくとして早速この本を…何?警備?たぶん大丈夫でしょ。
「さ~て伝説の第一ページを(…魔…様……来て…下さ…王様……)……?」
……今なんか聞こえたよね?途切れ途切れだけど確実に「魔王様来て下さい」って聞こえてたよね?確実に俺を厄介事に誘う声が聞こえちゃったよね?
「……ふう…考えろ、華麗にスルーだ俺。足下に魔法陣が出来て飛ばされた時、俺は一体どうなった?…そうだ今はこの本を見るのが先だ」
自問自答しながら俺は本のページを開いた。
「えーと、(…様)この本を創刊するにあ(……来て…さい…)下さった皆感し(…魔王様……)だーっ!行きゃあいいんだろチクショウ!」
読む途中にあんな声がかけられまくったら全く読めないので俺は本をしまうと少々いらつきながらも声のする方へ向かった。
(ああ……貴方ですね。レスティアスを助けてくれた新しい魔王様は……)
「まさか……こいつが喋ってるのか?……」
[コンパピーのミイラ]
解説:旅先で勝手に干からびて死んでいたのを回収。
現地の魔族に聞いた所、
「コンパピー!、コンパピー!!」
と言っていたので多分そう言う生物だと思う。
「なんてこった……先代魔王はこんな者を手下に…」
(それじゃありません!隣を見て下さい!)
「隣?……え?これ?」
「教訓の鉄球」
解説:ある人間の姫君が使っていたとされる鎖付き鉄球。
あらゆる種族と交友を持っていた彼女の鉄球には教訓が大量に刻み込まれている。
「……武器が喋るか…ありきたりだな」
(逆です逆!全く違いますよ!)
「え、逆?と言うことは後ろか!」
[サキュバスの涙]
解説:ある一人のサキュバスが愛した一人の男のために流した魂が込められた涙と言われている青く澄んだ宝石。
相手が地獄に落ちても救うと言う程の愛の証とされている。
(それっぽいけど違います!……もしかしてふざけてますか?)
「……わかった、真面目にやるよ」
そう言って俺は声の聞こえてきた元である緑に光るどこかで見たような台座に乗った石像の前に立った。
「で?おまえは一体何なんだ?レスティアスを知ってるって事はあれか?お前も…」
(そうです!私も堕天使の一人でダリアスです!以後宜しくお願いします新しき魔王様!)
「ああ宜しく……じゃあ早速ぶっ壊して解放してや…」
俺は手に魔力を集めて手の形にくぼんだところに近づいた。
(ちょちょ、ちょっと待って下さい!それもありますけどそうじゃないんです!)
「……は?」